木春菊  [偕老同穴] 証 43 | シンイ二次小説でんべのブログ

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明日には、都に入れる地まで無事に
たどり着いていた

色とりどりの花が咲き乱れ
この地の遅い春の訪れを
祝福しているかに見え、若い迂達赤の
心も浮き足立つように、ウンスには
映っていた

「すっかり春めいたよな…都に戻れば
繰り出すか?」

古参の 迂達赤の嬉し気な声が
輿の中、一人居るウンスの耳に届く

そっと外を覗けばチュホンに跨がり
厳しい顔つきのヨンと目が合う

「ねぇ…どこに繰り出すの?」

「・・俺は行かぬが妓廊ではないのか」

「・・・別に行っても構わないわよ
大護軍の妻だもの…いちいち目くじら
立てないから!」

そう言ってぴしゃりと小窓を閉める

「はあ…チョンス輿を止めよ」

「はい」

ヨンはチュホンをテマンに預け
輿に乗り込む

「何か用かしら!」

「俺は行かぬと申しておろう
何故そう拗ねておる」

「拗ねてなんかないもの」

ウンスは、頬を膨らませぷいっと
そっぽを向く

「チョンス!刻がほしい
輿を出しても構わぬ!」

「畏まりました…旦那様」

「ウンス…?」

「・・・」

「如何した…ん?」

「・・・」

「此方を向かぬつもりか」

ヨンは根気よくウンスの心を解す

どうしたんだろう…私・・
つまらない事なのに…喧嘩なんか
したくないのに…・・!!
王妃様もこうだったわ
いつもは優雅に話される王妃様が
イライラしてた…それで私分かったんだ

「・・・ヨン、ごめんなさい
素直になれなくて、多分気鬱の上下が
激しいの・・・」

「抱え込んではならぬ、
喚きたい時には、喚けばよい
泣きたい時には泣けばよい」

「うん・・・私のお守りは大変でしょう
嫌いにならない?」

「さて…それはどうであろうな・・」

「嘘…」

ウンスの瞳に
瞬く間に涙が滲み溢れだす

「すまぬ、意地悪をしてみたく
なった・・ウンス、泣くでない
俺がウンスを嫌う訳がなかろう
気鬱が激しいのも赤子が
生まれたなら収まるのであろう、ん?」

ヨンは、ウンスの瞳を覗き込み
優しく問い、その大きな手で
溢れだす雫を拭う

「泣きたい時には、泣いても良いって
今言ってくれたじゃない・・・クスン」

「・・一人で泣いてはならぬと
言っておるのだ…いつでもこの胸を貸す
故よいな?」

「うん…ありがとう」





一方屋敷では、白い人から
身だしなみや都の女人の心得を
熱心に教わる若い二人

屋敷襲撃以来、めっきり好かれて
しまった白い人は
少々困惑気だが・・・

「方言は、方言で可愛いんだけど
なんせ、屋敷が屋敷だから突然
どんな客人が訪ねて来るか、分からない
でしょう…だからエギョン見たいに
なるべく丁寧語を話さないとね
ほら、言ってごらんよ
旦那様、奥方様お食事の用意が
整いましてございます」

「旦那様、ウンス姉さん・・・」

「だめだめ!なんでウンス姉さんに
なるわけよ…奥方様でしょう?
友達じゃないんだから…」

「ほだども(だけど)そう呼んでも
ええからとしゃべってけだべ」

「それは建前でしょう…物事には
本音と建前があってね、ちょっと待って
あの子はそんな二面性ないわね・・・」

「んだべ?ウンス姉さんは
まっすぐな人だ、だからおら達にも
ちゃんと向きあってけださ」

「あんた、サンミ、イルムどっちよ」

「おらが?おらはイルムって言うべさ
サンミは、ちょっと人見知りするべ
だがらおらが・・・」

「おらがじゃないでしょう
私よ…わたし、分かった?早くあの子
見たいになりたいんでしょう」

「んだ!なりてぃ~」

イルムは瞳をうるうるさせ
うっとりと呟くが
こりゃ駄目だと頭を抱える白い人…

「ところで兄さんの名前ば教えでけろ」

「に、兄さん!?私は心根は女人よ~
ひどいじゃないの!もう教えて
あげないんだからね」

「あの…お姉さん・・・私に教えて
下さいませ」

「あら、サンミちゃん可愛いいわね
ちゃんと、丁寧語も使えてるじゃないの
でもね、私に名前はないのよ…自分でも
知らないんだもの…お嬢さん方が
付けてくれたら嬉しいわね」

サンミとイルムはひそひそと
背を向け話合う

「お姉さん?なら私達二人の名前から
サルムなんてどうかな?」

「サルム・・か、良いじゃない
気にいったわよ、可愛い女人のようよ
今日からサルムだから、そう呼んでも
構わないわよ・・うふ」

「サルムさんお客様ですよ」

「あら、誰かしら…ちょっと待っててね
お嬢さん方」

エギョンが居間の白い人に
声を掛けるといそいそと門へと向かう



「ほんとかよ!」と、どすの聞いた
低い声が、屋敷中に響き渡る

「明日には戻って来るってよ」

ばたばたと三人は門へと走り出す

「安心しな、皆無事だってよ」

そこに居たのは、はあはあと息を切らす
シウルの姿だった



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