木春菊  [偕老同穴] 証 64 | シンイ二次小説でんべのブログ

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騒動があってから十日程過ぎた
もう梅雨に入ろうかと言う夕暮れ
二人は役目を終え、家路つく道すがら

「ちょっと食欲も沸いて来たのよ
ヨン…マンボ姐さんの所に行きたい
んだけど、連れて行ってくれないかしら
クッパが食べたいの、皆で
行きましょうよ」

「悪阻も治まってきたと言うことか?」

「そうみたい…ヨンは忙しくて
昼これなかったでしょう?トギとポンが
饅頭を、買って来てくれたんだけど
食べれたのよ…凄いでしょう」

ウンスは、自慢気に話し
ヨンもまた、目元を緩めウンスを
見つめていた

「ならば、皆で出向くとするか…
テマン!伝えてくれ」

テマンは、にかっと笑みを浮かべると
脱兎の如く走りさる

「はや・・もう見えないわよ
どれだけ、脚早いのかしら
ヨンと、テマンではどっちが早いの
あら…いつの間にか呼び捨てに
なってるわ」

「構わぬ、テマンは俺とウンスの弟
いつまでも、敬称付けで呼ぶのも
おかしかろう、ん?」

「ふふふ…そうよね・・じゃあ遠慮
しないで呼び捨てしちゃうかな…」

ゆっくり赤子に差し障りがない
速度で歩を進めるていたが
他愛のない話をしているうちに
いつの間にやら、屋敷の前へと着く
チョンス、エギョン、イルム、サンミ
が並んで出迎える

「旦那様、奥方様・・・」

「挨拶はよい、皆で行くぞ」

「はあ・・・ですが、旦那様真に
私達も宜しいので・・」

エギョンの挨拶を遮り、ヨンは
口を開いたが、エギョンは使用人の
自分達がお供しても良いのかと
多少困惑気の様子である

「奥が所望しておる、皆で食えば
尚いっそう食が進むであろう」

「それでしたら、喜んでお供させて
頂きたいと思います」

「んだ~エギョン姉さんのおまんまも
うめえが、たまに違うのも食べてぃ~」

「まあ、イルムったら食い意地張って
ふふふ…育ち盛りだから仕方がないけど
それに…また方言が出てるわよ」

「おら、かしこばった言葉は、苦手で
そっちの方は、サンミに任せただ」

「・・はい、奥方様…私が引き受けて
おります・・」

「そうなの…サンミもしっかり
話せているわ、頑張ってね」

こうして、一同はマンボの所に
向かうのである。テマンは知らせに
戻り、その脚でマンボの店へと
先に向かっていた



「マンボ姐さん…皆で押し寄せたわよ」

「テマンから、知らせを聞いて待って
いたよ、何?悪阻が収まったらしい
じゃないかい、今まで苦しんだ分
たんとお食べ」

ウンスが満面の笑みを浮かべ声を
掛けると、待ち受けていたマンボ姐さん
や、珍しく師父も同席する

「酒は飲めねな・・ヨン、お前も
飲まねぇのか?」

「酒はいらぬ、欲しいとも思わぬ故」

「なんだよ、連れねえ奴だな」

「ヨン飲んでも構わないのよ、私に
遠慮なんかしないで、横でちびちび
飲む貴方を見ているのも、幸せだなって
思うのよ…ふふふ」

「ほら、ウンスのお墨付きを
もらったことだし、飲め」

「・・・」

師父は湯呑みをヨンの前に置くと
なみなみと酒を注ぐ

「さあ、熱々をお食べ…ウンスは
前から細いけどさ、少し痩せたんじゃ
ないかい?、腹の子がひもじい思いを
しているかも知れないから、ゆっくり
食べるんだよ…」

「は~い…ふふふ、頂きます」

ウンスは、匙を受け取ると
勢いよくクッパをすくい、口に
放り込む

「あち・・モグモグ・・熱いわ」

「まったく、ウンスはこれだから
目が離せぬのだ…」

ヨンは眉間に皺を寄せ
ウンスの匙を取り上げ、ふぅふぅと
冷まし、ウンスの口に運ぶ
端からは、親鳥が雛に餌を運んで
いるように見えていた

「しょうがない夫婦(めおと)だよ
私らは眼中にないのかい…あははは」

マンボ姐さんの豪快な笑い声を合図
かのように、皆がクッパを頬張る

「ヨン、自分で食べれるから…モグモグ
皆が笑ってるわよ、恥ずかしいから」

「よい…俺は赤子に食わせておるのだ
母様が悪阻で食えぬ間、我慢をさせた
故…」

「そうきたかい!ヨンも言い訳する
ようになったんだね…まったくやって
られないよ…」


色んな話をし、楽しい夕餉の時は過ぎ
家路へと歩みを進める
辺りは、すでに夜の帳が下り
夜目が利かないウンスが
転ばぬようにと、ヨンは
細い腰に手を回し支え、家路を急ぐ



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