木春菊  [偕老同穴] 証 36 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ウンスが泊まる宿では…

トギ、ポンと三人で、朝餉をゆっくり
食していたが、皆無口で重い空気が
漂っていた

「・・暗いわね…食事は楽しく
食べないと、身体に悪いわよ…ふふふ」

「医仙様笑顔が、引きつっておりますが
何か、心配事があるのでは
ないでしょうか?」

「・・別にないわよ・・」

「ならいいのですが・・・」

ポンの問いを、ウンスは否定はしては
見たものの…やはり心が塞ぐ様子である


「奥方様!!俺の背に!」

「え!どうしたの?」

「お姉さん方!奥様をお守りしてくれ
皆!俺の背に!」

それは突然始まった…宿のまわりを
元の兵士が囲んだのである

イ・ソンミョンからの知らせを受け
徳興君を引き取る兵士と、ウンスを
捕らえる兵士と、二手に分かれた
のである

宿を襲う兵士の中には
無論イ・ソンミョンの私兵が
紛れ込んでいる

兵士たちは宿の部屋を、ひとつひとつ
改める。だが年格好で判断している
様子であった

「狙いわ…私なのねあの人が
居ないのに…こっちは三人しか
戦える人居ないじゃない?」

「奥方様…私たち武閣氏がお守り致し
ます!弱気にならず、いいですか?」

「そうです!奥方様をお守りする
使命を受け、この地までお供をして
来たのですから、ミントさんには
腕は負けますが、このアルも
厳しい鍛練を積んできております
お任せ下さい」

武閣氏は、胸を張りまっすぐな瞳で
ウンスを見つめる

「うん、ありがとう…頼りにしてます」

「部屋の真ん中は危険です、隅に
薬医員の方もお移り下さい…」

「わ、分かったわ…」

どたどたと兵士が扉を開けると
部屋の隅のウンス、トギ、ポンを囲う
ように武閣氏が構え、その前には
チョンスが仁王立ちで、兵士を睨み
つけ声を張り上げる

「なんだ!!何の用なんだ!」

『・・ヨン・・・』





「ん?…」

「大護軍、どうされましたか?」
 
「いや、あの方が呼んだ気がする
気のせいか」

宿を立ち然程刻は過ぎてはいない

ヨン一人駆け戻ればほんの僅かな道のり
まして、愛馬がチュホンである


「大護軍、何かあったのかも知れませぬ
お戻り下され…我々はそこの河原で
一休みしております故…例の策は
大護軍の内功なくては、成し遂げられ
ませぬ…使用人の腕があっても
多勢に無勢では万が一も考えられます」

「・・・されど…」

「いえ、トクマンが尻が痛いと
目で合図を送っておりまして…
ちょうど頃合いかと…ですので
早ようお戻り下され」

「へ?俺??尻が痛かったっけ?」

「トクマン!!尻が痛いと煩いくらい
合図を送っていたであろう・・
仕方がない…部下想いの上官に感謝する
事だな」

チュンソクが、トクマンを睨み付け
言葉を繋ぎ、目で合図を送る

「ああっ…そうでした、尻にできものが
出来ていまして…戻れば奥方様の医術で
取って貰おうかと・・・」

馬鹿な奴…トクマン、戻っても
奥方様に尻をみせる等…許す筈がない
辻褄を合わせてる、つもりで
いるんだろうけど…一言多いんだよ
トクマンお前は!

と、テマンは胸の内でひとりごちる

ぎろりとトクマンを睨み付け
ヨンは視線をチュンソクに向ける


「チュンソク…すまぬ、暫し抜ける」

「はっ!」

「テマン!付いてこい!」

ヨンとテマンが馬体を翻し颯爽と
戻って行く

大護軍、きっと奥方様の身に
危険が迫っておるのです
奥方様の心の叫びが、届いたに違い
ありませぬ…どうか間におおて下され…

チュンソクは胸の内で祈るように
もう見えなくなってしまった
その後ろ姿を見送っていた



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