木春菊  [偕老同穴] 証85 | シンイ二次小説でんべのブログ

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姿を消したアルは
チェ尚宮のところにいた
そして事情を包み隠さず伝える

「それは真か?身体は大事ないのか」

「はい、チェ尚宮様…侍医が命を下され
医仙様をお連れいたしてございます」

「大護軍に知らせたか?」

「いえ、先ずはチェ尚宮様にお知らせ
せねばと思い、馳せ参じた次第で
ございます」

「大護軍に知らせよ…いや、よい
私が行くとする…よく知らせてくれた
アルは戻っておれ」

はいと頷くとアルは踵を返し
典医寺へと戻り、叔母は王妃様の許しを
得、兵舎へと向かう


あやつの子故、どのような内功を
持って生まれてもおかしくはないと
思うてはおったが…まだ腹におるにも
関わらず内功を使うとは、あやつを
越えるやも知れぬと言う事か?
まあ…よい、内功故生まれてからの
鍛練次第と言うことか…

兵舎へ向かう回廊を歩きながら
ふとそんな事を考えていた

チェ尚宮が姿を現すと
チュンソクがどこからか飛んでくる


「チェ尚宮様、このようなむさ苦しい
ところに、お呼び下さればお伺い
致したものを」

「大護軍はおるな、護軍、内密な話ゆえ
誰も近づけてはならぬ、よいな!」

「はっ!心得ましてございます」

チュンソクが一礼すると
叔母は、素早く二階へ上がり私室へと
姿を消す

「叔母上如何した」

「お前…私に隠し事があろう!赤子の事だ、武閣氏からすべて聴いた」

「・・・生まれる前から案じても
仕方なかろう…内功は、鍛練せねば
操る事はできぬ故、その折りに
叔母上に知らせようと思うていたが
・・・武閣氏が叔母上のところに
顔を出したと言う事は、ウンスの身に
何かあったのか!」

ヨンは椅子から立ち上がると
眉を潜め、叔母に詰め寄る

「落ち着け・・・倒れたそうだ・・
だが案ずるな、侍医がすぐに駆けつけ
事なきを得たようだ
真に、お前の腹の内が読める
内功なのか」

「なに!!叔母上話はあとにしてくれ
様子を見に参るのが先だ」

「馬鹿者、落ち着けと言うておろう!」

「ああ…叔母上すまぬ」

「お前、そんなにウンスが大事か」

叔母は、甥の慌てふためく様を
目の当たりにし、愚問と分かって
いても問うて見たくなった

「ああ、生きて行けぬ!」

「・・・はぁ…早よう行ってやれ
心細くしておろう、私もすぐに参る」

ヨンはあっと言うまに私室から
姿を消し、叔母もそのあとを追う





「医仙殿のために、トギとポンが
飲みやすいようにと、丹精込めて
作りあげた 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を丸めた薬にて、お飲み下され」

「こんな真っ黒いの嫌よ、とっても
苦そうだもの」

ウンスは涙目で必死に訴えていたが…
片眉をぴくりとあげ、トギとポンが
つかつかと歩み寄る

「あ、大護軍様がお見えのようです」

「え!どこよ」

ウンスが「え!」と発すると同時に
トギが 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)をウンスの口に放り込む

「うっっ、トギを・・ひどいじゃない」

「ごっくん」と飲み込むと…

「あれ?あんまり苦くないわ…
これなら飲めるわよ、トギもポンも
流石よ」

『まったく…昔からぎゃぎゃと煩い
おなごだ!試しもせず私の腕を
見くびるな!』

と、ポンが皆にトギを指を皆に伝える

トギは、自身の胸をぽんと叩くと
にやりと笑みを浮かべる

「ごめんなさい・・・」

ウンスが軽く頭を下げていると・・・

「ウンス!!大事ないか…」

「ヨ、ヨン・・・」

「まったく、貴女はと言う方は
俺と誓ったではないか!」

ウンスの身を案ずるばかりに
ヨンの語尾も強めになる

「・・・ごめんなさい・・」

「ウンス!!侍医ちと医仙を借りるぞ
馬鹿者!私室までお連れせねか
ここで怒鳴り、誰ぞに聞かれたら
厄介なことにもなりかねぬ」

「ああ…」

ヨンはそう呟くと
ウンスを軽々横抱きにすると
叔母とともに私室へと脚を向ける

そっと寝台に下ろされるが
叔母の詰問紛いの説教が始まった

「ウンス、なにゆえ人の腹など読まねば
ならぬ!そなたは医員であろう?
赤子の負担を第一に、考えてやらねば
ならぬ立場の筈…母親なら尚更で
あろう!違うか!」

「・・・そうです…ただ本当に
この人の役に立てたらと思って…」

「戯け!!こやつがそなたや赤子の
力を借りねばならぬ程、落ちぶれては
おらぬわ」

「・・はい、誰とも出来ませんでした
もうしません…本当にすみません」

ウンスは寝台から立ち上がり
土下座する勢いで、頭をたれる

なかなか頭が上がらないウンス
唇を真一文字に結び
泣き顔を見られまいと
顔をあげられないでいたのだ

「叔母上、もうよい…」

「・・・」

ヨンは、そんなウンスを察し
腰に手を添え、寝台に腰掛けさせる

「・・・ウンス、そなたを案じれば
こそ・・・すまぬな許せ…」

叔母はヨンを押し退け、腰掛ける
ウンスの手を取り、そっと包み込み
瞳を覗き見る

「すまなかった・・厳しく言い過ぎた
なれど、憎くて言う・・」

「分かっています、叔母様・・
もう何も言わないで下さい…本当に
ご心配お掛けしてすみませんでした」

「ならばよい…私は戻るとする
こやつに労ってもらえ」

そう言って叔母は、僅かに笑みを浮かべ
私室を後にする


「ヨン…ごめんなさい」

「叔母も俺も、ウンスの身体を案じれば
こそ…」

「・・・分かってる・・」

「ならば顔をあげよ…」

瞳を潤ませウンスは顔を漸くあげ
ヨンを見つめる…ともに寝台に腰掛け
向かい合う形になると、ヨンは
ウンスの唇に、そっと己の唇を重ねる

そして
長い一刻がやっと終わりを告げた


※※※※※

皆様こんにちは
いつもお寄り下さり誠に
ありがとうございます


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