木春菊  [偕老同穴] 96 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ヨンが出立し十日目の夕刻
役目を終え、チョンスが御者を勤める
馬車で帰路につこうとしていた時

「とと…とと…かえり。ちぃ~お~
かえり」とソマンが何度も訴える

ちぃ~とはチョンスのことと
ウンスは知っている。

「ソマン。チョンスに王宮に帰れと
言っているの?父が戻ってきたの?」

だがいつもなら
民が総出で出迎える光景が見られる筈
今宵はし~んと静まり反って
いる。それは無さそうである。

「ソマンの勘違いじゃない?
市井が静かだもの・・」

「とと…うちろ!うちろ!!」

ソマンは首を左右に振り
小さな拳を握りしめ言葉がうまく
伝わらないもどかしさか
徐々に顔が歪んみ泣き出す始末…

「あ~ん~。あ~ん。…ととうちろ!」

「わかった。わかっから泣かないで
チョンス~馬車止めて!」

ぎぎぃ~と馬車が止まると
例の如く、順番に馬車から降り
ウンスが降りてくる
ソマンはウンスの手を借りぽいっと
飛びはね上手に着地する。

陽が沈むのがもう少し先であろう
いまはまだ遥か彼方まで肉眼でも
はっきり見える。
かたや露天の店主らが
後片付けに精を出す刻限である。

「とと-----」と
声を張り上げ、ウンスの手を振りほどき
だ~~。と駆け出すソマン

「ソマン。走っちゃだめ転ぶわよ
待ちなさい!ソマン~」

いやいやと、首を左右に振り
加速を増すソマン。
ウンスはとてもとても
追い付きそうにない。

あとを追うヘジンとアル…武閣氏さえも
舌を巻く早さである。


「ん?あれはソマン?」

肉眼では、流石のヨンでもぼんやりと
見えるだけである。
されどその早さは幼子では
あり得ぬはやさ
懸命に脚を前にだしこちらに向かって
くるではないか・・
ヨンも愛馬の手綱を握り
しめ、横腹を蹴り加速する。

肉眼でソマンと分かるとヨンは
愛馬から颯爽と飛び降り
背を走り追い付いたテマンに手綱を渡す

「軽功か・・・・」

大好きな母。もちろん父も大好きである
ソマン。姿は見えずとも気配を
頼りに、がむしゃらに駆けてくる
その姿に親なら誰でもほろりと
くるもの・・・はたと気がつけば
すでに足元でヨンを見上げていた

「とと…」

両腕をあげ抱っことせがむ…
だが鎧を纏い、埃まみれである己が
恨めしい…幼子の柔肌に傷を
付けてはと躊躇(ためら)い躊躇して
いると、テマンがどこからか
大きな風呂敷を調達してきた。

ヨンはすぐさま首に巻き
ソマンを抱き上げる。

「ソマン・・・」

「とと…かえり(お帰り)~~」

「こら、ソマン髭が痛いであろう
それに汚れておる」

ソマンはお構い無しに、ヨンの頬に
ちゅうをし、父が帰ってきたのを
確かめるように
顔中ぺちゃぺちゃと触れていた。

「はぁ~はぁ~。やっと追い付いた
・・・ヨン・・・お帰り・・」

肩で息を繰り返し
やっと追い付いたウンス。
お帰りと呟くのが精一杯である
いつもなら怪我はないかと、目視で
確かめる余裕すら
此度はないようである。

「スリバンから無事と貴女の
あの文字で安堵はしていたがどうも
顔を見るまでは落ち着かぬ故・・
心底安堵致した・・・」

「ヨン・・・クスン」

「泣くでない。約束致した故
無傷で戻った。そうであろう」

うんうんと頷きヨンの胸に顔を埋める
ソマンを片手に抱き、ウンスを
細い腰をぎゅっと押さえ抱き寄せる。
ぽんぽんと、ソマンの小さな手が
ウンスの頭を撫でる。
ふと露天の屋根に目をやれば
いつの間にやら、テマンがヘジンと
再会を喜び分かち合っている。

「ヨン。戻れるの?」

「いや。牢車を先に護送してきただけ
ゆえ。戻らねばならぬ
すでに皆は都に入っておる先に屋敷へ
戻り待っておるか?」

「いや、離れたくないの。典医寺で
待っているわ。構わない?」

「構わぬが・・・凱旋を済ませ
王様に拝謁せねばならぬ故
遅くなるやもしるれぬが」

「うん。わかってる…ちゃんと
おとなしく待ってる。」

「ふぅ…テマン!戻ってよいぞ
ご苦労だった。」

こくりと頷くと二人は
屋根から飛び降りヨンの前にで
一礼すると嬉しそうに跳びはね
市井の長屋へ急ぎ消えて行く

ヨンはチョンスに命じ
無事の知らせをサムに伝え
遅くなろうともチュンソクとともに
戻ると、言付けを託した。
アルはウンスを護衛がてら
典医寺へ逆戻りすることを望んだ
イルム、サンミはウンスがおるため
子守りは遠慮したのだ。

王宮まで送るとのヨンの申し出を
ウンスは、頑として拒んだ。
一刻も早くお役目を終え
そばに戻ってきて欲しかった為で
あり、三人で歩いて戻ると言う。
言い出したら譲らないウンスのこと
ヨンもしぶしぶ承諾していた
屋根伝いに、ジホとシウルが潜んで
いるのがわかったからである。

「では、行って参る。典医寺で
待っておれ。アル頼んだぞ!」

「行ってらっしゃい」

「らっちゃい」

ウンスが手を振るとソマンも真似をし
懸命に手を振り父を見送る。

三人が王宮へ舞い戻る頃には
都の民が総出で王宮の前に
集まっていた。

「すごい人ね。凱旋だもの
あたりまえなのかしら、初めて
見るのよ。ねえアル・・・」

「なりません!!」

「へ?何も言ってないけど」

「奥方様の言いたいことは想像が
付きますから。」とアルは胸を張る

「・・・けち・・トクマン君の
勇姿みたくない?」

「勇姿・・・」

アルがもじもじ返答に困っているのを
ジホとシウルは見ていた。

「どうする?」

「ここからならよく見えるよな?」

「ジホ止めとけ!ヨンの旦那に
叱られるぞ。だいいち
ここまでどうやって引き上げるんだよ
下手に触れてみろ殺されるぞ」


皆様こんにちは
いつもお寄り下さり
誠にありがとうございます

アメンバー申請のことですが

1  成人女性であること

2        年代(ざっくりで構いません)

3         以上を添えてメッセージを
頂けますようよろしくお願い致します

何度か書かせて頂いております。
以前は、私からメッセージを送り
確認致しておりましたが
いまは致しておりません。
何人もの方が、二週間が過ぎ
運営側から削除されております。
アメンバー申請されて
未だに承認されていない方
今一度確認のほど宜しく
お願い申し上げます。

台風が近づく週末のようです
すでに私が住む地域も雨が降りだし
ております。
被害がでないことを
お祈り申し上げております。


でんべ

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