木春菊  [偕老同穴] 113 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ほわいとでーの翌朝、屋敷の居間にて
ウンスはヨンが密かに誂えた衣を
纏って行くと言い張り
ヨンは「それはならぬ」の一点張りで
互いに妥協はしない模様であった


「どうしてよ!こんなきれいな衣、皆に
見て欲しいじゃない」

「それはならぬ!」

「それはならぬ!ばかりじゃ訳が分から
ないわ、なぜ駄目なのか説明してよ
エギョン、この衣変かしら?」

急に話を振られ戸惑うエギョンだったが

「・・あの~奥方様、旦那様はその様に
美しい衣を纏った姿を、他の男に
見せたくないのではないかと…
すみません、出すぎた事を申しました」

「え!まさか…」

「・・・・・」

エギョンが恐縮し頭を下げる中
ウンスはヨンを振り返ると
図星を指摘されたヨンの顔が、一瞬で
朱色に染まる

「ねぇヨン、ほんと?」

「・・・」

「ねぇってば…」

「・・ああ、エギョンの言う通りだ
その様な姿、他の男になど
見せてはやらぬ、それにその衣では
まだ寒かろう…故に…ウンスの身を
案じてだなあ~その…ならぬと言って
おる」

ヨンは椅子に腰掛け、そっぽを向き
ぽつりと呟く

「あら・・鬼神と称される我が旦那様は
照れたのかしら…まったく素直なじゃ
ないんだから、いや、嘘が下手とでも
言うべきかしら!」

「奥方様…早よう衣も着替えた方が
出仕の刻限でございます」

「たいへん遅刻しちゃうわ…
旦那様、待っていてね、すぐに着替えて
くるから」

ウンスは悪戯な笑みを残しばたばたと
音を立て駆け出して行く

「はあ~あれでは叔母上に躾られた
意味がないではないか…」

ヨンは苦笑いを浮かべ見送る

「あれが奥方様の姿でございましょう
とても明るく、我々使用人でさえ
気軽に接して下さいます…
チェ尚宮様にお声を掛けて頂く前
他の屋敷の噂を耳したことが
有りますが・・それはひどい有り様の
ようとお聞きしております
失礼致しました、お耳汚しを
お忘れくださいませ旦那様」

「気にするでない…あの方がおらねば
いや、あの方でなければ、俺は
この屋敷にも寄り付かなかったであろう
そしてチョンスやエギョンお前達にも
出会う事はなかったやも知れぬ
他の屋敷事情は知らぬが、チェ家は
あの方のお陰で、これからも笑いが
堪えぬ屋敷になろう、これからも
支えてやって欲しい…」



「お待たせ…あら深刻な話なの?
お邪魔だったかしら」

ウンスが戻り居間の雰囲気に違和感を
感じたが、すぐにエギョンが言葉を
掛けた

「そんな事はございません…お邪魔など
と、奥方様は屋敷の女主でございます
どんな折りも、どんと構えていらして
下さいませ」

「そ、そうかしら…なんだか
誤魔化されている気がしないでも
ないけど・・・」

と、ウンスは二人に疑いの眼差しを
向ける

「もうよい!参るぞ」

話を遮る様に、ヨンは椅子から
立ち上がりウンスの手を取り歩を進める

「今日は春の匂いがする故、チュホンで
参らぬか?」

「旦那様の仰せのままに・・ふふふ」


チョンスが、厩舎から急ぎチュホンを
連れて来ると、ヨン先にひらりと跨がり
ウンスを引き上げる
そしてチュホンとエギョンが頭を下げ
見送る中、二人は王宮へと向かう


「あんた…旦那様に奥方様をこれからも
支えてやって欲しいと、あたし
頼まれたよ!あんたも頼むよ、あたしに
力を貸してちょうだい」

「あ…俺も聞いていたさ、あの旦那様が
使用人に頼むなんて…俺らも
張り切らないとな、披露宴とやらの
支度も…忙しくなるぞ~」


チョンスとエギョンは顔を見合せ
お互い頷くと屋敷の中へと消えて行った






「大護軍、大事な婚儀と言うに
誠にすまぬ」

「王様、お止め下され…某は王様の剣
にて、某が出陣するのは至極当然の事故
必ず撃破し、婚儀までには戻ります」

宣仁殿にてチェ・ヨンを始めとする
迂達赤と、アンジェ護軍率いる禁軍が
膝まずく中、ヨンは王様のお顔を
曇りのない眼でまっすぐ見つめ言葉を
返している

「相分かった!大護軍そなたとアンジェ
護軍、明朝出陣を命じる!」

「はっ!」

一同が一斉に短く返事を返し頭を垂れる

「大護軍、医仙殿に知らせねばならぬ
余から伝えた方がよいか?」

「滅相もございませぬ、某が伝えます
医仙も武人の奥となるお方故、理解して
くれる筈…」

「ならばよいが…誠にすまぬ」


ここに 倭寇討伐の命が下る

宣仁殿を後にするヨンは、その脚で
典医寺へと向う
ヨンはウンスの胸の内を思うと
春の昼下がりの日差しの中に
春愁(しゅんしゅう)を覚えていた


>>>>>>>

皆様こんにちは
いつもお寄り下さり誠に
ありがとうございます


史実による倭寇討伐より少し早いですが
木春菊を書くにあたり、冒頭に
認めたように、史実には基づいて
おりませんので、皆様の寛大なる心で
お読み下されば幸いです


でんべ


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