木春菊  [偕老同穴] 証 65 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「この時代に梅雨なんて言葉は
ないと思うけど、このじめっとした
感じは、もうじきその季節がくると
思うわ・・・」

ウンスは、典医寺でイム侍医や
他の医員らと、ひと仕事を終えお茶を
啜る憩のひとときであったが…

「雨の降りだす瞬間は、好きなんだけど
梅雨は、じめっとしてきらいよ」

「雨季とつゆとは、どう意味が
違うのですか?」

「詳しくは知らないけど、乾季と雨季が
ある気候の地域では、梅雨とは呼ばない
筈よ、えっともっと暑い地域は
乾季と雨季って表していたと思うわ
詳しくないから、聞き流してちょうだい
そんな真剣に聴かないでよ」

イム侍医を始め、皆が身を乗りだし
ウンスの話に夢中になる
高麗では、想像も出来ない出来事が
ウンスの世では、あたりまえの様に
まかり通る。それが魅力的である為
ウンスが口を開くと、皆夢中で聞き入る

当のウンスは、嘘を教えることも出来ず
少々困惑顔なのだが・・・




「大護軍、門番からでございますが
医仙と言う方に、会わせて
欲しいと、少年が東門に訪ねて来ている
との事ですが、如何致しましょう」

「なんと!ウンスを訪ねてと申したか
あの方を、訪ねるなどあり得ぬが」

チュンソクが門番からの言伝てを
伝えると、ヨンは大股でチュンソクの
前を横切ると、扉を蹴りあげ私室を
後にする
あまりの早さに、チュンソクは
目で追うことに気を取られ
声を掛けそびれる

「はあ・・」と深いため息を溢すと
その背を追う




「大、大護軍様、自らお出でとは…」

門番は深々と頭を垂れる

「あの…医仙と言う方にお会いしたいと
お願いしたのですが・・」

「某がその医仙と呼ばれる医員の夫
チェ・ヨン、我が奥に何用ぞ!」

目の前に立ち竦む男、背丈は王様程
されど、稀代の美少年と言うべきか
笑顔の眩しい少年である

何故かヨンの眉毛がぴくぴく動く

「チ、チェ・ヨン・・・??
さて…何処かで聞いたような・・・
!!!大護軍様~~~」

「う~ん」と自身の頭を何度も小突き
思い出したのか、気勢を発し地べたに
ひれ伏す

「挨拶はよい、立つがよい…してその方
何用で、我が奥を訪ねて参った?」

「・・はい、先ずはこれをご覧下さい
これは、我が家に伝わる家宝と言っても
おかしくないはない品物
曾祖父が大事にしてきたユ・ウンスさん
即ち医仙と言われる方が残して行った
小刀です」

「これは・・・」

ヨンにとっても、それは見覚えがある
小刀…いつだったか、まだ想いを
封じ込めていた折、足元にくくりつけた
護身用の小刀が重く、脚を引きずり歩く
ウンスを見るのが堪えがたく
新しく求めた赤い鞘に収まる代物

鞘の色はすっかり抜け落ち
当時の見る影もない
静かに鞘から抜くと、刀は錆び
刃毀れが目付く

「これが代々伝わる品と申したか?」

「はい、曾祖父が残したものです
そこで、ユ・ウンスとおっしゃる方が
一年近く滞在し、想い人がこちらに
いると伝え聞いております、私の父が
幼き頃、髪の赤い女人が父を抱きしめ
戦の中を逃げまわってくれ
そのお陰で、いまこうしてお前がいる
と、何度も聴いて育ちました」

「・・・」

「いまは、南京に住まう身ではあります
が、願いごとがあり訪ねて来たのです」

「願いとは?」

「・・父を助けて頂きたいと・・
言いそびれましたが、私の名は
サンギョンと言います
南京で、父の商いを手伝いをして
おります・・」

「・・・付いてこい・・詳しい話は
奥と共に聞く故」


ヨンの許しを得、ほっとする間もなく
先を行くヨンの後を、見失うまいと
懸命に追うサンギョン

見るものすべて興奮を覚える
王宮の柱ひとつ、庶民が使える筈のない
ものばかり・・・
きょろきょろと辺りを見回して
いると、その背にどんとぶつかる

「いて!」

鼻の頭を擦りながら
ヨンの背からひょいと顔を出すと
そこには、伝え聞く通りのまさしく
天女が満面の笑みを浮かべ
佇んでいた…

「ヨン!どうしたの、まだ昼餉には
早いわよ」

「ウンスこそ、こんなところで
どうしたのだ…」

「・・・やね…女に野暮は聞かない
ものよ、ん?」

ヨンは訳が分からず辺りを見回すと
あ、と思い得心する
そばに、厠があるのだ…

「で、ヨン、こちらの美少年は何方?」


ウンスは、ミントとアルと共に
厠へと向かい、用を済ませ
典医寺へと戻る階段で、ヨンと
出くわしたのである

ヨンの袖口を掴みウンスは
ひょいと顔を出す少年が目に留まり
嬉しそうに問うと、あからさまに
むっと口を尖らせ不機嫌になるヨン…



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