木春菊  [偕老同穴] 証106 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「侍医…少し話が有るのだが
構わぬか」

「はい…なんでございましょう
チェ尚宮様が直々お越しとは、もしや
王妃様、若しくは王子様に異変が?」

「いや…侍医の話じゃ・・・」

叔母は、流石に切り出すのに躊躇して
いる…唇を噛みしめ言葉を
選んでいる様子が垣間見える

「そなたを助けたく、皆が力を注いで
おる…」

「はあ・・・」

「・・・単刀直入に申すが…そなたの
親御の事だ・・親御の族譜から
侍医と他の兄弟を外した・・勝手では
あったが、侍医の真意を聞いてからでは
間に合わぬと、大護軍が判断を下し
先に除籍したのだ…すまぬ」

「・・・ん?その意図はもしや
父上が、何かを仕出かす手がかりを
掴んだと言うことでございましょうか」

「手がかりではなく、すでに大護軍の
屋敷に怒濤組んで押し入った」

「・・・!!なんと申されました?」

叔母は事の子細をすべて話す
だが…

「侍医には辛かろうが…堪えてくれぬか
屋敷は案ずることはない…大護軍も
急ぎ向かっておるゆえの」

「なんと愚かな事を・・・恩赦を賜り
真っ当に生きる道しるべを、王様が
与えて下さったものを・・ですが
私らはすべて言わば、妾の子…
されど、我々兄弟だけがそのような
こと、罷り通る世ではありますまい
私は甘んじて罰は受ける覚悟は
出来ております…」

「故に…そなたが口をつぐめば事は
露見する事はない…よいな!?」

「はあ・・・」

「みなの好意を無下にするでない
王様も承知の上じゃ…重臣らが騒げば
あやつが黙らせるであろう…案ずるな」

「・・・・」

叔母は侍医に話を済ませると
王妃様の許しを得、急ぎ屋敷へと
向かう…ヨンが強かろうがスリバンが
加勢しょうが関係なかった
ウンスの無事を、自身の眼で確かめ
たかった。ただそれだけであった
もしやこの騒動で、お産となるやも
知れぬとふんだのもある。



残されたイム侍医は一人思い悩んでいる
母親が他界している今、実父がたった
一人の親なのだ・・・
どんな経緯があろうと、親の不幸を
喜ぶ子はいない・・・だが己の為に
皆が動いたと耳にすればこれまた
心が動くのも事実・・・

侍医は徐に立ち上がると、宣仁殿へと
脚を向ける



「王様…イム侍医が急ぎの要件で
訪ねておりますが」

「お通しせよ」

幸いなことに朝の拝謁の刻限が
済んだばかり、内官アンドチと迂達赤
が護衛に立っているだけだった

「侍医如何した?」

「・・・はい、この度は・・・」

「なんの事やら余はさっぱりわからぬ
故に頭を下げる必要はない」

王様は、侍医の言葉を遮り謝罪の言葉を
口にさせることはなかった
宣仁殿室内とはいえ油断ならぬ事を
重々承知しているためである

「王様…でしたら私めを、チェ家に
遣わして下さいませ…なにやら雲息が
怪しいらしくまかり間違えば
医仙殿のお身体に、異変が起きる
場合がございますればお願い
申し上げます」

「なんと!相分かった…
急ぎ向かうがよい…侍医が留守の折り
差配は済んでおるのだな」

「はい…恙無く済ましております
では失礼致します」



「護軍…これで良いな?侍医は生涯
孤独の身の上になるが、侍医ならば
イム家を再興できるやもしれぬでな」

「はっ!心根の真っ当な男とお見受け
致します。必ずや期待に添えるかと」

王様とチュンソクは、侍医が出て行った
扉を見つめしみじみ呟く



『ヨン!助けて-----!!』


街道を抜け市井へと入ったところで
ウンスの声が聴こえる!!
咄嗟に、愛馬からひらりと飛び降りる。
市中では全力で駆けれないためである
いくら賢い愛馬とて、童の突拍子もない
飛び出しは避けられない。

「チュホン…ウンスが呼んでおる
すまぬが先に行く…」

愛馬の鬣を優しく撫で呟くと
ヨンは瞳を瞑り、軽功を纏い駆け出す
もちろん愛馬は人を避け、ヨンのあとを
追う

『待っていろ!すぐに行く』



屋敷では…

「奥方を出して貰う!」

テマンとチョンスが、庭先で
睨み合い対峙する

「大護軍屋敷と知っての乱入か!
お前らの雇い主は誰だ!」

「知ってどうする?」

然程強くも見えぬ、ごろつきが
昼日中、チェ家に押し入っる
前代未聞の珍事である
暗闇に紛れ押し入られたことは
数度あったが…

ウンスは、閨へと避難し
扉の前を、鎌を片手にイルムが護衛に
立つ…

「おらたちの奥方様だ!…指一本
触れさせねぇぞ」

「大、大丈夫なのイルム?」

「任せてけろ…サンミ!」

イルムの背に、サンミが隠れわなわなと
震えながら呟く。
エギョンは、普段なら決して脚を
踏み入れない閨でウンスに覆い被さる


「あの人遅いわね…話せたんだけど
市中に入ったって、私の為に誰も怪我
なんてして欲しくないの」

「大丈夫でございます奥方様…
テマンさんもあの人も居ますから
怪我なんて致しません…お気を確かに
お持ち下さいませ」

「そう?」

不安気に揺れるウンスの瞳を見つめ
エギョンは、にっこり微笑んで見せる
のだった…



実際は除籍なんか出来ないのかも
知れませんが…そこはお話と言うことで
皆様の広~~~い心でお読み頂けたら
幸いです


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