木春菊  [偕老同穴] 証 27 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

イ・ソンミョンが屋敷謹慎の命が下り
数日が過ぎたある夜半、人知れず
その屋敷にぽつりぽつりと
集まり出す親元派

「イ殿、如何するおつもりか」

「どうもこうも手土産にせぬ限り
元には取り入れては貰えぬ」

「されど、どのようにするおつもりか
もはや医仙を連れ出すなど、皆無に
等しいのではあるまいか」

「いや、大護軍とて我らと同じ
人間であろう、何処かに隙はある筈
そこを狙うのじゃ、我らの頚が
かかっておる!」


親元派数名は額を擦り合わせ
蝋がふわりと揺れる室内で、怪しい
談合をしていた





翌日、主二人が出仕した後チェ家の
庭では、チョンスがチェ家の輿に
細工を施していた

「どうしたんだ、二人とも」

「兄さん、何してるんだべ?」

「見ての通りだ、奥方様がお乗りに
なる輿に細工をしているんだ」

「ふ~ん」とサンミとイルムは
輿の中を覗き見ると、こそこそと
話込んでいた

「こら、さぼらず遣ることたんまり
あるだろうよ」

「兄さん…こんだけでっけぇ輿なら
ここをこ~するべ、あそこをあ~するべ
んだば(それなら)もっとらぐでねえが」

「・・成る程・・・それなら
揺れの伝わりも少しで済むかもな
二人ともありがとよ、やってみるさ」

サンミとイルムは、幼い頃柳の木に
縄をぶら下げ遊んでいた遊具を
思い出していたのだ

「なっ、おら達やればでぎるべ」

「んだ、イルムよぐ思い出したべさ」

そう言って愛らしい舌をぺろりと出し
二人は奉公に戻って行った



一方典医寺では、王妃様の診脈を終え
ヨンに送られ医員としての一日が
始まるところである
暖かくなりさほど患者も居ないが
侍医が呼び止めたのである

「医仙殿、まことに彼の地に行かれる
おつもりでしょうか?」

「ええ、あの人が煩くて…
俺より腕の立つ奴は、迂達赤にも武閣氏
にもおらぬ、ならば俺のそばに置き
俺が護るのが一番よい!なんて言うもの
だから…まったく皆さんに失礼よね」

「いえ、大護軍が案ずる通り
あの方より、腕の立つものは
おりますまい、親元派も大人しく
引き下がるとは思えませぬ故…
されど、彼の地は遠く、輿に揺られ
ますと赤子に差し障りがないかと
案じておるのです」

「ありがとう…屋敷の使用人がね
輿に揺れが伝わらない様にと、細工を
してくれてるのよ、私も絶対無事に
生まれて欲しいから、こんな事くらいで
負けないわ」

「はあ…私がお供に行ければよいので
すが…そうだ!トギとポンをお供に
お連れ下され、懐妊された女人でも
飲める煎じ薬を、トギならすぐに
用意出来ましょう…そうして下され」

「構わないの?二人も連れて行って」

「この時期風邪患者もおりませぬ故
案ずる事はございませぬ
王妃様の事も、お任せあれ」

「じゃあ後で、あの人が迎えに来るとき
聞いてみるから、トギとポンの予定も
聞かないと、無理強いはしたくない
もの…トギ~ポンさん~
ちょっといいかしら…」

二人が近づき、ウンスは事の子細を
伝えると
トギの指が忙しく動く

『ウンスが、何を仕出かすか
分からないから、歯止め役に付いて行く
ウンスの暴挙を止めれるのは大護軍か
私くらいだから!』

「暴挙って・・・ひどくないトギ…」

「トギ先輩が行くなら、私もご一緒
致します、何やら医仙様の別の顔が
見れそう匂いがしますから」

「なによ、ポンさんまで…今まで
遠慮してさん付けしてたけど、今日から
ポンって呼ぼうかしら!」

「はい!喜んで!いつトギ先輩みたいに
名を呼んで貰えるかと
待っておりましたから、これで仲間に
なれた気がします」

「あら、そうなの…何だか拍子抜け
しちゃうわね」

朝夕はまだ肌寒いこの季節
だが、ウンスの回りには、春の日だまり
の様な風が通り抜け、いつも暖かい
そんな気が侍医もトギもポンも
していた




一方ヨンは…


「叔母上、ミントとアルを暫く
借りれぬか?」

「次皇后の話も、徳興君様の話は
聞いたが…ウンスを彼の地に連れて
行くつもりか?」

「そのつもりでおる!俺がそばで
護るのが一番よいであろう」

「それはそうだが、赤子に支障が
おきねばよいが…」

「チョンスに、輿の細工を頼んだ故
工夫する筈…ウンスに揺れが伝わらぬ
様にと、槍や弓矢も通さぬ頑丈な物に
変えてくれと伝えておる
俺がおらぬ間に、新元派が動くのは
目に見えておる故」

「王様も漸く、徳興君様の処遇をご決断
されたのだな…ヨン、決してしくじるで
ないぞ、徳興君の最後と修羅場は
ウンスの目に触れさせてならぬ、良いな
!ミントとアルは連れていくが良い」

「助かる、徳興君様の牢車には
幕を張り、ウンスを見られぬようにする
のと、元よりの使者も始末するつもりで
おる…」

「分かった、心して掛かれ」


ウンスがお役目に付くと
テマン、武閣氏を護衛につけ
ヨンは坤成殿近くの中庭まで叔母を
呼び出し、念入りに策を講じていた



ポチっとして下されば嬉しいです