木春菊  [偕老同穴] 114 | シンイ二次小説でんべのブログ

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続き・・・


王妃様が御戻りになり、暫くすると
窓の外に人影が見えてくる

ウンスは、手を合わせ月夜を眺め
窓際に腰掛けていた為、それがすぐに
ヨンと分かった

「ヨン!!」

「ウンス、すまぬ…ちと遅くなった
何をしていたのだ、ん?」

「お月様にお願いしていたの…
貴方が皆が、怪我をせず無事に戻ります
様にって…」

「そうか、ならばご利益があろう
蝶番は誰が直した?」

「テマン君が一生懸命直してくれたわ
誰かさんは、力が有り過ぎるから
困ったものよぬ…ふふふ」

「屋敷に戻るとするか」


こうして二人はチュホンに揺られ
王宮を後にする
テマンは屋敷に知らせる為全速力で
駆け出し、既に気配も姿も
辺りにはなかった

ウンスは王妃様が来て下さった事を
ヨンに伝えた

「ウンスは一人で寂しくはないのか
王妃の申し出をありがたく受け
王宮で過ごしても構わぬが」

「そうね…ありがたいけど
それじゃ私の気がすまないの
貴方に心おきなく出陣して欲しいから
屋敷は、貴方が留守の間私が守りたいの
構わないでしょう」

「ならばよいが…無理をしておるように
も見えるが?」

「そんなこと…ないわよ、でも無事に
戻って来て…婚儀に気を取られると
怪我をするわ…いつでも婚儀は
出来るんだから、お願いね」

「あまり話すと舌を噛むぞ、続きは
屋敷に戻ってからだ」



屋敷に着くとチョンスとエギョンが
出迎えていた


「お帰りなさいませ、旦那様、奥方様」

「ああ、遅くにすまぬな」

「ただいま…先に湯殿の支度をお願い
出来るかしら、旦那様明日の朝早いの」

「整えてございます、奥方様」

「そう、流石エギョンね…ふふふ」

ウンスが女主として仕切るさまに
ヨンは苦笑いを浮かべながら
共に屋敷の門を潜る


湯浴を済ませ、共に居間へと向かうと
簡単な夜食が用意されていた

「皆も座れ…」

テマンが座るとエギョンとチョンスも
恐縮しながら椅子に腰掛ける

「戦に赴かねばならぬ、テマンは共に
参る故、チョンス、奥の事を頼めるか」

「はい、旦那様、恙無く過ごせるよう
エギョンと二人全力でお支えします」

チョンスがそう言うと、エギョンと二人
立ち上がり頭を垂れる

「宜しく頼む」



夜食を済ませ二人は閨の扉を開ける
それでもウンスは世話しなく動き回り
戦に赴くヨンの為に、着替えや煎じ薬を
風呂敷に詰め込んでいる

「ウンス…もうよい」

「だって…念には念をいれないと
万が一軍医の煎じ薬が、切れでもしたら
大変だもの」

ヨンは苦笑いを浮かべながら
寝台に腰掛けると
己の隣をぽんぽんと叩く

「ん?なあに」

ウンスは恥ずかしそうに言葉を返すと
ヨンの隣にちょこんと腰掛けたが
すぐさまヨンに組み敷かれる

「勝利の女神にお墨付きを貰わねば」

「私、いつから女神になったのかしら」

小首を傾げウンスはヨンの瞳を捉える
ウンスの手がヨンの眉、頬を
愛しそうになぞって行く

ヨンもまたウンスの揺れる瞳を捉え
ウンスの寂しさを拭い去る様に
唇を重ねる



翌日…ヨンはまだ夜も明けぬころ
そっと閨を抜け出し、後ろ髪を
引かれながら、テマンと共に
出仕して行った


「ヨンの馬鹿…起こしてくれても
いいじゃない・・・ちゃんと
お見送りしたかったのに…」

ウンスは何かを思いつき
ムクッと起き上がると急ぎ着替え
閨を飛び出して行く

「チョンス、馬を用意して大至急よ
あ、急いでって事」



王宮では…

王様からお言葉を賜っていた

「皆の者、早朝より大義であった
必ずや勝ち戦となると余は信じてやまぬ
故に一人も欠ける事なく帰還する事
これは王命である!良いな違えるで
ないぞ」

「はっ!」

チュンソク他迂達赤と
アンジェを始めとする禁軍、総勢が
一斉に声をあげると王宮中庭が
地響きに揺れた気がした

筆頭に膝まずくヨンが顔をあげ
にやりと片頬をあげ言葉を発する

「王様、必ずや勝利致して
ご覧にいれますれば、我々高麗軍に
お任せ下され」

「頼むぞ、大護軍!」

「はっ!」



各々が騎乗しヨンの合図を待つ

「出立!!」



ウンスは馬に跨がりチョンスの道案内で
以前ヨンに連れて来られた梅の木が
眼下に見下ろせる、小高い丘に着いて
いた

「ここなら市井を抜けるのが、真正面
から見れるわ、市中を大群で駆けない
筈だから…」

ウンスは目を凝らしその時を待っていた


暫くすると、道にひれ伏す
民がちらほらと見えてくる、その先を
ウンスは凝視すると、大群の筆頭に
一際目立つ、大きな人影が見えてくる

「チョンス、あの人影ヨンに間違いない
わよね、叫んでも届かないわよね
他の人には聞こえる?」

「はぁ…これだけ離れていれば
届かないかと思われますが」

「そうよね…」

ウンスは届かないと確信し、息を沢山
吸い込み、一気に叫んだ

「ヨン~~起こしてくれても良いじゃ
ない~~怪我なんかしたら許さないわよ
~~~」

背伸びをし両手を口に添え叫び終えると
すこんと、かかとを落とし肩で息を
何度も繰り返す

その叫び声が風に乗り、ヨンの耳に
僅かに届く

「ん?この声は・・・」

ヨンがあの丘に眼を向けると
両手を合わせ、祈るような姿のウンスが
いた

その角を曲がれば、もう暫くは観れない
その姿を、ヨンはしっかり瞼の奥に
焼き付け…そして鬼剣を握る左腕を
天高く掲げウンスに合図を送る

『待っていろ、すぐに戻る』



いつもの時間に一話アップしております
宜しければ、そちらから先にお読み
下されば繋がると思います

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