木春菊  [偕老同穴] 証 77 | シンイ二次小説でんべのブログ

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大門まで、歩みを進めた二人

「「・・・」」

白地の衣を纏う二人を
いままで拝む事がなかった為か
使用人は絶句し、言葉も出ない

「みんな~~、待っていてくれたの?」

「・・はい、奥方様、旦那様から
今朝がたお言葉を賜り、大勢で
押し掛けてしまいました・・とても
お綺麗でございます…このエギョン
いつ死んでも本望でございます…」

「あ、それは言いっこなしだから
これでも医員よ、人の生死を容易く
口にしないでくれる…」

「あ…私としたことが申し訳
ございません、それだけ嬉しく思え
ましたもので…」

エギョンは嬉し泣きをしながら
軽く頭を下げる

「分かってくれたらいいのよ…ふふふ
あ、マンボ姐さんも来てくれたの?」

「チェ尚宮から使いがきてさ
ヨンの奴が、丹精込めた衣を見に
来てやってくれないかと、親馬鹿だよ
まったく・・・」

「マンボ!余計なことは言わずともよい
口が過ぎる!」

叔母が照れたようにマンボを
にらみつける

「ウンス…くるりと回って見せてくれ」

師父の言葉に、ウンスは笑みを浮かべ
くるりと回り、チマの裾の小菊が
皆に見えるよう、僅かだが持ち上げ
膝をおり微笑む

「旦那様…武術だけではないのですね
このような繊細な刺繍まで
そつなくこなすとは・・・」

サンミは繋ぐ言葉が見当たらず
語尾を濁す

「もうよいであろう…ウンス
着替え、役目に戻らねばならぬ故」

「ヨンの奴照れたのかい」

「うるさい…さっさと帰れ!」

ぎろりと師父を睨み付けると
ヨンは、ウンスの手を取り踵を返す

「もう--せっかちなんだから
みんな…わざわざありがとう」


ウンスはひらひらと
大門に向かい手を振り、廊下を歩いて
いるとしみじみ呟く

「嬉しい・・」

「・・ウンス・・俺のここを先に
埋めてくれたのは貴女だ、それを少し
返したまで故、気にせずともよい」

ヨンは歩みを止めると
自身の胸を押さえ、想いを伝える

然り気無いヨンの言葉に
ウンスの瞳はみるみる涙が溢れ出す

「飾らない貴方の言葉がほんとに
嬉しい…こんなに幸せで怖いくらいよ
赤ちゃんも授かり不満なんて
ある筈がないわ、あの時は疑って
本当にごめんなさい!」

「ウンス…」

そう呟くと、ヨンはふわりと抱きしめ
その額に唇を落とす


「・・・」

叔母が手をあげるや否や
アンドチから声がかかる

「大護軍、医仙殿…王様がお待ちで
ございます…中庭までお越し下さいます
ようにと」

「王様が、何故?」

「・・さあ、私には分かりかねます故」

ヨンとウンスは顔を見合せ頚を傾げる
叔母にも瞳を向けるが、叔母も
『知らぬ』とばかり頚を左右に振る
だが、声が掛かれば顔を出すのが
臣下の務め…二人は叔母や護衛を
務めるテマン、ミント、アルと共に
中庭へと向かう



「へ?…これは」

丸卓が数台置かれ、上座には
強い夏の日差しを避ける為か
天幕が張られ、王様と王妃様が
長椅子に腰を下ろされ、微笑みながら
出迎えて下さる

迂達赤チュンソク、トクマン、チョモ
らが、これまた満面の笑みで出迎える

「天下の策士も驚いたであろう
余のさぷらいずとやらはどうだ!」

王様は悪戯な笑みを浮かべ
二人の顔を覗き見る
王妃様も袖口で口元を隠し
「ふふっ」っと微かに声をあげ
笑みを浮かべている

「王様・・・」

「よい!何も言うな…そなたらの
御披露目だけではないのだ
今日は護軍チュンソクの祝いを共に行う
余と王妃は、大護軍の屋敷で執り行う
婚儀には、参列出来ぬゆえ
この場で皆で祝おうぞ」

王様は声を張り上げ、高らかに
宣言する

「義姉様…こちらへ」

「は、はい…」と、ウンスは
戸惑い気味に返答をすると
隣に並ぶヨンを見上げる

すっとヨンが手を差しのべると
その手を重ね、共に歩みを進め
王妃様の隣に設けられた椅子へ
腰を下ろし、ヨンはウンスの背後に立つ

「義姉様…妾は、これを・・・」

王妃様は、手巾を取りだし
嬉しそうにウンスに見せている

「・・あ、あの・・・この刺繍を王様が
・・?・・・これは・・・」

ウンスは得たいの知れない物が
刺繍された手巾を凝視する

『う~ん?これは何?花?それとも
器?花弁が見当たらないと言うことは
やっぱり器かしら・・・』

だが、王妃様の喜びようを
目の当たりにしているためか
流石に、鈍いウンスでも下手なことは
口に出来ぬとばかりに、口を真一文字に
結ぶ

背後に控えるヨン…そして王妃様の背後
に控えるチェ尚宮願いは一つであった

『ウンス、要らぬ事を口にするでない』

「・・と、とっても素敵なう・つ・わ
ですね…王妃様・・」


消え入りそうな声でぽつりと呟く
と、同時にヨンとチェ尚宮は苦笑いを
浮かべるしかなかった…

「義姉様…これは紫陽花だそうです
梅雨の時期に、刺繍を始めたため
紫陽花しか思い浮かばずと申して
下さいました…故に器ではないのじゃ」

王妃様が尽かさず小声でウンスに告げる

「あ--紫陽花、あ--見えなくも
ないかも…あ!」

ウンスは両手で口を押さえ
辺りを見回し、申し訳なさそうに
肩を竦めるのだった



もう少し・・・m(_ _)m

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