木春菊  [偕老同穴] 127 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「しかし、王様には
度肝を抜かれましたよ、迂達赤に
紛れ込むとは・・でもあれだけ
背格好が違う 迂達赤は誰が見ても
怪しいですよ、門番も頚を傾げて
いたし、失礼ながら笑いを堪えるのに
必死でした・・・」

トクマンは王様のお姿を思い浮かべ
「プッ」と吹き出していた

「トクマン!!」

バシッとチュンソクの鉄拳がトクマンの
後頭部に炸裂する

蓙に、皆が円を描くように腰を下ろして
いる中、チュンソクの左隣には
トクマンが胡座を組み座っていたため
チュンソクの手が届くのも無理はない

「おまえと来たら、一言多いのだ
確かに、違和感はあったが
王様とて、祝いに駆け付けたかったので
あるからして・・兎に角笑うなど
言語道断だ!」

「痛い…俺ばかりいつも叩かれる
気がする」

トクマンは後頭部を擦りながら
涙目でチュンソクを睨む真似をする

「お前がいつも一言多いからであろう
違うか?チュンソクが護軍にあがった
いま、 迂達赤の隊長は、トクマン
お前しかおらぬが、未だにお許しが
出ないのは、その口が災いしておる」

「大護軍…お、俺が隊長?無理です
俺には出来ません…下を纏める器量
ないし、腕だって・・・」

「そう思うなら精進せよ
先に、黄泉の国に行ったチュソクも
トルベも、他の迂達赤も喜ぶに違いない
それが分からぬか…」

「護軍…チュソクがおれば間違いなく
次の隊長はチュソクだと思いますが
俺に出来ますか?」

酒をちびちび口に運び
チュンソクはトクマンに話しては
いたが…堪え切れず一筋の涙を流して
いた…

「すみませぬ、目出度い席で涙など
某としたことが・・・」

「構わぬ…あやつらにも
祝って欲しいと思うておった故」


チュンソクが涙を拭く間に
ヨンは天を仰ぐと

見えておるか?チュソク、トルベ
俺とこの方は夫婦(めおと)となった
祝ってくれるか
黄泉の国には、俺はまだ行けぬ
この方をお守りせねばならぬ…許せ

そう思いヨンは酒を一気に飲み干した

「さあ…湿っぽい話はしまいだ
ヨン…飲め、お前の長年の願いが
叶ったこの日を俺は忘れねぇ~からな」



宴は進み皆がそれなりに酒が回る頃
新兵のハヌルが愚痴を溢し始める

「此度の倭寇討伐は強硬でした…
俺なんか、ついて行けず
トクマン先輩が相乗りしてくれなければ
俺、間に合ってなどいませんでした」

「大護軍が視察や、戦に赴く折の
共は、強硬ゆえ身体が物を言うのだ
日々の鍛練は、欠かすでないぞ」

「はい…身に染みて分かりました
護軍、俺も俄然燃えて来ました」

「おお…俺も負けちゃいないからな」

あちらこちらから
そんな笑い声が聞こえる


「叔母上、東屋忝(かたじけ)ない
いい季節にある故、屋敷におる折には
頻繁に使わせて貰う」

「ああ、気するでない…どうせ
使うあてのない禄ゆえ、お前たちが
喜ぶなら私も嬉しいゆえ」

「そっか…ずっと王宮ですものね
叔母様、王妃様のお子が生まれ
落ち着かれたら、この人と三人で
鉄原に行きませんか…
まあ…二、三年先の話になると
思いますが…」

「されど、三人が抜ける事が叶う
折がこようかの・・・」

「是非、三人で行きましょう
義父様、義母様にご挨拶させて下さい
お願いします」


兄上、義姉上
そんな日が真訪れる事を、私は望んで
も宜しいのか…王宮に捧げたこの身を
甥と嫁御の為に、暇をと王妃様に
お願いしても、罰は当たらぬものか
いや罰があたるのは、この老いぼれ
だけでよい…若い二人の先は長い故

「叔母様?」

そう言って
ウンスは叔母の顔を覗き込む

「ああ、すまぬ先のことゆえ
その折に、また話そう」

「はい…」

「ところでウンス、この地には
新房覗きと言う習わしがあるのを
知っておるか?」

「えっと…天界で読んだ記憶が
有りますけど…まさか私たちに…今更?
でもそんな命知らずいるのかしら」

ウンスがちらりと迂達赤に目を向けると
皆が頚を上下に振っている中
トクマンの眼だけは、きらりと
輝いている!

「だって医…いや奥方様ヒック…
習わしですから…覗きを許されてる
訳ですからヒック…咎めを受ける事も
無い訳でしてヒック…」

トクマンの眼は完全に座り
焦点も定まらず宙を泳いでいる

「なあ…お前たちも見たいよな
こんな好機は二度とないんだぞヒック」

「それは…だけどよ、ヨンの旦那が
許す訳ねえだろう」

シウルはトクマンに話をふられ
些か戸惑い答えるが…
ちらりとヨンの様子を伺う

「ふっ…命がいらぬなら
覗きにくるもよし!鬼剣を今宵は
閨に持ち込む故」

「ヒック…そんな事すれば、大護軍が
罰を受けますよ~ヒック、良いんですか
奥方様を一人残し流刑に処されたら
どうするんですか?ヒック」

「・・・・」

酒の回りが早いトクマンに
痛いところを突かれ、押し黙るヨン

「トクマン!いい加減にせぬか!
大護軍、どうかお気になさらず
トクマンは、些か酔いの回りが早く
口が過ぎるようです、某が連れて帰り
ます故」


トクマン覚えておれ
この借りは鍛練できっちり返す故

ぎろりとトクマンを睨むヨンだが
飲んべえのトクマンには、まったく
効き目なしの様子…へらへらと
師父やシウルと酒を酌み交わしている

「あんちゃん…気にいった!
ヨンに楯突く部下を初めて見たよ
愉快、愉快…
そうだ、新房覗きは古くから伝わる
習わし、誰も咎めを受ける事はない
正々堂々と覗ける好機なんだよ」

「師父!!」

「ちょっと待ってよ…確かに天界でも
聞いたり、読んだりしたことあるけど
それは、幼い新婚夫婦の時だけでしょう
私達は若く無いわけだし
別に初めて同士でもない訳だから
教えて貰う必要もない訳で・・・」

興奮気味にまくし立てては
見たものの、自身が何を話しているのか
はたと気付いたウンス…
真っ赤になり、ヨンの背に隠れる

「まったく…嫁御も口が過ぎる
ようじゃ、トクマン!新房覗きを
是が非でも致すつもりか
ならば、この私と武閣氏が見張りに
立つ!私らを倒す事が出来たとしたなら
行くがよい、トクマン聞いておるのか」

皆の眼がトクマンに集中する

「ぐぅ~、ぐぅ~」と鼾(いびき)を
かきながら、項垂れていた…

「まったく、護軍!鍛練が足らん
ようじゃ、精神ともに鍛えあげるが
よかろう…」

「チェ尚宮様…某の不徳の致すところ
然と心得ましてございます」

「さあ…時期に日も暮れよう
片付けを手伝い暇(いとま)すりると
しようではないか」




トクマンをハヌルが背負い
庭は、皆できれいに片付ける

「王様からお言葉を賜ったように
戦帰りの者は、明日はゆっくり休め
チュンソク十日程留守にする
後は頼んだぞ」

「はっ!御ゆるりとなされて下さいませ
栓なき事が起これば、使いを走らとう
存じます」

「そうしてくれ、今日はすまなかった」

「叔母様、イム侍医、トギ王妃様の事
宜しいお願いしますね…ふふ」

「お任せあれ…医仙殿」


こうして賑やかだった披露宴は
幕をおろした
皆を見送ると静まり返った屋敷に
ふと寂しさが込み上げる

「ねぇ…ヨンみんなで東屋に腰掛けない
まだ、日があるじゃない」

「ああ…」



「暫く留守にするけど屋敷の事お願い
ね」

「奥方様、屋敷の事はご心配なさらず
ごゆるりとなされて下さいませ」

「テマン…お前も共に江華島参るぞ
敵がおるやも知れぬ、俺がやりあう間
この方を守るのが、お前の役目よいな」

「はい…でもお邪魔ではないのですか」

「よい、だが平常の折はちと離れて
ついて参れ」

ヨンがにやりと片頬を上げると
テマンには、その意味が十分
理解しテマンも、にかっと白い歯を
見せ、言葉を繋ぐ

「はい、お邪魔はしません」

「チョンス、すまぬが馬を二頭
手配してくれぬか」

「はい、ではすぐに」


江華島に渡る手配も整い
二人は、うっすらとし始めた夕刻
閨に籠るのであった




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皆様こんにちは

ゆるりと進む婚儀から披露宴の中
お付き合い頂き誠に
ありがとうございます

明日よりはサブタイトルを変え
描いて参ります…これからも
どうか宜しくお願い申し上げます


今日20時別館へとご案内いたします
嫌いな方はスルーでお願い致します

でんべ


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