翌朝…ウンスが目覚める前
叔母は使用人部屋へ顔を出していた
「東屋はどうなっておる?」
「ご覧になられますか…」
「ああ、頼む」
チョンスがまだ夜が明けぬ
庭に駆け出し、天幕の隅を少し開ける
「ほぅ~間に合いそうだな…」
「はい、棟梁が婚儀までには必ずと
新たに人を雇い精を出しております」
「この事はウンスは知らぬな?」
「はい、お知りになられません」
「エギョンと二人、あやつが戻るまで
確り頼むぞ、私は戻る故」
そう言うと叔母はまだ明けきらぬ
暗闇を音もさせず王宮に戻って行った
「んんっ・・・叔母様朝で・・・
居ない?もぅ~叔母様まで起こさずに
行っちゃうの・・あの人にそっくり!」
ウンスはまだ開ききらない瞼を
なんとか開け辺りをキョロキョロ探すが
叔母の影はどこにもなかった
一人ぶつぶつ小言を言うとムクッと
起き上がり出仕の支度を整える
「エギョン?もうお帰りになったの?」
「はい、奥方様…明け方前にお戻りに
なられました」
「そう、仕方がないわね
私も 朝餉を頂くわ…出仕しないと」
『ウンス…泣いてはおらぬか
一人にさせてすまぬ…
いっその事、職を退きすべてを捨て
誰も知らぬ地へ
否…ウンスともに天界へ・・・
行けぬ…な…俺には出来ぬ
されど貴女に悲しい顔はさせとうない
たった一日しか過ぎてはおらぬのに
あの笑顔が観たい、俺の名を呼ぶ
その声が聞きとうて…貴女の僅かな
重みをこの肩が恋しがる…はぁ~俺は
病なのか』
野営の夜が明ける頃
新兵が質素な 朝餉の支度に取りかかる
湯を沸かし、干し飯と焼き味噌を
人数分取り分けるが此度は大所帯
飯の支度だけでも幾分時が掛かり
がさこそと世話しなくヨンの回りを
動き回る
『まったく、ひとときもあの方を
思う刻を与えてはくれぬのか』
「大護軍、眉間に皺が・・
そのように睨まないで下さい
恐ろしくて、近寄れませんよ~」
新兵がトクマンに頼み 朝餉を運んで
貰っていた
「 朝餉を運べぬと泣きついて
来ました、笑って下さいよ」
「馬鹿者!これから戦と言うに
笑ってなどいられるか!」
より深く眉間に皺を刻み、低く
相手に威圧感を与える声を発しトクマン
をぎろりと睨む
「ひぇ~お許しを~」そう叫びながら
トクマンと新兵は 質素な朝餉と竹筒を
ヨンの手に握らせ一目散に逃げ出す
『馬鹿だな・・トクマン
近寄ればとばっちりを食うのに…
医仙様を思っているんだ
一人にして差し上げろ』
テマンは大樹の上から呆れ顔で
見下ろしていた
各々がかきこむように朝餉を済ます
「チェ・ヨン…腕がなるな…久しく
お前と戦に赴くこともなかったのでな
早よう済ませ、お前の婚儀に参列
せねばならぬ…王様との密命も
果たさねばな」
「ん?密命・・俺は聞いてはおらぬ
総大将の俺が知らぬ密命とはなんだ
アンジェ!」
「・・戦のことではないわ気にするな」
「アンジェ、お前といいチュンソクと
いい、何を俺に隠しておる
有り体に申せ!」
「戦のことではない…口が滑った許せ」
ヨンが立ち上がりアンジェに詰め寄ると
アンジェは後退りする
「ま、待て…落ち着け
王命ゆえ、例えお前とて話す訳には
参らぬのだ、堪えてくれ頼む」
「はぁ~まったく---王様のお戯れ
にも程がある」
ヨン深くため息を吐くと眼を瞑り
一気に息を吐き、気を鎮めた
「チュンソク!」
「はっこちらに」
「アンジェ、チュンソク此度の戦
必ず勝ち戦となろう…だが油断はするな
沿岸地域の見取り図は、俺の頭の中に
ある、でだ策は------この様に
分かったな」
三人は額を突き合わせヨンの策を
聞き入り頷き合う
「お前は総大将なんだ、後方部隊におれ
最前線は、俺とチュンソク護軍が
受け持つ」
「馬鹿を申すな、俺は信念は正面突破
いつでも最前線に立つ!」
ヨンはそう言うと片頬を上げ
二人を見据える
「夜が明ける、参るぞ」
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