木春菊  [偕老同穴] 107 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「ウンス、すまなかった…俺の吐いた
一言で、貴女があのように飛び出すなど
考えもしておらなんだ…悲しい思いを
させてしまった…まことにすまぬ」

チュホンに揺られゆるりと王宮に戻る
道すがらヨンは重い口を開いた

「私の方こそごめんなさい…
皆に迷惑掛けたし、貴方には心配させて
しまったわ・・・こうやってお役目を
放り出して駆けつけてくれた…
貴方の体面に傷を付けてしまったわ」

「俺の体面など、どうでもよい
貴女が無事ならそれでよい・・・」


「大護軍~先に王宮に戻ります
御ゆるりと・・・」

テマンが追い付きニカッと笑みを浮かべ
通り過ぎて行く

「チュホンより速い人間って
この世の中、テマン君しか居ないわよ」

「そうではない、俺でもチュホンには
勝てぬ、この馬は賢い馬ゆえ
わざとゆっくり闊歩しておる、仲直り
せよと言っておるようです…」

「まあ…ほんと?チュホン心配掛けて
ごめんね…もうこんな事しないから
許して…」

ウンスはそう呟くとチュホンの鬣
(たてがみ)を優しく撫でていた

チュホンもまた顔を上下に振りそれに
応える仕草を見せる

「あ、チュホンが許してくれたみたい
ありがとう、チュホン大好きよ!
これからもこの人の事お願いね・・」



王宮の大門が見えてくると
チュンソクを始めとする、迂達赤が
揃って待っている

「医仙様…ご無事でようございました」

チュンソクが馬上のウンスに声を掛ける
辺りは既に日が傾き掛けていた…

ヨンが先にチュホンから降り
横に立つと、両手を広げ
飛び降りろと瞳で語る

「うん!お願い…」

ウンスも両手を左右に広げ、ヨンが
脇を抱えやすい態勢を取る

ヨンを当たり前の様に信じ、ウンスは
「えい!」と、ヨンの胸に飛び込む

ストンと降ろされた…

「皆さん、大変ご迷惑お掛けして
すみませんでした…でもこれは迷子に
なっただけで、家出なんかじゃないで
すから」

ウンスはそう言うと、深々と頭を
垂れた

なんと返せばよいか、考え付かず
チュンソクは口ごもる

「ウンス…!皆に心配掛けおって
こやつの顔に泥を塗るつもりか!」

迂達赤の背後からチェ尚宮が珍しく
声を尖らせる

その声に驚き、迂達赤がさっと左右に
別れ、その中央を後ろ手に腕を組み
胸を張ったチェ尚宮が姿を現す

「叔母上…そう怒鳴らず・・」

ヨンは、咄嗟にウンスの前に出ると
その背にウンスを庇う

「いいの、ヨン…叱られて当然だから…
叔母様…本当にご迷惑お掛け致し
すみませんでした!」

ウンスは深々と頭を下げる

「反省しておるのか…」

「・・はい!」

「付いて参れ…」

余り多くは語らないが、その漂う威厳
には、誰も口出しは出来なかった…

だが、後ろ手に持っていた
外套をそっとウンスに掛けてやる
チェ尚宮の心遣いに、皆の頬が緩む



「お前達の婚儀が早まった
翌月の一日(いっぴ)と相成った」

「え?本当ですか…けど、どうして
半年も早まったんですか?」

「そう、急かさず聞きなさい…
ウンスが医仙と認識のない者が、王宮
の中にも多くいると言う事、それでは
まずかろうと王様のお言葉だ
婚儀自体はチェ家ゆかりの寺より
王宮に僧侶を招き、王宮で執り行う
これは王妃様の願いじゃ
どうしても祝って差し上げたいと
王様に駄々を捏ねられておった…」

「まあ…王妃様まで・・・」

ウンスがポツリと呟く

「して、医員としての事だが
ヨン、お前の心根も分からんではない
が、しかし道端に倒れていた男がおる
としよう、そこにはお前らしかおらぬ
知らぬ顔で、通り過ぎる事が出来るか?」

「出来ません…」

「そうであろう、それがウンスなのだ
仮に先日、侍医の病の様な折り王様が
床に伏せられたならどうする?
我が奥は女人しか見せぬと、ヨンお前は
拒むつもりか」

「・・・それは言えぬ・・」

「であろう、どうだヨン・・
ウンスを誇りに思えなぬか、我が奥は
王様も民も分け隔てなく診る、優秀な
医員であると、お互い尊重し合う
さすれば悋気も押さえられぬか」

「尊重し合う・・・」

「ああ、そうだ…だが基本女人しか
診ぬ、ウンスもそれで良いか?」

ヨンがポツリ呟くと
ウンスは隣に並ぶヨンを、不安気に
見上げ、次の言葉を待っている

「・・叔母上すまぬ、この方を誰にも
渡すまいと、俺は躍起になっておった
のやも知れぬな・・基本女人しか
診ぬ、それでよい」

「ヨン…無理してない・・」

「ああ、してはおらぬ…だが基本が
未来永劫続く事を望んでおる」

「もう~なによそれ・・」

ヨンの悪戯な瞳がウンスを捉え
その場が和んだのは言う間でもない

「それから明日から屋敷で
少し煩くなるが…私の離れが建つ故」

「ん?叔母上、母屋に部屋は余っておる
離れなど、作らずともよいではないか」

「ふん、お前達の邪魔はせぬわ!」

そう言って叔母は、坤成殿近くの
部屋から戻って行った

その後ろ姿を不思議そうに眺める
二人…そしてヨンは、ウンスを典医寺
まで送って行くのであった


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