木春菊  [偕老同穴] 証 38 | シンイ二次小説でんべのブログ

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怪我しないで…ミント、アル…チョンス
きっとあの人が来てくれる
そう信じてる…だから、なんとか
それまでお願い・・・

ウンスは瞳を瞑り胸の内でそう願う

突然「ひゅ~ん」と弓矢が風を引き裂き
飛んでくる「ドスッ」と、アルと剣を
交える兵士の背に命中する

「うっっ…」

と、口から血を吹き出し倒れる兵士

「何奴?新たな刺客か!」

「心配するな!スリバンさ奥方は無事か
…」

「その声はシウル?」

アルが声を張り上げると
シウルは、にこっと笑みを浮かべ
ウンスに言葉をかける

「そうさ、もう大丈夫!ヨンの旦那も
すぐに着く筈だよ」

「そう、ありがとう…シウル
アル、味方だから心配しないで!」

「そうでしたか…」

安堵の表情を浮かべるアル
ウンスは、瞼を開きシウルを
ちらりと身遣ると、再び瞼を閉じる
ウンスを庇う様にトギとポンも
その前に立つ


次から次と正確に弓矢が飛んでくる

宿の庭になだれ込んだチョンスとチョニ
シウルの姿を目の端に捉えると
安堵した様子で一気に方をつけようと
チョンスが、チョニの剣を弾き飛ばす

「不安の種が消えたんでな、すまないが
方をつけさせてもらう!」

チョンスは、にやりと口の端をあげると
袈裟懸けに斬り捨てた…
「ふっ」と一気に息を吐くと
呼吸を整え、部屋へと急ぎ駆け戻ると
同時に、ヨンが宿の庭から部屋へと
飛び込んでくる

蒼白い気を全身に纏い、その形相は
まさしく鬼神…

ウンスが瞳を瞑る姿を確認すると
鬼剣を振り下ろす…瞬時にばたばたと
倒れる兵士、その剣筋の速さを誰も
追うことは出来なかった…

「ウンス!大事ないか?」

「・・ヨン!!」

「そのまま眼を瞑っておれ、よいな?」

こくこくと頷くウンスを、ヨンはさっと
横抱きすると、血の海とかした部屋を
颯爽と出て行く


庭に降り立つと亡骸が目に触れぬ
よう、柱の死角へと、ウンスを優しく
下ろす

「ウンス、遅れてすまぬ・・・」

「・・遅いわよ・・もっと早く
戻って来てくれなきゃ、皆が大変だった
んだから…」

「貴女の声が聴こえた気がし
舞い戻ったのだが、ちとばかり
遅れを取ってしまった…怖い思いをさせ
たな…」

己の腕の中に囲うウンスの瞳を見つめ
ヨンは切なそうに呟き、顔を歪める

「ううん…こうして飛んできて
くれたんだから、もう良いわ…
皆は大丈夫なの?ヨンもまだ彼奴の事
終わってないのよね」

「ああ…」

「分かったわ、来てくれてありがとう
戻ってちょうだい…二度とこの地を
踏ませないでそう約束させて」

「されど一人で大事ないか?赤子は?」

「赤ちゃんは大丈夫…ちゃんと
見せない様に目を瞑っていたから
それに一人じゃないから、力強い
仲間が、家族がいるわ」

「・・・ならばよい、暫し待っておれ
るな?」

「うん、待ってる、気を付けてね」

「相分かった、武閣氏、チョンス!
よく奥を守ってくれた、礼を言う」

そう呟くと軽く頭をさげる
ウンスもそれに習い頭を下げる

「お止め下さいませ、旦那様、奥方様
あたり前の事をしたまでに過ぎません
そのように畏まれますと、私が
切なくなります」

「ふっ…ならばチョンス、暫し
頼めるか?」

「お任せを」

今一度ヨンはウンスに向き合うと
ふわりと抱きしめ、その甘い香りを
胸いっぱいに吸い込み
片頬をあげ、きりりと前を向く

チョンスに部屋を変える様にと
懐から禄の袋を取りだしぽんと渡す

「宿の修理に使えばよいと、主に
伝えよ」

「はい、分かりました…亡骸もお戻りに
なるまで葬っておきます」


「ウンス行って参る、テマン行くぞ」

そう言ってヨンは、皆に見送られ
颯爽とチュホンに跨がりテマンと
共に駆け出して行った
その大きな背をウンスは「無事で」
と祈りを込めていつまでも見送っていた




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