木春菊  [偕老同穴] 証 42 | シンイ二次小説でんべのブログ

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一夜明け一行は宿を発ち一路都を目指す

車なら三時間も有れば
片道十分で行けるにな・・・
この時代の人は本当に我慢強いは…

などと思い、ちらりと輿のから
顔を覗かせるとヨンと目が合う

「如何した?」

「うんんっ…一人じゃ退屈だから」

帰路は牢車がないため
ウンスの輿前方に、チュンソク、テマン
トクマン始め迂達赤、武閣氏は後方に
控える…牢車がない分、幾分気は
楽に見え、皆笑みが浮かぶ

「誰か輿に乗らない?トギとポンは
相乗りだから馬が可愛そうよ…
駄目かな」

「・・・俺が」

「へ?なんて言ったの?」

「テマン!暫しチュホンを頼めぬか
チュホンならば、手綱を引かずとも
俺から離れることはないが」

「はい…大護軍」

テマンが馬で駆け寄り手綱を掴み
チュホンを引く

輿の中は、ふかふかの敷物が敷かれ
ハンモック擬きを端に寄せると
大きなヨンが腰を降ろしても
十分な広さがある

胡座の中にウンスを座らせると
背後から抱き締める

「退屈などと、だが馬では駆けれぬ
安定期とやらまでは…堪えてくれ」

「うん、分かってるわ
折角赤ちゃんが授かったんだから
無理はしないから安心して
出来るだけたくさん欲しいから
一人目を確実に生まないと、ほら
この歳だし、次が出来ないかも
知れないからね」

「ウンス…歳などと言ってはならぬ
俺と同じ歳であろう?」

「そうね…でもこの地では高齢出産に
なるのよね…叔母様を鍛え
あげなくっちゃ・・・、悪阻も
始まるかも知れないけど、嫌いに
ならないでね」

「悪阻とは?」

「えっとね…食べ物の匂いが駄目なの
吐いてしまうのよ・・・だから
人によって違うけど食が細くなり
痩せる人もいるのよ…でも一時的な
ことだから心配しないでね」

「元に戻ると言うことか?」

「そうね、でも何度も言うけど
千差万別なのよ、一概にいつまでって
言えないから困ったものよね…ふふふ」

逞しい胸に凭れウンスはにこりと微笑む

外ではトクマンが自慢気にテマンと
話し込む

「なあ、テマン…これで奥方様は
狙われないよな、元の兵士諸とも
彼奴を葬り去ったんだ…いつまでも
お気の毒なんだ、俺は・・・
大護軍とややの為に、笑顔で過ごして
欲しいんだよ」

「さあ、どうかな…欲に目がくらむ
亡者は、絶えることはないんじゃないか
でも俺らが、こうしてお守りすれば
いい話だし…俺は深く考えない
事にしているんだ」

「ああ、そうだな…所でテマンは何人
倒した?俺は二人黄泉の国へと送ったぞ
どうだ!凄いだろう」

「馬鹿な奴…俺は四人送ったぞ」

「ちっ…ほんとかよ!」

トクマンはそう叫ぶと
悔しそうに唇を噛み締める

「トクマン!!声が大きい
奥方様に聞こえるではないか!
少しは自重せよ」

と、叱るチュンソクの声もトクマンや
テマンの声も二人には、はっきり
届いている

「・・・・」

眉間の皺が深くなるヨン

「私…気付いていたの・・
そんな事だろうと・・・
二度と彼奴と、会う事はないと
ヨンが言い切ったあの時に・・」

「・・・」

「私のお役目は医員、貴方のお役目は
王様や、この国を護るが為の剣
お互い辛い立場だけど…彼奴だけは
不謹慎だけど、庇うつもりはないの
だから…ヨン、気にしないで
一人で背負わないで、肩の荷を
私にも半分背負わせて…お願いよ」

「ウンス・・・」

「なあに?」

「貴女は心(しん)が強い…俺は生涯
貴女には敵わぬのであろう」

「強くなんかないのよ…ヨンがいるから
私が、私でいられるだけなの
烏滸(おこ)がましいけど、貴方の全てを
守りたいだけ…それだけよ」

ヨンは、ウンスの額に唇を当て
口の端をあげる

「・・・額だけ…?」

「腰を抜かしても知らぬぞ・・」

ヨンは悪戯な笑みを浮かべそう呟く






「真か?」

「はい、王様スリバンから鳩が飛んで
まいりました…こちらにございます」

チェ尚宮が小さく丸められた文を
そっと王様に手渡す

そこには
万事抜かりなく、首尾は上々
と、記されていた

「元に早馬を遣わす!引き渡しは
済んだと、少しは目眩ましになろうぞ」

「はい、王様・・」

「ドチ、筆と硯を持て」

「畏まりました、王様」

ドチが退室すると、チェ尚宮は口を開く

「王様、暫しの目眩ましにはなるやも
知れませぬが、いずれ何らかの騒ぎに
なるやも…その折りは?」

「案ずるな、チェ尚宮…余は医仙殿を
引き渡す事など、考えておらぬ
難癖を付けてこようものなら、正面突破
有るのみじゃ!」

王様は、チェ尚宮を見据えきっぱりと
言い切ってみせた


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