木春菊  [偕老同穴] 証 76 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「待たせなた…」


ウンスが叔母の手を借り
笑みを浮かべ、そろりそろりと姿を現す

俺の心の蔵がどくんどくんと煩いほど
鼓動を繰り返す。

あの方は、俺が施した刺繍を
喜んでくれたのだろうか
肌が白い故、正絹の白さが
引き立っておる
ん?紅は叔母上の手解きか!
あのように赤くせずもよいものを


「早よう迎えに参らぬか!何を
ぼ--としておる!」

叔母に一喝され、ヨンは我に返る

「ああ・・・」

短い返答をすると、ヨンはウンスの
元へ歩みより、その手を叔母から
ぽんと渡される

ウンスは泣き笑いの笑みを浮かべ
ヨンの手を取る

「あ・・・これなのね」

ウンスとヨンが二人並ぶと
始めて完成形となり、浮かびあがる
拳大の小菊…
少し位置がずれたのは愛嬌か
それに気がつくウンスは…
素知らぬ素振りで爪先立ちをする

「ふふふ…本当に何をやっても器用
なのね・・裾をぐるりと刺繍なんて
お針子さんでも月日がかかると
思うけど、どのくらいで仕上げたの?」

「・・・二月(ふたつき)・・」

ヨンは照れくさそうにぽつりと呟く

「本当にありがとう…こんなサプライズ
があるなんて、夢にも思わなかったわ」

「・・ウンスが婚儀の折、亡き母上に
想いを馳せてくれた故、その礼にと
決めていたが、いろいろあり今になった
…遅れてすまぬ」

「ううん、良いの愛情たっぷりもらった
から、疲れたでしょう・・これって
正絹よね…奮発したんじゃないの?
義父様の家訓に、背かせて
しまったんじゃない?」

「叔母上が支度をしてくれた
・・・俺が用意すると言ったのだが」

ヨンから耳にしたウンス
後方に控える叔母に向かい
笑みを浮かべ、膝を少しおり
深々と頭を垂れる

「腕の小菊はヨンのアイデア?
あ、案と言うことよ」

「いや…これは叔母上が・・・
揃いにしてはどうだと言ってくれた故
俺の案ではないのだが…」

「そう…でも刺繍はヨンがしてくれた
のよね?」

「ああ…」

「みて?ほら位置もぴったりよ」

照れくさそうに、ぽつりと呟くヨンに
ウンスは微笑み言葉を繋ぐ

「誰にも見せられないのが
もったいないわね…このまま屋敷に
帰りたいくらいよ」

「・・・叔母上と俺だけでは不服か」

「十分よ…こんな嬉しいことないわ
ふふふ」

ウンスは笑みを浮かべながら
くるりと回って見せた

ふわりと香るウンスの香りに
ヨンは、くらくらとめまいを覚え
頭を左右に振り邪念を拭い去る

まったく…叔母上がおらねば
押し倒しておるものを・・

ヨンがそう思った瞬間
「バシッ」っと叔母の張り手が
後頭部に炸裂する

「腑抜けが!!私が邪魔と顔に
書いておるわ!まったく…ところで
ウンス、よう似おうておる
屋敷までは無理だが
大門まで二人で歩いてみよ」

叔母に背を押され
ヨンを見上げれば黙って頷き
手を差しのべる
その手を重ねヨンとウンスは
大門へと向かう




「なんだか心の蔵が煩いくらい
早いんだよ、あんた」

「あ、そうだな…俺もだ」

一臣下の使用人が、王様の許可なく
王宮の大門を潜ることは、憚られ
チェ家の使用人の四人と、マンボ兄妹が
大門の外で、そわそわしながら
待っているのである

無論家族に見せたいと、ウンスは
思うであろうと、ヨンと叔母の
粋な計らいであった


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