木春菊  [偕老同穴] 証 98 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています





恩赦の候補が幾人か決まった…
その中にイム侍医の父親が含まれる


「大護軍殿、真に宜しいので?」

「ああ…されどすまぬが、ともに住まう
ことで、王様のお許しも頂いておる
監視を致さねばならぬと思うが
侍医はそれでも構わぬか」

「滅相もございませぬ…恩赦を
賜るのです。戻りましたら私が
生涯掛けて父上を養い、二度と間違いを
起こさぬそうしかと見守っていく
所存でございます」

「その覚悟忘れてはならぬぞ」

曇りのない眼だと思う。嘘偽りのない
まっすぐ、ヨンを見つめるその眼差し
ヨンは、ふっと片頬をあげると
出された茶を啜り、典医寺を後にする

今日はウンスの暦で言うと大晦日だ
ヨンは出仕し、ウンスは暇を賜っている
早よう役目済ませ、一刻でも早く
屋敷に戻りたいヨンは、兵舎に戻り
業務をこなしていた

「大護軍…侍医はなんと?」

「ああ…己がともに住まい監視をすると
言い切っておる。侍医が裏切ることは
なかろうが…なに分、色気けな男ゆえ
侍医が出仕しておる間は、スリバンに
当面の間、見張りを頼まねばなるまい」

「承知致しました、手筈を整えます」

「ああ、頼むぞ」

チュンソクは一礼し、スリバンに繋ぎを
つける為、王宮の外へと向かう
がしかし…己の屋敷前を
馬で駆け、通り過ぎてスリバンに
事の子細を話、承諾を得ると
少しだけならと、己の屋敷に戻る

「サム…戻った!おらぬのか?」

ばたばたと足音が聞こえると
サムが、厨房より駆け寄る

「どうしたのです?まだ昼下がりと
言うに・・・」

「役目の途中だが、屋敷を通るゆえ
ちと顔を出そうかと…何を作っておる?
匂いがするが」

「ふふ…ウンス様のところに、朝から
お邪魔していたのですが…今日は
ウンス様の世では、大晦日と言って
家族でご馳走を食べ
新年を祝うのだそうです
ですから…サムもチュンソク様とと思い
ご馳走を作っておりました」

「ほう~それは楽しみ」

「はい…ですが、チュンソク様
お役目の途中でございましょう?
早ようお戻りを、大護軍様に叱られ
ます」

「ならば…ちと・・・その・・
口づけを・・・」

チュンソクは、耳を朱色に染め
ぽつりと呟く…

「はっ?そのような事…まだ日も高いと
言うに、サムは出来ません!」

「大護軍のところなどところ構わず
口づけをしておる、何ゆえサムは
ならぬと申すのだ?」

「人は人でございましょう?
ウンス様は、天界人(てんかいびと)
挨拶の一部なのでしょう…サムは
無理です!」

サムに、ぴしゃりと退けられ
チュンソクは、しぶしぶ諦め屋敷を
後にする…玄関を出て馬の手綱に
手を掛けていると、ばたばたと
サムが駆け寄り、その頬に手を添え
ちゅっと唇に触れ、行ってらっしゃい
ませと頭を下げていた

「・・ああ、行ってくる・・」

チュンソクは、眼を見開き驚きはしたが
朱色に染まるサムをみやり、目尻が
知らず知らずに、下がっていた

チュンソクの屋敷は、使用人は雇っては
いない。サムが一人で仕切っている
広い屋敷ではないが、それでも
案じて病まないチュンソクは
陰ながらスリバンを見張らしていた



一方ウンスは…

「さて、今日は大晦日だから
ご馳走を作らないと、買い出しも
行かないと…旦那様の好物をたくさん
買いたいのよ、市井に付き合ってね」

チョンスとイルムをともに連れ
ウンスは市井へと繰り出す
あちらこちらからと、ウンスに
声が掛かる

「奥方様…もうすっかり妊婦さんだこと
目立ってきましたね」

「ええ、お陰さまで…ふふふ」

八百屋の女主に声を掛けられ
ウンスも、愛想笑いを浮かべ
それに答える

「で、イルム…
この人、私を知っているのかしら?」

「奥方様…都中知らねえ人はいねえだ」

「あらそう?私ってそんな有名人?」

「そりゃそうだべ!医仙様で、大護軍の
立派な奥方様で、情け深いお人で
ぶっ飛んだお方だって評判だ」

「ちょっと、ぶっ飛んだってどう言う
意味よ?」

ウンスは、ぷぅ~と頬を膨らませ
イルムと女主を交互に見つめる

「それ、それ、奥方様、高麗の女人は
その仕草はしないからね…あははは」

女主に、ずばり指摘されウンスの頬は
益々膨れるのだった
だが…それがこの奥方様の良いところ
であると、誰もが思うのである


ポチっとして下されば嬉しいです





にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村