木春菊  [偕老同穴] 115 | シンイ二次小説でんべのブログ

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いつも通り
チョンスが御者を務める輿に揺られ
出仕するウンス

「ありがとう、チョンス
また夕刻、お願いするわね」

「はい、奥方様少し早めに参ります」

「分かったわ」



「あ、叔母様おはようございます」

「ウンス…新たにそなたに付きになる
武閣氏と引き合わせようと思うてな」

「はぃ?既にヘジンとカンがいますけど
三人になるんですか」

「いや、ヘジンは王妃様付きになるゆえ
引き継ぎを済ませるまでは、三人だが
典医寺で待たせておる、参ろう」

「はい…」


典医寺までの僅かな道のりを
四人で歩を進める

「あやつ出陣したぞ、ウンス…
一人で大事ないか?」

「・・寂しくない…と言えば嘘になりますが、泣いてばかりいれませんから
お役目と屋敷をしっかり守ります
あの人に恥をかかせる訳には
いきませんし…」

「ウンス…すまぬな、あやつにも
目を掛けてやって欲しいと
頼まれたのだが・・・・」

「いえ、叔母様いいんです
もうそれ以上おっしゃらないで下さい
分かっていますから・・ふふふ」

「・・・」

叔母は唯一ヨンの身内として
留守の間だけでも、共に居てやれたらと
心から思うのだが、自身の立場が
それを許す筈もなく、すまなそうに
唇を噛み締めていた


「あれ…あの人は確か?…」

「そうじゃミントじゃ、腕は武閣氏の中
でも一、二を争う故、案ずる事はない筈
歳はまだ若いが、考えも確りしておる」

「これから宜しくね」

ウンスはミントの手を取り
満面の笑みを携え、手を上下に大きく
振り握手をして見せる
困惑顔のミント


「私の里では、お世話になる人とは
こうして挨拶を交わすの…気にしないで
・・ふふふ」

「ですが・・・医仙様」

「ミント…医仙は身分の上下に関わらず
こうして接するお方故、いちいち
気にしておれば、その方の身が持たぬ
己はお役目に邁進せよ」

「分かりました、チェ尚宮様」

ミントは一歩退き、チェ尚宮に
一礼すると、厳しい顔つきになり
典医寺の前にヘジン、カンと共に護衛に
付く

「ウンス坤成殿で会おう」

そう言うとチェ尚宮はその場を後にする




「義姉様の様子はどうであった
寂しゅうしておられたのでは?」

「はい、強がってはおりましたが
本音を申せば寂しい筈、時期に
参りましょう、その折りに・・・」

「そうしよう、チェ尚宮たまには
王宮を空けても構わぬ、義姉様の屋敷
で過ごせばよい…」

「滅相もございませぬ、王妃様のお身体
に、万が一あらばこの国の一大事
無事、お子がお生まれ
あそばされるまで、このチェ尚宮
お側を離れるなど、考えてもおりませぬ
故」

「相変わらず硬い頭じゃのぉ~
妾には王様がいらして下さる故
大事ない、それより義姉様を・・・」

「王様がお見えでございます」

王妃様のお言葉を遮るように
アンドチ内官の声が聞こえる

「王様…どうなされたのです?
このような刻限に」

「王妃、どうしたのだ?顔つきが
ちと厳しいように見えるが」

椅子から立ち上がり王妃は笑みを携え
出迎えていた筈が、チェ尚宮との
やりとりで、知らず知らずに眉間に皺が
よっていたのだ

「余は医仙殿と話さねばと思い参ったが
王妃はどうしたのだ?」

「実は・・・」と王妃はチェ尚宮との
話の中身を王様に聞かせる

「今宵も余は参るつもりでおる
チェ尚宮、毎夜とは言えぬが
大護軍がおらぬいま医仙殿も心細い筈
訪ねて差し上げよ」

「恐れながら王様・・・」

「チェ尚宮、そなたの心根は言わずとも
分かっておる、忠義に厚いことも
故に申しておるのだ、毎夜とは言えぬが
と、余と王妃は大護軍と同じなのじゃ
医仙殿に、笑顔で過ごして欲しい
だけじゃ、まして大護軍がおらぬ
今だからこそ尚更じゃ、そなたも案じて
おるのだろう…全てを捨て戦ばかりの
この地に戻って来たのじゃ
肉親の情が、何よりの活力の元とは
思わぬか」

「・・ありがたき幸せに存じ上げます」

チェ尚宮は余計な事は言わず
それだけを返すと深々と頭を垂れた

「お茶の用意をさせます」と
チェ尚宮は静かに部屋を後にする
その瞳には涙が滲んでいたが
誰にも見られまいと袖口でそっと拭い
武閣氏に指示を出す


その間に、ウンスが坤成殿に
王妃様の診脈の為、顔を出していた

「王様もお早いお越しで…診脈は後の
方が宜しければ、出直しますが?」

「余は医仙と話がしとうて待っておった
のじゃ、宣仁殿に呼びつける訳にも
いくまい」

「はい…分かりました、先に王妃様の
診脈をさせて頂きますね」


ウンスは、いつものように王妃の脈に
触れ瞳を閉じる

「お変わりはないようですが
お身体に変化はございませんか?」

「これと言って、気になるところは
ないがのぉ~」

「それは良かった…いつでも言って
下さいね、すぐに駆け付けますから」

「相分かった…」

「王様、お待たせ致しました
お話とはなんでございますか?」


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