木春菊  [偕老同穴] 証35 | シンイ二次小説でんべのブログ

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出立し七日目、とうとう
その日の朝が訪れた
宿で、一夜を明かしたウンスとヨン
春の暖かな日差しが、窓から差し込み
宿の庭に植えてある
菜の花の甘い香りが、窓を開けると
そよ風に運ばれ部屋中に漂う


「ウンス、俺は徳興君様を引き渡しに
参ります…故に暫しそばを離れる
護衛は武閣氏、チョンスで
トギとポンもそばにおる故、暫し辛抱
して下され」

「ここからどのくらいで着くの?」

「半刻も駆ければ…戻りの方が早いが」

「そうなのね、分かったわ…引き渡せば
すぐに戻ってくるのよね?戦なんて
起こらないわよね」

「ああ…案ずる事はない、彼奴を
引き渡せば、すぐに戻る故もう二度と
彼奴の顔を見ることも、声を聴くことも
ない」

「あの男を渡せば…元は高麗から
手を引く事はないと思うけど…
怪我しないでね、無茶しないでよ」

「ああ、すぐに戻る・・行って参る」

そうヨンは呟くと、ウンスの頬に
触れ、微かに口の端をあげると
部屋を後にする。チュンソクら
迂達赤が野営をする陣地へと急ぐ

その後ろ姿を黙って見送るウンス

ヨン…あの男の最後は私の記憶には
ないの・・それにこれから元は
衰退の道を辿る筈、でも・・・
私がここにいる事で、歴史が変わって
いたらと思うと・・・・

ウンスは切なそうに顔を歪めると
ため息を吐く



「チュンソク、俺まで陣地を離れ
すまぬ…お前の気遣いに感謝する」

「何をおっしゃるのですか、あたりまえ
でございます、奥方様は身重故
大護軍が、そばにおらねば不安で
ございましょう」

「ああ…徳興君様は大人しゅうして
おるのか?」

「はっ!猿轡を外しておりませぬ故
声は聴こえませぬが息はしております」

「・・ふっ…チュンソクそちが
戯れを申すとは…許嫁がおると変わる
ものか?」

「・・大護軍、お戯れはお止めくざされ
某は…許嫁が、おろうがおるまいが
変わりございませぬ・・・」
『仮にそうだとしても
大護軍にだけは言われたくない』

とは流石に、言葉には出来ずぐっと
唇を噛みしめ堪えるチュンソク…

「俺に言われたくないと
顔に書いておるが違うか!」

「め、滅相もございませぬ…」

チュンソクの目は泳ぎ、珍しくいい淀む

「まあ、よい・・然と役目を終わらせ
ねばならぬ、手筈通りによいな!」

「はっ!心得ておりますゆえお任せ
あれ」


こうしてヨンは、颯爽と愛馬に
跨がると、チュンソク始め迂達赤と
牢車を引き、彼の地に向かう・・





「禁軍の鎧とはこうも重いものか?」

「はっ!王様」

幸か不幸か、昨夜のうちにアンジェが
戻り、今朝は、渋るアンジェを
有無を言わず従わせていた

王様はアンジェと相乗りし
スリバンから、隠れ家を見つけたと
報を受け、市井へと脚を運んでいた

「ここか!」

「はい、王様…」

待って居たのはマンボ兄妹だ

アンジェの手を仮り馬からおりると
先頭に立ち隠れ家に踏み込む

「イ・ソンミョン!王だ!隠れておって
尻尾は見えておる、出て参れ---」

と意味不明な声を張り上げる

「王様、お止め下され」

アンジェがあわてふためきそれを止める

「何故じゃ?何故止める」

「王様はこちらで、お待ち下され
我々禁軍が、捕らえに参ります故」

「ならぬ余も参る!ついてくるが
よい!」

そう言って王様は屋敷に踏み込む


チェ・ヨン…そなたでなければ
この王様をお止めすることは出来ぬ
早よう役目を終え戻って参れ・・

屋敷の中からどたどたと騒がしくなる
十名ほどの私兵と共にイ・ソンミョン
が姿を現す

「お、王様・・・」

「イ・ソンミョン!大護軍の屋敷に
押し入りし罪軽くはない!
流刑と考えておったが・・致し方
あるまい・・アンジェ捕らえよ」

「はっ!」

地べたにひれ伏すイ・ソンミョンは
顔色を変え立ち上がると、私兵に向かい
顎で合図を送る

わずかに抵抗をしてはいたが
敵う筈もなく、すぐに捕らえられる

だが、縄を掛けられ
引っ立てられる前、捨て台詞を
残して行った

「俺たちだけではない…既に彼の地に
着いた筈…手遅れだ----」と…


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