木春菊  [偕老同穴] 116 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「医仙殿、余は詫びねばならぬ
婚儀を間近に控えし折り、このように
大護軍を戦に赴かせた事
誠にすまぬ、いつまでも大護軍ばかり
あてには出来ぬと分かってはおるが
そなたがまだ戻らぬ折りでも
数々の武功をあげ、この国に勝利を
もたらしてくれた大護軍を外すことも
考えられず、これからも大護軍を
戦に赴かせることもあろうが
堪えてくれぬか…」

そう言って王様は軽く頭を下げる

「お止め下さい…王様に頭を下げさせた
なんてあの人が知れば私が叱られます」

「されど、医仙殿は大護軍だけが
頼りであろう…」

「はじめはそうでした、ですが今では
たくさんの仲間が居ます…家族が居ます
でも…あの人が戦に赴くのは
心配で顔を見るまで、今夜から
眠れないかも知れませんが
それもこれもすべて覚悟で、この地に
あの人のそばに戻って来たんです
ですから…腹は据えているつもりです」

「義姉様・・・」

王妃がうるうると瞳を滲ませ
ウンスを見遣る

「今回もきっとあの人は勝利を
もたらしてくれるはずです、そして
私を残し勝手に逝くなんて、この私が
許しませんから大丈夫です」

ウンスは王様、王妃様を見据え
胸を張りそう答えていた

「医仙…」

静かにチェ尚宮が入ってくる

「そうだ、あやつはそなたを残し
逝ったりはせぬ、この叔母が保証する
故、この地に根を張ればよい」

「はい、叔母様・・これからも
宜しくお願いします…ふふふ」

「さすれば本題に入ろう
戦より戻り婚儀が終われば、十日程だが
二人には暇を与える」

「え!ヨ、いえあの人と二人でですか?
でも…王妃様に何かあれば・・・」

「医仙殿…優秀な侍医がおるではないか
案ずるな、ゆるりと羽を伸ばして
参るがよい…」

「本当に宜しいのでしょうか?」

「無論二言はない、大護軍はいままで
どんな褒美も家訓に反すると受け取りは
せなんだ故、これは余からの褒美と
捉えて欲しい」

「あの人は知ってるんでしょうか?」

「いや、まだ知らぬ」

ウンスはあれやこれやと思い浮かべ
顔が綻んでくる

「どうしたのだ医仙殿、お顔が…」

「な、なんでもありません…」

ウンスは、顔の前で手を左右に振り
懸命に否定する

「ならばよいが…それともう一つ
今宵余は王妃のそばにおる
でだ…チェ尚宮が暇をもて余すであろう
医仙殿、面倒を見てはくれぬか?」

王様、王妃様共に悪戯な笑みを
浮かべウンスを見遣る

「え…でも・・・」

「婚儀の打ち合わせもあろう
良いな!チェ尚宮、今宵屋敷に参るな?
離れも確りその目で確かめて参れ」

「・・・はっ仰せのままに・・・」

チェ尚宮は渋々承諾していた



お役目を終えウンスは
輿に揺られ帰路に着く

やはり屋敷に脚を踏み入れると
ヨンが寂しさが押し寄せてくる
だが…屋敷の中では気丈に振る舞う

「ただいま…変わった事はなかった
かしら?」

「お帰りなさいませ、奥方様
別段変わった事はございませんでした」

「そう…良かったわ」

どさりとウンスは、腰が砕けたように
しゃがみこんでしまう

「奥方様如何されました!」

エギョンと護衛のミントが駆け寄り
抱き起こす

「ごめんなさい、ちょっと気負い過ぎた
みたい…居間に連れて行って
貰えるかしら」



二人に支えられウンスは
椅子に腰かける

「はあ…らしくない気負い駄目ね・・・
名門チェ家に嫁ぐのに、この有り様
情けない・・私ね…医者になりたくて
誰も頼らず一人で片意地張り生きて
きたの…でも今じゃ旦那様がいない
だけで、匂いが感じられないだけで
泣きそう・・」


「やっと本音が聞けたな…」

「叔母様もういらしったんですか
王妃様はお一人なんじゃ?」

「案ずることはない…王様がお見えに
なられた故、体よく追い払われたわ」

足音も立てず叔母が居間に顔を出すと
ウンス、エギョン、ミントが
驚き立ち竦む

「ウンス…気負わずともよい
王妃媽媽が随分案じておられたぞ
早よう行けと、一人にしてはならぬと
仰せであった…」

「王妃様が・・・」

「此度は視察ではない…戦じゃと
戦のない世から来られた、義姉様は
不安で堪らぬ筈じゃともな…
ウンス…一人で片意地張らずともよい
ここにはあやつがおらぬでも
家族、私がおる…」

「叔母様・・・」

ウンスはふらふらと歩みより
叔母に抱きつく…
母に甘える娘のように

一頻りその懐で大粒の涙を流し
漸くウンスは顔を上げた

「まったく…手の掛かる嫁御じゃ・・」

「すみません…」

「よい、エギョン 夕餉の支度を
頼めるか?これを…王妃様より賜った
品じゃ、ありがたく皆で頂くとしよう」



叔母はウンスの茶碗におかずを
せっせと運んでいる

「もうちと食べよ、そのように細くて
如何する、いずれ赤子も生まねばならぬ
ものを、ウンス…天界の女人は
皆その様に細いのか?」

「そうですね…ダイエット…あ、痩せる
事は、あたりまえの時代でしたね」

「真か?一切食らう事をせず痩せようと
するのか」

「いえ…いろんなやり方がありましたよ
例えば、炭水化物…えっとお米や麺類
を食べない人や果物だけの人や
本当に数えきれない種類があります
でも、どれが正解なんて言えないと
思いますよ、やはり身体を絞るには
運動が一番良いと思いますから」

「運動?とは」

その話に食いついたのはミントだった
瞳を輝かせ、身を乗り出しウンスの話に
聞き入る

「身体を動かす事よ、叔母様や武閣氏の
お姉さん方は十分運動されてる筈よ」

「そ、そうか…私みたいな歳でも
ウンスのようにきゅっとなれるかの」

「いやだ~叔母様一番興味あるんじゃ
ないですか…ふふふ」

卓を囲みウンス、叔母、ヘジン、カン
ミント、エギョン女人ばかり集まり
王妃様から賜った鳥肉で マンドゥクッ
のスープがでんと置かれ、脇には小鉢
並んでいる…

「基本一人一人に配膳される
スープなんだが、皆で囲むにはこれで
良かろう」

「はい、鍋はみんなで突っつくこれが
美味しいんですよ、エギョン流石ね」


無礼講で夜半まで続きチョンスも
漸く女人ばかりの中から、解放され
息を深く吸い込み苦笑いを浮かべていた

客間に布団を敷きウンスも叔母と共に
床につく事にする


「ウンス…今日は王様と王妃様のご厚意
甘えて参ったが…すまぬが明日は・・」

「叔母様、今日はありがとう
ございました、なんだか本音で話せて
心が軽くなった気がします」





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