木春菊  [偕老同穴] 109 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ウンスはイギョンに言われた
ことをヨンに聴かせる。

「失礼ながら、片腹痛いとはこの事。
跡継ぎがなければ、御家断絶を受け入れ
るのが常。それが受け入れ難いので
あれば縁者から養子をもらい
跡を継がせれば済む話
違いますか?」

「そこじゃ・・・。縁者には
お恥ずかしい限りじゃが
相応しい者がおらぬのじゃ
でじゃ・・・大護軍の血筋ならば
文武両道間違いないと思うての…
どうであろう?大護軍この話
受け入れてはもらえぬか」

「お断り致す。チェ家とて
数年前であれば
某の代で、幕をおろしていたはず
ですが、この方とめぐり会い
契りを交わし、子をなすことができた
のだ。某の命より大事な
この方と倅を手放すなどあり得ぬ
お帰り下され」

ウンスとめぐり会わねば
チェ家と言うより、チェ・ヨン自身が
この世に存在していたか
定かではないのである。
それは叔母がよく知っての事
光を失い、身体は
この世に存在していたが、心を
どこかに置き忘れ、笑みを浮かべる
こともなく、ただただ生きていた
あの頃・・・

「どんっ」と卓の上に茶が置かれた

「忝ない…喉が渇いておったところ
でな。」

ぐいぐいと一気に茶を喉に流す
キム・イギョンと伴の重臣ら・・

「失礼致した。なれど大護・・ぐん
・・・そのような・・・」

「へ?・・どうされました
皆さん冷や汗がすごいし、お顔も
蒼白くどこか具合が悪いのでは?」

「いや・・医仙殿、今日のところは
失礼・・いたす・・・後日・・
改めて・・」

腹を押さえ逃げるように
診療棟を出て行く重臣ら・・
ウンスの背で、ヒクヒクと笑いを噛み殺す
悪戯好きな薬医員ポン。

「あ~~。ポン何か入れたでしょう?」

「あ~面白い…でもおかしいな~
配合を間違えたかな~。」

「何を入れたの?」

「イノバラを少々・・」

「え~~。下剤じゃないの?」

ウンスは眼を見開き素っ頓狂な声を
あげる。

「ウンス…腹下しのことか?」

「ええ。もう~ポンったら
薬医員がそんなことしたら
駄目じゃないの~。」

『ウンス。ポンを叱るな
私が許したんだ。ウンスの子を
養子などと…これだから
王宮の高官は嫌いだ!自分のことだけ
貧しい民のことなんか
何にも考えていないんだ!なくなく
里子に出す親もいるのに・・
悔しい・・・』

「・・・トギ・・・」

ウンスは席を立ち俯き肩を揺らす
トギを、ふわりと抱きしめる。
ヨンの腕の中にいたソマンが
それを目の端に捉えると
「ソマンもソマンも」と口にすし
足をじたばたさせおろせとせがむ。

とことことウンスの足元に
歩みよると…ウンスの医官服の
裾をつんつんと引っ張る「かか…め!」
と口にすると二人の間に割って入る
のである。

「へ?こんなところまで似るの・・
ソマン…おなご同士なんだから
怒らないでよ…ん?」

「め!め!」と口を尖らすソマン。

「じゃ父となら良いの?」

「・・め!め!め!」

ちらりと、ヨンに瞳を向け
勝ち誇った顔をし声を張り上げる

「まったく・・ソマンには敵わぬ
侍医騒がせて、すまなかった」

ヨンがそう呟き苦笑いを浮かべると
みながほっと笑顔になる
「良かった・・傷ついておられない」
と・・・

「滅相もございません。このまま
引き下がりますますでしょうか?」

「どうであろう。何らかの策を
練らねばならぬやも知れぬ」

『ほら。塗り薬だ。
火傷しているだろう。後でウンスに
塗ってもらえ…心配するな
余計な物は混ざってないから』

トギは卓の上に小さな容器を
ぽんっと置き薬房へと姿を消す
ポンも一礼しその後を追う。

確かに濃紺の衣、懐の辺りが
焦げ臭い。乳飲み子の頃ソマンの雷功は
ウンスでも触れることはできたが
自我が芽生えたいまでは
とても無理なことである。

「侍医ちょっと外しても
構わないかしら?火傷を手当
てしたくて・・・後が残れば大変
だから」

「構いません。蚯蚓(みみず)張れに
ならぬうちに。布をお持ちします
少しお待ちを」



私室へ戻ると
上半身の衣を無理やり抜がせ
ウンスは塗り薬を丹念に擦り込む。

「ソマンの内功が威力を増したって
ことなのね・・・痛かったんじゃ
ない?こんなになって・・」

「然程・・・」

すでに赤く膨れあがり
所々水ぶくれになっていた。
ウンスは水ぶくれを潰さぬよう
慎重に扱う。

「とと・・・いたい?
ソマンちかちかやった・・・
ごめんちゃい・・・」

「案ずるなソマン。なれど加減を
知らぬゆえあまり使うでないぞ」

「あい。でもあったまきた・・・
かか…をわらった。」

「ん?ウンスどう言う事なのだ」

「あ~。その歳で子育ては
ど~のこ~のって言われたのよ
あの時私の中で何かが切れて
あったまきて、言い返してやろうと
思ったけど、ソマンがあ~なったから
驚いちゃって・・・」

痛々しいヨンの火傷の後を
ちらちらと盗み見し
ソマンは項垂れていたが
大好きな母が
仔細を伝えてくれた事に
胸を張り
父であるヨンを見上げていた。

「かか?きれい--」

「そうだな。いつまでも歳をとらぬ
出会った頃の輝きを、いまだ放って
おる。」

「あい!きれい~。ぴかぴかしている」

「ちょっと…ちょっと・・・二人して
誉めちぎっても
何にも出やしないわよ…ふふふ」

そう言ってはみたものの
満更でもないウンス
嬉しそうに笑みを浮かべ
真新しい布を胸に巻き付ける。

「はい。おしまい・・」

「ウンス・・大袈裟ではないのか?」

「あら駄目よ。布を巻かないと
衣に擦れて水ぶくれが破れてしまうわ
雷功使いの貴方が、息子の雷功で
火傷なんて洒落にもならないわ・・
でも…貴方だから、これくらい
済んだのかも知れないわね」

「ああ。ソマンにも気の操り方を
教えてやらねばなるまい
いまのままでは、人に大怪我を
させるゆえ・・・しかし
事の発端と言えばトクマンの軽口が
災いを招いたのだ。ウンス?
プジャンの口縫うてくれぬか」

「独り身ならいざ知らず
赤子も出来るんだからそれは駄目よ
そんな事より、あの上から目線の重臣
どうにかならないの?
簡単に諦めそうにないけど」

「分かっておる。サルムとソウに
繋ぎをつけ
どうにか探りを入れてみるゆえ
案ずるな」

「分かった。お願いね・・
ソマン?父も母も役目に戻るから
大人しくしてしているのよ
イルム、サンミお願いね」

「あい・・」

「任せてけろ」

ひらひらと手を振る
ソマンに見送られヨンとウンスは
それぞれ役目に戻るのであった。



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