木春菊  [偕老同穴] 107 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています




季節は変わりうんざりする
暑さが過ぎようとしていた頃
立て続けに、おめでたの報を
みなは耳にすることなった。
王妃様の第二子のご懐妊が分かり
アル。ヘジンと続いた。

ヘジンはこれを機に
王宮から身を引いていた。
旦那様であるテマンは
家庭の温もりをあまり覚えておらず
その温もりを十分あじ合わせて
やりたいとの心遣いからである。

アルは、ややが生まれ乳離れする
まで言わば産休を申し出
チェ尚宮は快諾していた。
「一生、医仙様と若様をお守りしたい」
と、アル立っての望みを叶えた
形となった。
だが、トクマンはどうにも腹の底の
もやもやが消えないようである。

「まったく言うことを
聞いてくれません…チェ尚宮様叱って
やってください。」

「・・・まったくプジャン!
上官が上官ならばそなたも腑抜け
じゃな。己の嫁御であろう
何故私が叱らねばならぬのだ
ほれみろ!大護軍自ら迎えにきておる」

今日は数ヶ月に一度王子様と
ソマンの対面の日であった。
王子様はあと三月(みつき)もすれば
三歳におなりになる。2月(ふたつき)
遅れでソマンが生まれ
数ヶ月一度しかお会いすることは
ないが、互いに人見知りも
することなく、「きゃっきゃっ」と
笑い声をあげ走り回り遊んでいた。

ヨンは、忙しい役目をチュンソクに
丸投げし脚を運びウンスを迎えに
くるのである。

「・・・」

「大護軍の職に付くものが
まったく!ウンスとソマンは
私が送るゆえ案ずることはないと
言っておろう?」

「いや、叔母上とて王妃様のそばを
毎度なれるのは心苦しかろう
ゆえに俺が送る。悪阻も治まり
無茶をするとも限らんゆえ・・
して、トクマン。叔母上に
何用なのだ?忙しいお方ゆえ
あまり手を煩わせるでないぞ」

「はん?ヨンそれはお前だろうが」
と、その背に問おうと
振り返った時にはヨンの姿はどこにも
なく、坤成殿中庭にて
トクマンとチェ尚宮はその素早さに
呆気にとられるだけであった。

「ゴッホン・・アルは思ったことは
曲げぬ娘諦めよ」

「ですが、安定期とやらにも入らぬ
のに、散策に行くだの。暇だから
サム殿のところに行くだの
飛び回っているんです。あれでは
子が流れてしまいます。俺は
それを案じているんです。例え
子が流れたとしても次をと望めますが
アルの身体を
案じておるだけで・・・」

「・・分かった。プジャンのその
心根しかと伝える。一度顔を出せと
申し伝えよ。」

「はっ!ありがとうございます
チェ尚宮様はアルにとっては
親御同然。近いうちに連れて参ります
宜しくお願い致します」


「とくまん!」

「はっ!大護軍・・へ?」

頭を垂れたその足元に満面の笑みを
浮かべたソマンが立っていた。

「わっ!驚いた!ソマン殿でしたか
声がそっくりで大護軍かと
思いましたよ。」

「とと?…あっち」

ん?っと、トクマンとチェ尚宮が
ソマンの指差す方へ目をやれば
ウンスの肩を抱き慎重に、歩を進める
二人の姿があった。

「「・・・・」」


「ヨンってば、叔母様に睨まれている
わよ。大丈夫なの?
それに無茶はしないから
ソマンの時も言ったけど懐妊は
病じゃないのよ…一人で歩けるから」

「構わぬ。坤成殿の回廊は王妃様の
衣が汚れぬよう、常に磨きあげておる
滑り転びでもすれば如何する?」

「ソマンでも転ばないのよ
大丈夫だってば…きゃっ!」

ヨンに向かい口を尖らせ話す
最中、回廊から中庭へと
降りる階段で、ずるりと滑り
落ちそうになるとヨンが素早く
腰を掴み引き寄せる。

「まったく!これだから
片時も目が離せぬのだ・・」

「ちょっと脚が滑っただけよ
でもごめん・・・」

「かか~~。ころばない
おとうといたいいうよ~~。」

血相を変え飛んできたソマンが
ぽろりと口にした弟という言葉・・・
ヨンは聞き逃さなかった。

「ソマン?母の腹の子と話せるのか?」

しまったと言う顔をし
自分の口元を押さえるソマン

「やくそくした~。だからいわない」

「ソマン。父と母に隠し事をするのか」

「ヨン…ソマンが困ってるじゃない
貴方の聞き間違いじゃないの?」

「いや、確かに弟とソマンは口に
しておる。と言うことは
腹の子も内功を持ち合わせておる
ソマンが腹におった時分
俺をよく呼んでおったのだ
ウンスも覚えておらぬか?
一時期、人の腹の底が読めたであろう」

「ああ~そんなこともあったわね
確か安定期に入り、そこら辺から
読めたような気がするけど
あまり覚えてないわ・・・」

中庭へと続く階段近くで
動かぬ三人を案じ
チェ尚宮とトクマンが歩み寄る。

「如何した?」

「おばば~。ソマンやくそくした~
だからいわないの~」

「ん?ソマン誰と約束したのだ?」

「あ!・・・・」

助けを求めた筈のおばばに
うっかり漏らした自分の言葉・・
ソマンは己の口を塞ぎ
「いわないの~~。」と駆け出す。

「まったく。誰に似てあのように
頑固者であろう?テマン!!」

ウンスのそばを離れる訳には
いかぬとばかりに、テマンの名を
呼ぶとどこからかひらりと現れ
ソマンの後を追わせる。

「ちょっと~頑固者はヨンに似たのよ
絶対私じゃないから」

「ソマンもだいぶ口が達者になった
ものよ。して如何した?」

ヨンは腹の子はおのこやも知れぬ
ソマンと同じ読功を持ち合わせ
二人で話をしている様子だと
仔細を叔母に伝える。

「そうか。そうか。おのこなのか
でかしたぞ!ウンス・・・
おのこ二人ならチェ家は安泰。
黄泉の国に逝った折、兄上様と
義姉上様に
顔向けができると言うもの
そうと分かれば
うかうかしてはおれぬ。無事に
世に送り出さねばなるまい」

チェ尚宮は、ウンスの手を握り
その瞳を覗き込み
うんうんと何度も頷くと
チェ尚宮は、目尻を緩めたまま
坤成殿へと姿を消すのであった。



ポチっとして下されば嬉しいです





にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村