木春菊  [偕老同穴] 105 | シンイ二次小説でんべのブログ

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季節が変わりウンスの懐妊がわかった
のは、この年の夏になる頃であった。
ヨンや叔母様は大層よろこび
ソマンはやっぱりとほくそ笑む。
だがウンスには
ひとつ気がかりな事があるが
それを口にすることは、今は
できないでいた。


「客間をひと部屋潰し、子供部屋に
しなきゃいけないわね」

「ああ、腹の子が生まれる頃には
ソマンも三つなろう。そろそろ
一人立ちせねばならぬな・・・」

「聞き分けいいかしら?
赤ちゃん返りがあるってよく耳に
したけど・・」

「赤ちゃん返りとな?」

「ええ…そうなの…おしめを外した
上の子が、かまって欲しくて・・・
どうしても赤ちゃんに、付きっきりに
なるじゃない?だからそう言われてる
みたいなの」

「乳母を頼むか?…さすれば
付きっきりにならずとも
ソマンにもかまえるであろう?」

役目を終え、屋敷に戻り
寝台の上、いつものようにソマンを
挟み、川の字で眠りに付こうと
していた。あれやこれやと話は
尽きないのではあったが
いつの間にやらウンスは眠っていた。

『ふぅ~。俺も眠るとするか・・』

ヨンは、腹の底でそう呟くと
天井を見つめ瞼をおろす。




翌日…

水軍の指揮をとる事となった
イ・ソンゲが王宮を訪れる
どうやら経過を知らせに来たようで
ある。

「大護軍。西京を訪れては
貰えませんか?どうも徴募で集まった
志願者は、禄目当ての者が多く
士気が上がりません。これでは
倭寇が、いや多の国が攻め
いろうが、今のままでは使い物には
ならないかと…」

「・・・」

「大護軍…聞こえて
いらっしゃいますか?」

「イ・ソンゲ。兵士の士気を
あげるのは、直属の上官である
そなたの役目。俺が赴くのは
一番最後。己で努力もせず
俺を頼るのは筋が通らぬ
そうは思わぬか?」

兵舎の私室にて椅子に腰掛け
腕を組み、瞼を閉じていたヨンは
睨むように、イ・ソンゲを見つめ
そう呟くと隣でチュンソクが
うんうんと頷くのである。

「イ・ソンゲ殿。僭越ながら…
某も大護軍の仰る通りかと・・・
迂達赤を纏める立場にある己も
手を焼き一苦労致しましたゆえ
身分も違えば、考え方も違い・・・
されど、大護軍の教えである
命の尊さを常々叩き込み、今では
鉄壁の一枚岩となったと、自負して
おりますれば、先ずは死なぬ程度
いや、己の身を守る為の鍛練を
日々繰り返すことが肝要かと」

「死なぬ程度・・・と・・」

「命に身分の差など
あろう筈がなかろう?違うか」

「なるほど・・・分かりました
その教えを肝に命じ
わたしも励んでみせます。そして
いつか一枚岩の迂達赤と
張り合えるような
部隊してご覧にいれます」

「ああ。期待しておるぞ」

既に拝謁は済ませていた
イ・ソンゲはそのまま
西京へ戻ることになった。

船の製造は、今日明日に
できる筈もなく歳月がかかるのは
百も承知。その間戦にならぬことを
願うばかりであった。

「チュンソク。しばし抜けるが
構わぬか?」

「はっ!典医寺でございますね
さぞかしご心配でございましょう
サムに溢しておったご様子にて」

「ん?何をうちのが溢して
いたのだ?」

「・・・へ?」

「チュンソク!!」

「はぁ~。出すぎた事を・・・
天界では高齢出産でもなんとでも
なるが・・・この地では・・・
本当に命掛けになると・・・」

チュンソクが話をたたむ頃には
ヨンの姿はどこにもなく
その背さえも拝むことはできない。

「・・・余計な事を耳に入れたか?」


『歳など気に掛けたことはないが
天門の悪戯で、ウンスと俺は同じ歳
・・・さすれば
四十は回っておる筈。この地では
・・・ならぬ。ならぬ。・・
ウンスの身が危ないなどあっては
ならぬ。だが・・授かりし命・・』

そんなことは考えヨンは典医寺に
飛び込んできていた。

「ウンス!」

「・・・どうされました大護軍」

「・・・すまぬ。あの方は?」

「坤成殿の方へ王妃様の回診で
ございますが・・・」

血相をかえ飛び込んできたヨンに
侍医も、他の医員も驚き目を見張り
尻込み気味である。

「侍医少し聞きたい事がある
暫し良いか?」

「はい、ではここではなんですので
こちらへ」

侍医は診療棟奥にある卓へと向かう
そしてヨンは思いの丈を伝える

「・・確かに、この地では
出産は命掛けにございます
ですが、此度は典医寺でお生み頂き
我々が万全の体制を整えたく
思っております。分娩が正常で
あれば、チェ尚宮様に取り上げて
もらい、万が一の場合
医仙殿の世で言うところの
帝王切開に踏み切りたく
大護軍にご承諾を頂かねばと
思っておったところにございました」

「帝王切開とな?」

「はい。腹を切り赤子を取り出すので
ございます。懐妊が分かった折
医仙様ともよくよく論議を重ねて
ございます。むろん医術は私が
やらせて頂きますれば
お任せ願えませんでしょうか?」

「あの方の腹を裂き
赤子を取り出すと・・・」

「はい・・・」

『あの方の肌を、他のおのこに晒し
子を生むと・・何故俺に言わぬ
いや待てそこではない。
命が危ないなどと、もとよりあっては
ならぬのだ。』

「・・ヨン!来ていたの?
どうしたの怖い顔をして」

迂闊にも頭が混乱し
ウンスの気配を察するのが
おくれてしまったヨンだったが
すぐさまウンスの手首を引っ張り
大股でウンスの私室へと向かう

「ヨン。痛いって・・もう少し
ゆっくり歩いてよ…私何か悪いこと
したかな?」

「すまぬ。大事ないか?・・されど
何故俺に言わぬ。出産は
危ないのであろう?」

「・・・」

「ウンス?」

「部屋へ行きましょう。ちゃんと
話すから」

幸い私室ではソマンが昼寝している
イルムとサンミはただならぬ
二人の様子にそっと席を外す…

「ヨン。言えなかったの
ごめんなさい・・・でも貴方に言えば
子はいらぬって言うでしょう
でもね。私は一人っ子だったから
ソマンには兄弟を作ってやりたいの
堕胎しろなんてひどいこと
言わないわよね?」

「・・・ウンス。俺の母上は
俺を生み身体を壊し逝ったと
俺は思うておる。そんな思いを
ウンスにさせとうない。貴女がおらぬ
世など俺は生きてはいけぬ。
俺やソマンのことは考えては
くれぬのか?」

「ヨン!それは違うぞ」

気配を消し叔母が現れ
二人は驚き戸口へと眼を向けた。

「叔母様」

「典医寺からポンが私のところに
血相をかえ飛んできたゆえ…
義姉上様は、もともと身体が弱い
お方であった。お前を授かり
大層お喜びになられておったが・・
悲しいかなあのような最期と
なってしまったが・・・
されどお前を生み
拍車をかけたのではないぞ
勘違い致すでない。我が子にそう
思われておるなど、義姉上が
知ったら、どれ程悲しまれるか
分かっておるのか!」

「されど・・・」

「されども云々もないわ!
私を、侍医を信頼せぬか
必ずや無事に生ませてみせるわ」

むくっと起き上がったソマン。
寝台を滑りおり、三人の前に出ると
徐に涙を溢すしながら呟く

「かか・・いない・・ソマン
とととおなじ・・・あ~ん。あ~ん」

「泣かないでソマン。母は必ず
生きてみせるから、ソマンを残し
いけないもの・・・」

「・・・かならず?」



中途半端ごめんなさい。時間切れ
ただいま14時50分Σ(・ω・ノ)ノ
読み返しておりません。誤字脱字
許して~~m(_ _)m

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