木春菊  [偕老同穴] 証 15 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「 慶昌君の墓の事なんだが
歴代の王が眠る墓所へとお移り願う
事と相成った」

「真でございますか王様!」

らしくもなく、ヨンは瞳を見開き
声を張り上げた

「本当ですか?王様・・・」

ウンスはそう言うと、瞳を伏し
両手で顔を覆い、声を殺しながら
シクシクと泣き出している

「 慶昌君は幼いが為、幽閉された身
なんの落ち度もないと余は思うておる
政に担ぎ上げられ、哀れな最後であった
余の甥故どうしたものかと思うておった
のだが、幸い新元派が極僅か故
カン殿が新元派の重臣を抑え付け
跳ね返してくれてのぉ~見事であったぞ」



※※※※※※※

とある日

「されど王様、 慶昌君様は
幽閉された身でございますれば
墓所に眠る、歴代の王様と肩を並べる
のは如何なものかと…」

「先ほどより何度も申しておろう
幼いが為、幽閉されたまでのこと
それ故、咎もまったくないと…」

「王様、某より申し上げても」

「構わぬ、申してみよカン殿」

「あの折 慶昌君様は幼いが故
政に関わっては、おらぬ筈
新元派が幅を利かせ、王宮を牛耳って
おった故、お痛わしい事に、お飾りの
王であったご様子
そなたたちは知らぬであろう?
後々、調べで
万が一咎があったとしよう
某が責任を取り王宮より身を引く
それでよいではないのか!」


※※※※※※※


「カン・ヨンジュを忌々しく思う
新元派の重臣らは、躍起になり
慶昌君の罪を暴こうとするであろう」

「・・・」

「王様、媽媽に罪などありません
あんな島に一人残され、誰も参る人も
なく、本当に悲しく思って私らは
帰って来たんです…クスン」

いつの間にやら、ヨンがしっかりと
卓の下で、その手を握っていた

「医仙殿、分かっておる!余を迎えるが
為、元は 慶昌君が邪魔になり幽閉した
までの事、それに相違はない
後々悪事など出る筈もなく、ご安堵
召されよ」

「はい…クスン」

「・・王様、チュンソク護軍ですが
今日より二日、暇を賜りたく
お願い申し上げます」

「大護軍が出仕しておるのだ、構わぬ
パン殿の娘御のことか?」

「はっ、己の親御に引き合わせたいと
申しておった由、今ごろは向かって
おるかと」

「真、慶事が続くの….後は
そなた達の赤子だけじゃ
待ち遠しいのぉ~…」

王様は二人を覗き込むと
にやりと片頬をおあげになるが

ヨンは罰が悪そうに瞳を反らしていた

「して、慶昌君の亡骸はアンジェ護軍が
江華島に、引き取りに向かっておる故
安堵致すがよい、 諡号(しごう)は
歴代の王に習い、忠定大王と致すが
意義はないであろうか?」

「はっ! 慶昌君様も黄泉の国にて
お喜びの筈にございますれば
意義などあろう筈がございませぬ」


土産の反物を渡し、二人は四半刻程
留まりその場を後にする

「お子が生まれたら、是非揃いのパジ
を作って頂きたいなぁ…天界ではね
親子三人でお揃いの洋服・・えっと衣を
着るのよ…凄く可愛いの」

「そのようなものなのか?」

「ええ…私たちも・・・・」

「ん?如何した」

「・・・なんでもないわ、じゃ戻るわね
昼餉が終われば、土産を持って兵舎に
顔を出すわね…ふふふ」

そう呟くとウンスは、頬を染め
ミントとアルと、ともに小走りで
典医寺に向かうのである


走ってはならぬ…行ってしまわれた・・
まったく、転んで怪我でもされたら
如何する・・・
・・・ウンス…貴女が喜ぶなら
揃いのパジを誂えるとしよう…


そう思い、ウンスの後ろ姿を瞳で追い
その姿が見えなくなると、ヨンは
片頬をあげ兵舎へと向かう



「侍医…すみません、遅くなりました」

「なんの…今は随分と暖かくなり
患者もめっきり減っております
お気になさらず…」

「ふふふ…ありがとう
これ、お土産なの色々成分を研究
えっと学べないかなって思って
人参をね持ってきたの…」

「これは、これは貴重な物を
本当に宜しいので、医仙殿?」

「ええ、少しでも役にたてれば
いいんだけど、一緒に学びましょう」

卓の上の人参を手に取り
イム侍医は、目を白黒させながら
ウンスを見つめていたが
ばたばたと薬房の方から足音が聞こえる

「ふふふ…トギね…ただ・・・いま
ん?侍医こちらの方は?」

「はあ、トギの下で働く見習い薬医員で
す、それはそれは熱心でして
一日中トギを離しません…名は・・」

「ポンと言います、医仙様
お帰りをお待ちしておりました」

侍医の話を遮り、ポンはウンスに
自身で名乗りぺこりと頭を下げていた

「大層賑やかな女人でして
もう少し慎ましく出来ないものかと」

「あら、良いじゃないですか
私も賑やか過ぎるでしょう、ポン?
これからよろしくね」

「はい、医仙様…で、これは人参です
よね…是非一緒に学ばせて下さい」

「ええ、構わないわ…皆で学びましょう
栽培が、出来れば良いんだけど
ちょっと無理かな…」

ウンスは高麗人参の知識を
頭の中の引き出しから、取り出そうと
表情をころころ変え、辺りをうろうろ
していた

「医仙さま・・・?」

「ポン…いいのです
医仙殿は、こうしていつも何かを
お考えになられ、突拍子もないことを
思い付くお方ゆえ」




一方兵舎では、ヨンの私室にトクマンが
呼び出されかちこちに
固まっていたのであった…




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