木春菊  [偕老同穴] 95 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「どうした?・・」

「へ?あ!叔母様すみません。」

「ため息などらしくもない」

「え~~。叔母様私だって笑って
ばかりはいれませんよ。
あの人が無事なのかも心配になります
文のひとつもくれないんですもの」

診療棟から分厚い雲に
覆われた空を眺めては、ため息を
溢し、季節の変わり目なのか
体調を崩す女官の診療を終えては
ため息を溢す。朝役目についてから
お日様が天高く昇ろうとする
この刻限まで、これで何度目のため息か
と、トギやポンなどは面白おかしく
指を折り数えるほどである。

「その文じゃ。されど・・けったいな
暗号が並んでおる。私ではとても
読めぬ。ウンスなら分かるかと…
これじゃ」

「え!文~叔母様も意地がわるいです
早く教えてくださいよ」

ウンスは、先程までの気鬱は
どこへやら。満面の笑みを浮かべ
文を受け取りひらく 「사랑해」
たったこれだけの文。ウンスには
十二分に伝わる嬉しい言葉だ。

「ソマンに教えてあげなきゃ。
あの子もすごく待っていたんです」

侍医に一声も掛けず
駆け出すウンス。・・・

「まったく…子がおっても忙しないの~
侍医すまぬな。暫し抜けるゆえ
構わぬか」

「はい。チェ尚宮様構いません
・・・それで高麗軍は?」

「ああ、制圧したようだ
それも気にならぬのかのぅ~・・」

ウンスの代わりに叔母が一礼すると
手を後ろ手に組み、ウンスの私室へと
向かうのである。


「ソマン~~。父から文が届いたわよ」

典医寺から私室へ繋がる
階段を一気に駆け降り
ウンスは私室へ飛び込む。
ソマンは、文の意味は分からないが
母の大きな声と気配に、嬉しいそうに
反応すると戸口まで駆けより
ウンスの懐へ飛び込む。

「かか!…」

ソマンの勢いに圧され腰を屈め出迎えた
ウンスは尻もちを付くほどである。
大好きな母の胸に顔を埋め
その香りを嗅ぎ笑みを浮かべ頬に
何度もちゅうをする。

「見てアル。ソマン殿の勝ち誇った顔
ほんとうに表情がころころ代わり
飽きないわね~。医仙様そっくりよ」

「昼寝か?」

「おばば~~」

「こら、まてソマン人前ぞ
ちゅうは屋敷で…王宮では私の
体面が・・・・あ~あ~」

ウンスに覆い被さりちゅうをしていた
ソマンの頭上から叔母の声が
すると、ソマンは器用に
武閣氏の衣に掴まりするするすると
登っていき、あっと言う間に
肩まで登ると頬に何度もちゅうを
する。
流石のチェ尚宮も諦めたようである
幼子に体面と言っても通る訳もなく
されるがままにちゅうを受け入れる

「これ、ウンスなんとかせぬか」

「すみません。ソマン駄目よ
叔母様がソマンの事
嫌いになっちゃうわよ。それでも
いいの?」

「ぎょっ…おばばソマンきらい?」

「嫌いな訳がなかろう…このように
愛らしい孫を・・・
目にいれても痛くないぞ
試しに入って見るか。ん?」

おばばの戯れ言で小さい眼を見開くと
「きゃっきゃっ」と笑い声をあげ
安堵したように、ソマンは
おばばの顔を覗き込む。

「重くなったものよ。ソマン
はようおおきゅうなれ、そなたが
嫁を貰うまで、このおばばは見届けねば
ならぬゆえのぅ・・」

ソマンは、父がいない寂しさを
肉親であるおばばに甘え紛らわして
いるのかもしれない。
もの覚えついてから、幾日も顔を
合わせないのは初めてのことなのだ

「ソマン。父が戻ってくるぞ~
皆無事のようじゃ」

「とと・・?」

父が帰ると聞いた途端
ソマンの顔がぱあ~と明るくなり
嬉しそうに微笑む。

「ああ…そうじゃ。戦は終わった
ようじゃ。」

「叔母様。ほんとうに?」

「嘘を言ってどうする。話も聞かず
駆け出すゆえ。・・・のぅ~ソマン
そなたの母は忙しないの~
父もさぞかし案じておろう」

「あ!・・・つい・・嬉しくて」

そう呟くと
ぺろりと舌をだし肩を竦めるウンス
叔母が、早馬にて王様に届いた
書簡の中身をかいつまんで教えて
くれた。
倭寇を退け、高麗軍が勝利を
おさめたこと、三日前には海岸沿いを
出立しているが、捕らえた倭寇を
護送するため、幾分日にちを
ようすることなどである。

「屋敷が襲撃された次の日には
終わっていたんですね・・・
良かった・・・みんな無事で」

「ああ…まこと安堵致した・・
手薄であった王宮の守りも上護軍の
計らいで、都を護る高麗京軍から
まわされ何事もなく済んだ・・
されど…上護軍は刺客に気づかず
通してしまったことをえらく
気に病んでおると耳にしたが」

「まあ…みんな無事だったに・・」

「あやつが戻れば、どうにか手を
打ってくれよう…ところでウンス
あやつの文の文字はなんと
書いてあるのじゃ?」

とんっとソマンを降ろし
ウンスが手に持つ文を覗き込む

「・・・ふふふ」

つんつんとソマンが
ウンスの白い医官服の裾を引っ張る

「あ、ごめんソマンも見たいわよね
はい。これが父の文よ」

「ふみ・・かか?」

「そうね…サランヘって書いてあるの
私が以前、意味を教えていたからも
あるけど、あの時サルム姐さんが
無事を知らせる鳩を飛ばすって
知って…この文字を添えて飛ばして
いたんです。」

「で、意味は?」

「ふふふ…それはいくら叔母様でも
教えられません。私とあの人の
大切な言葉ですから」

「・・・ソマンもしる(知りたい)」

「ふふふ…知りたいの?」

ウンスが腰を屈めソマンの目線で
優しく問うと、こくりと頷き
瞳をぱあっ~と輝かせるソマン。
ウンスはソマンの耳もとへ
唇を寄せると「ひそひそひそと」
意味を伝える。

「なんだ!おばばはのけ者か?
まあよいわ・・」

らしくもなく、ぷいっと顔を背け
部屋を出ようとするチェ尚宮に
てくてくと歩みより衣も裾を
引っ張り腰を屈めろと訴える。

「おばば・・ひちょひちょひちょ・・」

「・・・・」

きっとチェ尚宮の頭の中を覗き
見ることが叶うなら…「???」で
埋め尽くされていたことであろう
ウンスは、意味をソマンに伝えたが
分かる筈もなく、ただ小声で話す
母の真似をし、小声で
「おばば…かし」
催促したのだから・・・・



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