木春菊  [偕老同穴] 80 | シンイ二次小説でんべのブログ

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二人が居間へと向かうと
テマンが右往左往する姿がちらりと
見える

「あ…大護軍・・・」

「どうしたの?エギョン
屋敷の外まで怒鳴り声が漏れて
いたわよ」

「出迎えもせず申し訳ございません」

エギョンは深々と一礼する

「それは、良いんだけどどうしたのよ
エギョンの怒鳴り声なんて聞いた事
ないから驚くじゃない、説明して」

エギョンのそばには、涙をため佇む
サンミとイルム
長卓の上には、火鉢でこんがり
焼けた鶏肉…だがよくみると
どうも不恰好である
そう…手羽の部位が両方足りないのだ

ウンスがそれを見つけ
サンミとイルムに目を向けると・・
口の回りは油まみれ
手には手羽の食いさしが握られていた

「もう分かったわ…ようはつまみ食い
をして怒られていたって事ね」

「そうでございます…奥方様
主の食事をつまみ食いなど
以ての外でございます
暇を出されても致し方ないこと
ですから、旦那様と奥方様にご相談
申し上げ暇を出そうかと」

「・・肉を食ってみたかっただ・・」

「・・申し訳ありません、旦那様
奥方様・・どうしても食べてみたくなり
二人でつまみ食いをしてしまいました
暇だけは勘弁して下さい」

ヨンには、ウンスが女主としてこれから
吐くであろう言葉が浮かんでいた
口の端をあげるとテマンに
合図を送る。テマンもまたそれを
理解し、チョンスを連れ庭へと消える

深々と頭を下げる若い二人

「そうよね…この時代肉は
一部の人しか食べれないわよね
初めてだったの?美味しかった?」

こくこくと頷く二人

「他の屋敷の事はまったく知らないけど
チェ家では、そんな些細なことでは
暇を出さないわよ!二人ともよく働いて
くれるじゃない…エギョンそうでしょう
?それに伸び盛りの若い二人が
初めて仕出かした粗相じゃない
目くじら立てないの!」

「はあ・・・・ですが・・」

「良いのいいの!食べてみたかったのよ
誰でもあり得ることよ、以前王妃様から
肉のお裾分けを頂いた時、二人とも
居なかったかしら・・?」

「そう記憶しておりますが」

「そう…なら尚更ね
私は身分の上下なんて、一度も考えた
事ないわ…みんな家族だと思って
いるから、さあ二人とも顔を上げて
手を洗ってらっしゃい
そんな油まみれの手で、あちこち
触られたらそれこそ大変よ…ふふふ」

そう名裁きを下してはみたものの
ちと不安になり、隣に腰掛ける
ヨンの顔をちらりと見ると
目元を緩め見つめ返すヨン

「あ~良かった・・」

「見事な裁きであったぞ…ウンスらしい
と言えるな」

それでこそチェ家の女主といえよう
人を見下さず、分け隔てなく接し
心を豊かにして下さる
そんな貴女だから、恋い慕う
心根がいつまでも消えることはないのだ

ヨンはそう胸に秘め見つめていた



「お待ちどう様です」

盆に乗せ、鶏肉を
テマンとチョンスが運んでくる

「わ~~凄い、今更なんだけど
ところで、この鶏肉どうしたの?」

「腹が減るのであろう?肉には
目がないであろう?ゆえにあちこち
駆けずり回り、差配させた
叔母上も力を貸してくれたゆえ
遠慮せず皆も食べよ」

ヨンはからかい半分でウンスを
見つめ口の端をあげる

「もう~その顔!!でも私達では
食べきれない数だけど、誰か来るの?」

「さあな」


「邪魔をするぞ…」

「叔母様…トギ、ポン、え~ミント
アルまでどうしたんです」

ウンスは、椅子から立ち上がり
叔母の突然の来訪に眼を見開く

「なに、王様がお泊まりゆえ
邪魔者は、早々に退散してきたと
言うわけじゃ、エギョン客間に
五人分の床の支度を頼む」

「は、はい…すぐに」

ばたばたとエギョンが姿を消すと
サンミ、イルムも後を追う

「トギに声を掛けたら、皆が我も我もと
名乗りをあげてのぅ…すまぬな」

「私達 武閣氏は違います!
チェ尚宮様の護衛で、お供したまでに
過ぎませんから」

ミントは胸を張り言い訳を口にする

「ふふふ…ミントったら肉の匂いが
王宮まで届いたのかしら…さあ皆さん
食べて下さい…せっかく
叔母様と、この人が用意して
くれたんだから、余らせないでね
この時期、傷むのが早いから
もったいないわよ」


それぞれが鶏肉を美味しそうに頬張る
ウンスの頬張る姿に、一同の手が
止まり凝視する

「え?なに?私の顔に何かついてる?
モグモグ」

「いや…懐妊している為なのか
地なのか、区別がつかぬと思うてな」

「もう…叔母も戯れを仰るんですね
でも二人分ですから今だけですよ」

ウンスはぷぅ~と頬を膨らませ
皆の笑いを誘うのであった
無論サンミとイルムにも
お腹いっぱいになるだけの鶏肉が
分けられ、会話も弾み夜遅くまで
夕餉の宴は続いたのである


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