木春菊  [偕老同穴] 証 7 | シンイ二次小説でんべのブログ

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都を出てはや七日目
後一泊すれば、屋敷に戻れる距離まで
三人は帰って来ていた

「ねぇ、ヨンお土産買いたいの
駄目かな?なんなら私の給金を使うけ
ど…」

「貴女の給金を使わせる程、困っては
おらぬ故・・・」

「ふふふ、ありがと…私の給金は
予定があるの、ずっと先の事だけどね」

「ん?予定とな」

「ふふふ、まだな・い・しょ、だって
何十年も先のことだから」

ウンスは悪戯な笑みを浮かべ微笑む

「夫婦で隠し事はせぬ約束では
なかったか?白状致せ、致さぬば
こうしてくれる…」

「いや、きゃはっはっ
くすぐらないでよ!危ないから
ヨンってば、落ちる---」

チュホンに、相乗りで帰路都を目指して
おるが、一向に進む気配なしである

まただ~いい加減前に進みましょうよ
大護軍、奥方様~俺の存在すら忘れて
いる?あ~もう---

後方からテマンが一人ごちる


「もう…分かったってば、白状するわ
よ…学校を作りたいの、えっと勉強する
ところ、なんて言うのかな…?
医員を育てたいの、もっと医術の腕を
上げれば、早い段階の不治の病だったら
完治するだろうし、だってみんな
平等に生きる権利はあるのよ
身分の高い人は、いい医術を受けられて
そうでない人は、死ぬのを
待つしかないの?おかしいわよ」

ウンスは口を尖らせ捲し立てる

「そりゃ私も完璧じゃないし
どこまで遣れるか、分からないけど
持ってる知識を、すべてさらけ出す
つもりでいるわ…だから
私の給金は、そっちにあてたいのよ」

「・・貴女らしい…慈悲に溢れておる
確かに、王様も民も皆おなじ人間には
違いない、身分が低くとも、市井の医員
の医術が向上すれば、皆が喜ぶであろう
民が潤えば国が潤おる、王様の目標と
されてるところ故、貴女の考えと
ある意味同じではないか」

「そうなのね….なんだか嬉しい・・
でもずっと先の事よ、私も勉強しなきゃ
針治療だって、イム侍医に教わらないと
それにいずれ子供が出来、巣立っから
になるわ」

「その折りには、協力は惜しまぬ」

「ふふふ、ありがと、いずれは
典医寺も引退するときがくるだろうから
その時に、遣れればいいなって思うの
夢ね…壮大な夢・・・」

俺は、貴女のその夢を実現させるべく
この地を護らなければなるまい

ふとヨンがウンスの顔を見ると
口を尖らせ怒り、かたや瞳を輝かせ
夢を語る、そんなウンスだから
恋慕うのだと改めて思うのである

「ウンス…愛しておる」

「え?どうしたの急に…でも嬉しい
不意に言われると、嬉しさ倍増する感じ
私もよ、愛してるわ…ヨン」

ウンスが頚を傾げ
触れるだけの口づけを交わす

「あ、もう昼餉の刻限くらいかな?
お日様が時期に真上になるし…」

「ふっ…腹が減ったのであろう
ウンスが刻限を気にするのは
腹の虫が騒ぐ折しかないゆえ」

「し、失礼ねぇ…そんな事ないわよ」

ウンスは頬を僅かに染め
顔の前で、手を左右に大袈裟に振り
否定する

「あ、市井が見えて来たわよ
ねぇ…ヨン・・・お腹空きました…」

「・・・ふっ、分かりました
寄りましょう…土産も必要でしょう
ん?」

「やった!」

「まったく、貴女は幼子か」

ウンスは満面の笑みを浮かべ
小さくガッツポーズをする




二人はチュホンから降りると
手綱をテマンに預け歩いて
都の市井とは異なる雰囲気を堪能する

あれやこれやと
店を覗き見ては手に取り、微笑みながら
また次の店を廻るウンス

俺から逃げたあの折り
こうして、都の市井を廻って
おったのか…しかも溢れんばかりの
笑顔を振り撒いて…主の鼻の下が
伸びておる!まったく・・・

ヨンの眉間に皺が寄る

「ウンス…饅頭を食べぬか?」

突然手を鷲掴みされ、訳も分からず
引き摺られるように
ヨンの後をついて行く

「い、痛い…どうしたのよ…ヨン!」

「・・すまぬ、饅頭屋をテマンが
探したゆえ…」

え?俺?はあ~
素直に言えば良いのに・・・

テマンはそう思いすっと消える

「腰かけぬか?」

「ん?なんか変よ!」

「・・・」

ふっっ…ヨンもしかして悋気でしょう?
でも聞かないであげる…
痴話喧嘩なんてしたくないもの
折角の楽しい旅が、台無しになるわ
ふふふ…でも嬉しい…ありがとう

ウンスはそう思いヨンの顔を覗き込む

「・・如何した?俺の顔に何か付いて
おるか」

「うんん…ヨンありがとう」

そう呟くと、ウンスは満面の笑みを
浮かべ、ぎゅっとヨンに抱き付いていた




一方兵舎ではチュンソクの後をつけた
トクマンが騒いでいた

「俺とチョモが確かにこの目で
見たんだよ、護軍と上品な女人が
肩を並べて歩いてるところをさ」

「本当ですか、トクマン先輩
あの堅物で知られる護軍が、女人と
まさか…信じられないですよ」

「本当なんだって、こうやって鼻の下を
でれーと、伸ばし頭を掻きながら
目なんかさ、きょろきょろして
定まっていなかったよ」

新兵のハヌルを掴まえトクマンは
機関銃の様に先日見た光景を
身振り手振りを交え大袈裟に伝える

ハヌルもまた信じられないとばかりに
トクマンの話に食い入る

「けど、どこで知り合ったんだ?
あ、そうか!縁談か!護軍ともなれば
縁談の一つや二つ
あってもおかしくない…医仙様も
お美しいけど、違う上品な美しさが
あったな~、俺も早く嫁が欲しい・・」

トクマンはうっとりと瞳を輝かせ
話していた…が…


「トクマン!!」

怒りを含んだ声で名を呼ばれる…


「何を捲し立てておった!」

「護軍、先日の女人は何方なんでしょう
護軍が女人と肩を並べ歩くなと、今まで
見たこともありませんから」

「な、何を言っておるのだ…俺は
市井など歩いてはおらぬ!」

「へ?俺は市井なんて一言も言って
おりません!」

「・・・・・」

トクマンはにやりと片頬をあげた…





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