木春菊  [偕老同穴] 97 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「あんた?どこから登ってきた?
市井の人が纏う衣じゃないよな」

「典医寺の薬医員のポンといいますが
王宮には梯がありますから
いつも借りて凱旋を拝んでますけど」

「はん?」

王宮大門凱旋が一望できる特等席
大門の脇にぐるりと張り巡らされた
塀の上にちっかり腰を降ろすポン
「これだ!」と思ったジホとシウル

「医仙が下にいるんだ。手伝って
くれないか?俺たちは怪しい者じゃ
ない。ヨンの旦那も医仙も親しい
間柄だ!なあ~そんな顔で見ないで
くれよ。」

ポンは、怪訝そうな顔をし
ジホとシウルを胡散臭いと輩と
ふんだようである。

「倭寇討伐にも手を貸したんだ
医仙に聞けば分かる。」

シウルは懸命にポンに訴える

「そうよね…医仙様に問えば
分かることよね・・わかったわ
こっちよ」

すたすたすたと器用に塀の上を
歩き、梯の場所を二人に伝える
王宮内側から確かに梯は
立て掛けられていた。

「お~い。医仙・・・奥方~~ジホだ
分かるか~」

「へ?頭の上から誰か呼んでる・・」

辺りが薄暗くなりウンスは目を凝らし
頭上に目を走らせる。

「あ!ジホ~。シウルもいるんだ」

「こっちだ~。」

民が手に手に松明を持ち
我先にと薄暗くなった道を照らし
危うく、揉みくちゃにされる寸前
頭上から降るジホの声に助けられ
ウンスとソマン、アルは
導かれるまま移動する。
大門をくぐり、その隅に
立て掛けられた梯を見つけ出した。

「医仙様~。登れますか~?」

「ポンじゃない。いつからいたのよ」

「そんなことより早く登って下さい~
凱旋が見られなくなりますよ~」

「そ、そうね…ソマンを
どうしょうかしら・・・抱っこする?
いやいや怖いわ。ソマンが落ちたら
大変だから止めとこうか?」

手を繋ぐソマンに優しく問う。
いやいやと首を振り
塀の上を指差し「いく。いく」
と我を張る。

「そう言っても母じゃソマンを
抱えて登れないわよ。諦めようね」

「いく!ととくる!!」

「そんな我が儘言わないの」

「うふふ。ソマンいくわよ
しっかり掴まってなさい!」

「サルム姐さん!」

「ウンスの事だから凱旋を見たい
だろうなって思ってね。
我が儘言って、アルを困らせて
いるんだろうなって」

塀の上からひらりと飛び降り
ウンスの前に現れたサルム。
ひょいとソマンを抱き上げ
肩車をすると、するするするといとも
簡単に梯を登り塀の上に降り立つ。

「ふふふ。ありがとうサルム姐さん
アル行くわよ。」

ウンスが前を登り、アルがウンスを
守るようにその後ろから梯を登る

「わ~~。都が一望出来そうね
たかっ・・・怖いから腰掛けようよ。」

おなごなら
身震いするほどの高さである。
それもその筈、敵の侵入を容易く許す
塀では、何の意味も有しない。
それを梯を使わず登る
スリバンの身体能力の高さには
ウンスも目を見張るものがある。

眼下を見下ろせば、松明を手に
民が左右に別れ、薄暗い道を照らす。
その真ん中を、ヨンを筆頭に
右にチュンソク。その脇にトクマン
左にアンジェと
高麗軍が威風堂々とゆっくり通過する。

「見て!ソマン…あの先頭にいるのが
父よ。すごいわね~。たくさんの
仲間に守られて・・ソマンもそんな
大人になって欲しいと
思っているのよ・・・人の痛みに
寄り添い分かち合い、そして
救い救われ、そうして仲間が一人また
一人と増えていくのよ。
ソマンにはまだ難しいわね…ふふふ」

ソマンは、父の勇姿を
ウンスの膝の上でじっと見つめていた
その距離は、まだまだ遠く
浮かび上がる影だけが
見えるだけである。
ソマンの脳裏には、どのように
焼き付けられたのか、定かではない
のだか・・・

「とと…」

徐々に近づく大きな影

『ん?・・・典医寺で待っておると
言っておったはず、しかもどうやって
登った・・・よもや他のおのこが・・
あり得ぬ!!』

「ぎょっ!・・・かか?とと…
すぎょくおこってる。」

「そうなの?見つかった?
降りようか。あの人の勇姿も初めて
間近で見ることも出来たし
ソマンも良かったわね」

膝の上から顔を斜めに傾け
ソマンがそう伝えると
ウンスはソマンを膝から降ろし
立ち上がる。・・・と、同時に
ウンスの脚が痺ればらんすを崩す。

「きゃゃ-----」

「かか----」

「医仙様~」「医仙!」

塀の内側にまっ逆さまに落ちていく
ウンス・・・
様々な声が遠くに聴こえる。


「ぱっふんっ」
「いたっ…え?痛くない!・・」

ウンスは恐る恐る片目を開けると
そこは安堵の表情を浮かべた
ヨンの逞しい腕の中あった。

「かか---あ~ん。あ~ん。かか~」

「大事ない。ソマン…そこで待っておれ
父が迎えに行く故。」

ヨンはウンスを取り敢えず降ろすが
ぎろりと睨む事を忘れない。
そして梯をするすると登ると
ソマンを抱え、軽功を身に纏い
ひらりと飛び降りる。

「まったく!これだから片時も
目が離せぬ。」

「・・・ごめんなさい・・・」

「間に合った故よいものを・・・
さもなくば今ごろ骨のひとつやふたつ
いや・・・黄泉の国行きだったやも
知れぬ!分かっておるのか!」

ヨンのお小言は、語尾を強め
とどまるところをしらない。
徐々に肩身が狭くなり項垂れるウンス
そして涙が頬を伝う。

「とと…かかなく・・・ソマンもなく
おこちゃ・・・め!」

そんな母を健気にも背に庇い
ヨンを懇願の眼差しで見つめるソマン

「・・・すまぬ・・ウンスを失ったら
と思うと・・つい・・・ソマン
父は怒ってなどおらぬ。母もソマンも
大事ゆえ・・・」

ヨンはそう言葉にすると項垂れる
ウンスを抱き寄せ、涙をぬぐうので
あった・・・


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