木春菊  [偕老同穴] 114 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「ウンス…話を・・」

突然姿を現せたヨンに、ウンスは
違和感を感じとる

「どうしたのこんな刻限に・・」

「侍医…少し医仙を借りてもよいか」

侍医もヨンの複雑に入り交じる
気を感じとり、余計な事は言わず
黙って頷く

「ウンス…私室に参ろう、ちと話が
したい」

「えぇ…分かったわ」


二人は手を絡め、ウンスもちらっと
ヨンを見るが、黙って歩を進めるヨンに
付いて行く


「え?戦!って言った…」

「 倭寇討伐の命が下った…視察に赴いた
折り、春になれば来ると感じておったが
先日より沿岸地域に、頻繁に姿を
現してる模様だ、王様も婚儀を間近に
控えた俺を出陣させるのを、迷われて
いたようだが、沿岸地域よりの
上申書が絶え間なく来るようになり
決断されたと仰せであった」

「そうだったの…王様も辛い決断だった
のね…」

「婚儀までには必ず無傷で戻る
故・・堪えてくれぬか・・」

「だ、大丈夫よ!武人に嫁ぐの
だから、大丈夫…でも必ず無事に戻って
来て…待ってるから」

腰掛けていた寝台の脇からウンスは
立ち上がり強がって見せた

「で、いつ出陣するの?」

「明朝…」

「随分急になのね…仕方がないわね
忙しくなるわ…侍医も知ってるの
かしら」

「今頃内官より知らせが届いている筈
軍医を連れて行く故」

「じゃ分かったわ…手伝わないと
迎えには来れるの?」

「これから軍議が始まる故
遅くなるやも知れぬが、迎えに参る故
待っておれ」

「うん!待ってるわ…さあヨンも忙しい
んでしょう、戻ってちょうだい
私は大丈夫だから・・・」

ウンスに背中を押され、ヨンは私室の
扉の外に締め出された、「はあ~」と
ため息を溢し、一歩踏み出そうとしたが
ウンスの様子が気になり、ちらりと
窓に瞳を移すと、口元を押さえ
膝から崩れ落ちるウンスの姿が
ヨンの瞳に、まるで
駒送りの様に飛び込んでくる

「ウンス!!」

思い切り扉を蹴りあげ蝶番が外れた…
ぎぃぎぃと耳障りな音がする中
ヨンが飛び込んでくる

「ウンス…一人で泣いてはならぬと
いつも言っておろう…」

そう呟きながらヨンはウンスの踞る
身体の前に、胡座をかく形で腰を下ろす

「ヨン・・ 泣いてなんかないから」

そう言って顎をしゃくる拍子に
涙がこぼれ落ちる
そんな強がりばかり口から突いて出る
ウンス・・・

「今だげ・・いまだけこのままでいて」

そう言ってウンスは
堰を切ったように声をあげ泣き出す
膝の上にウンスを座らせ、ヨンは
ウンスの背を無言で擦っていた…が

『俺とて一人残し戦に赴くのは忍びない
だが、貴女を護る為には行かねばならぬ
この地を貴女の安住の地にする為に』

そう胸の内で語り掛けていた・・


気配を消しチェ尚宮がその様子を
静かに見守っていた

「ウンス…」そう一言呟きチェ尚宮は
その場を後にする




辺りが暗闇に包まれし頃
ウンスの私室を静かに叩く音がする

「私だ…王妃様が御見えである」

「え!」

ウンスはチェ尚宮の声に驚き
急ぎ扉を開ける

「足元が暗いのに、出歩いて転びでも
されたら、どうなさるおつもりですか」

「医仙、そなたと同じで一度口に出した
事は、誰が何を言おうが聞かぬ」

チェ尚宮はウンスの耳元で小声で呟く

「まぁ…兎に角どうぞ掛けて下さいませ
温かいお茶を淹れますから」

「よい、武閣氏に淹れさせる
そなたには王妃様からお話があるそうだ
厨房を借りるぞ」

「あ、はい…」


「義姉様…此度の戦、大事な婚儀前と
言うに、誠にすまなんだ
王様も苦渋の決断と仰せであった…」

「王妃様、お止め下さい…あの人は
大護軍ですから、王様や王妃様を始め
この地を民を守る為、戦に赴くのは
至極当然の事なんだと思っています
ですから、どうぞお気になさらず
御体に障りますから」

椅子に腰掛け王妃様は、申し訳なさそう
に俯く

淹れたての梨茶が卓の上にそっと
置かれた

「王妃様から頂いた梨茶です
ほんのり甘くてとても美味しいですよね
どうぞ王妃様温まりますから」

「義姉様…大護軍がおらぬ間
王宮で泊まっては如何か?寂しさも
幾分薄れましょう」

「ありがとうございます…でも当主が
留守の屋敷を守るのは、私の役目と
思いますから、私はお役目を終えれば
毎夜屋敷に戻りたいと思います」

「それでよいのか」

「はい、叔母様…あの人はこの地を守る
んです、せめて屋敷くらい私が
守らないと、あの人の負担が増えますし
屋敷くらいは、私に守らせて下さい」

ウンスは、王妃様の脇に付き添う叔母を
凝視しはっきりと言葉に表した
それは自身に渇を入れる為でもあった


>>>>>>>>
長くなりますので一旦切ります
今日19時にもう一話アップします
宜しければまたお寄り下さいませ
(別館ではないですよ)

でんべ


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