木春菊  [偕老同穴] 122 | シンイ二次小説でんべのブログ

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一歩踏み出す度に鎧ががしゃりと
煩く鳴る
眠りの邪魔をせぬよう静かに鎧を脱ぐ
テマンがそれを手伝う

武閣氏に「ご苦労であった」と瞳で
語り、カンとミントは無言で頷き
その場を後にする、代わりにテマンが
そこに立つ

静かに扉を開けると乱れぬ寝息が
僅かにヨンの耳に届く

『どれ程待ち焦がれたとお思いか
貴女は違うのですか、俺はもう一時も
離れる等ごめんです…夢の話をいつか
聞かせて差し上げる故、今はゆるりと
休まれよ…』

そう思いそっと頬に触れる
湯浴をしていない己が恨めしい
椅子を二つ並べどかりと
寝台に寄り添う様に腰を下ろし
長い脚を投げ出す

もう一目と寝顔に瞳を向け、髪を手櫛で
整えると、ウンスの瞼が微かに開いた
気がし暗闇の中顔を凝視する


「んんっ…くすぐったいヨンの悪戯っ子
ん!ヨン!!」

ウンスはガバッと起き上がる

「なんだ夢か…」

暗闇になれぬウンスは、重い瞼を懸命に
擦る…

「クックッ」と低い笑い声がする

「・・・!!ヨン!どこ?まだ
暗闇に慣れてないのどこにいるの?」

「ここにおるではないか」

ウンスは暗闇の中、手を大袈裟に振り
ヨンを探していたが、ひょいとその手を
ヨンが優しく包むとウンスも
離すまいと固く握り返す

「ヨン…お帰り…怪我は?」

その大きく豆だからけの手のひらを
ウンスは自身の頬にあてる

「まだ湯浴もしておらぬ、ウンスが
汚れてしまう」

「構わないわ…私の大好きな大きな手よ
この手で私を守り、この地を守り
ご苦労様…」

「ウンス…もう眠るがよい
明日は大事な婚儀故・・」

ウンスは布団の端を静かにめくり
ヨンに手招きをする

「言うたであろう、まだ湯浴もして
おらぬと…」

「構わぬと言うたであろう…」

「まったく…貴女には逆らえぬ」

ヨンは無駄な抵抗を止め素直に
ウンスの隣に身体を滑り込ませる

「チュホンに無理をさせ、戻って来たが
汗臭くはないか?」

「大丈夫よ、気にしないで…
何日独り寝したと思っているの
もう離さないで…」

「ああ…無論離さぬ・・」

「話はゆるりといたそう、抱き締めて
眠ってもよいか?」

「うん!…おやすみなさい」

「ああ…」

私室の寝台が狭いのは承知の上、二人は
重なる様に、眠りについた




「テマンではないか…と言うことは
あやつはこの中?戻って来たのだな
テマン…起きぬか」

不覚にもテマンも私室の前の壁に凭れ
居眠りをしてしまった
肩を揺らされ瞼が開く

「チェ、チェ尚宮様すみません
俺、寝てしまいました」

「戦帰り故疲れておるのだろう
構わぬ…あやつは中か?」

「は、はい」

「テマン…起こして参れ」

「え?俺がですか?嫌ですよ
チェ尚宮様が起こしてくださいよ」

「馬鹿を申すでない!その…なんだ…
営みをしておるやも知れぬではないか」

「・・・ん!ん!無理です、殺されます
俺よりチェ尚宮様起こして下さい」



「・・・仕方あるまい
ウンスの支度をせねば間に合わぬ」

思い悩んだ挙げ句チェ尚宮は
私室の扉を睨み付けながら
声を張り上げようとした時…

「起きたか…」

ふっと肩が軽くなった・・・

「叔母上…世話を掛けるが宜しく頼む」

と.中からヨンの声が聞こえ
バタバタと世話しなく動き回る
ウンスの足音が聞こえ扉が開く

「すみません…この人の顔見たら
安心してしまって、ぐっすり寝込んで
しまいました、本当にごめんなさい」

「お前らは・・ふぅ~まあよい
晴れの日まで、小言は言うまい
ヨン、お前も湯浴をして参れ
戦報告もあろう」

「ああ、分かっておる」

「ウンスを連れて行くぞ」

「じゃヨン中庭で待ってて
着替えてくるから」

そう言ってウンスは、叔母に手を引かれ
眩しい笑顔を残し去って行く

『ウンスや…貴女とめぐり逢い
この時をどれ程夢見た事か…必ずお戻り
下さると信じ彼の地で四年…
そして半年・・・漸く貴女は俺の
正式な奥となるのですね…
父上、母上…俺の想いがやっと
形になるのです、どうぞあの方を
彼の地をよりお守り下され
そして…義父上様、義母上様
お会いする事は叶いませぬが、俺は
生涯あの方のみ、ここにお誓い申す
あの方を見守って下され』

ヨンは胸の内でそう誓い
天を仰ぎ頭を垂れる

「テマン!参るぞ」

そう言うヨンの顔は晴れやかだった



「お前さん晴れで良かったよ」

「ああ、そうだな奥方様に誓ったんだ
晴れなければ、天の雲を引き裂くと」

「馬鹿だよ…できっこないじゃないかい
まったくあんたは・・」


「いるかい~」

「こんな早くから誰だい・・」

チョンスとエギョンは床を上げ
使用人部屋から飛び出し門の閂を外す

「マンボさんじゃないかい
随分と早くはないかね・・」

「エギョン!馬鹿を言いでないよ
私らスリバンは頼まれた仕事はきっちり
こなすのが筋でね…早いに越した事は
ないだろうよ、おい!入りな!」


どやどやと大きな卓をなん卓も
運ぶスリバン、立食スタイルのようだ

「厨房借りるよ」



「王様、倭冦討伐無事に終えた事を
ご報告申し上げます」

「大護軍、ご苦労であった!」

「はっ!」

「皆もご苦労であった!これで暫くは
攻めては来ぬであろう」

「されど油断は出来ませぬ」

ヨンは王様を見つめしっかりと
言葉を繋ぐ

「大護軍、今日はそなたの婚儀で
あろう、そう眉間に皺を刻むでない
皆もそう思うであろう」

王様はヨンの後方へ控える迂達赤へと
視線を向けにやりと片頬を上げる


「本日、他に詮議せねばならぬ議題は
ないな?」

重臣の筆頭に座するカン・ヨンジュが
立ち上がると

「王様、本日は他にございませぬ故
皆で大護軍の婚儀を見届けたいと
存じ上げます」

「相分かった…皆で祝おうではないか
高麗の守り神の婚儀を」

王様がそう述べると
皆が一斉に立ち上がり頭を垂れ
王様と大護軍見送りその後に続く


俺は幾分緊張し中庭に降り立つ
あの方はまだ見えぬようだ
己の正装に瞳を移し、落ち度の
無いことを確める
いつもボサボサの髪を今日だけは
丁寧に櫛を通し、整えたつもりだ

晴れの日、あの方に不釣り合いでは
あってはならぬ
女人が主役と聞いておるが
横に立つのは俺なのだ

王様、王妃様が上座にご着席なられた
あの方を待つ刻が長く感じるのは
気のせいか・・・

>>>>>>>>>>>>>>

皆様こんにちは
いつもお寄り下さり誠に
ありがとうございます


一つ前にもアップしています
宜しければそちらからお読み下されば
繋がる筈です

じりじりと延ばして参りましたが
やっとたどり着きました(私のせいですが)
皆様にはここまで拙い文章に
お付き合い頂き感謝しております
m(_ _)m

いずれ何かの形でお礼を致します
あ!話はまだ続くので
これからもどうぞよろしく
お願い申し上げます


でんべ

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