木春菊  [偕老同穴] 106 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています


「ヨン~~ここよ!」

ウンスは声を張り上げ、大きく
手を振り、自身の居場所を知らせていた

だが、チュホンの到着が待ちきれなく
ウンスは駆け出す


「わぁ~~滑る~・・」

もう三月になるが王宮から西は
民家も疎らで、残雪があちらこちらと
塊になり残っている


「イムジャっ!危ない!」


ヨンは駆けるチュホンから
飛び降り、地面に傾き掛けたウンスの
身体に腕を伸ばし、己の胸の中へと
収めた

「危ないではないか…ん?」

「ああ…ありがとう急に駆けたら
雪解け水に脚を取られる所だったわ」

「イムジャ…」「ヨン…」

「ごめんなさい…我が儘言って・・
私のお守りは大変でしょう?」

「百も情緒で、四年もの月日を
お待ちしておったのです、これしきの事
されど、勝手に王宮を抜け出すのは
これで最後にしてくれぬか…
どれ程心配したと・・・」

「違うの…迷子になって
気が付けば裏門だっただけで…
ちゃんと典医寺に帰ろうとしたんだけど
逆を走っていたみたいで、ごめんなさい
貴方の体面も考えず、本当にごめんなさ
い」

ヨンの鋼のように硬い胸に囲われ
ウンスはヨンを見上げそう言葉を繋ぐ

「ウンス…先ずは戻ろう、皆が案じて
おる、外套も羽織わず寒くはないか」

「うん…ちょっと寒いかな、それに
お腹も空いたかな・・・」


「あ、あのこれを・・・」

二人にあてられ、テマンは顔だけを背け
饅頭を懐から取り出し、二人の前に
差し出す

「ちょっと冷めてしまったけど…
腹が減って、倒れていないかと買って
ました」

「すまぬな…テマン」

「いえ…ちょっと気になっただけですか
ら、それに医仙様は腹が空くと
すぐに機嫌が悪くなる傾向があると
感じてましたから…」

「ちょっと、それってテマン君
失礼じゃない、私そんなに食い意地
張ってないから・・それに姉さんって
呼んでくれてたじゃない?
姉さんに対して言う言葉なの・・」

ウンスはぷぅ~と頬を膨らまし
テマンを睨む真似をする

「ふっ・・ウンスさっ戻りますよ
饅頭はチュホンの上で・・・」

「うん…そうするテマン君ありがとう
はい、三等分しましょう…これはテマン
君、ヨンの分はチュホンの上でね」

「俺は良いですから、医仙様が食って
下さい」

「あら駄目よ、かなり走って来て
くれたんでしょう?体力消耗してる
筈だから、ちゃんと食べて…」

ウンスはテマンに微笑み、饅頭を
突き返した

ふわりとチュホンに跨がると
ヨンはウンスの手を取り引き上げる

「テマン、ゆるりと参れ」

「いえ、でも饅頭食べてから追い付き
ますから…」

「ふふふ…そうしてね」




「見つかったと?無事なのだな」

「そうさ、シホからの言伝てだから
間違いないさ」

「迷子とは…此度ばかりは、二人に
お灸を据えねばならぬ、こうして
無事に見つかったゆえ良かったものの
万が一あらば、大変な事になっておった
故」

「で、何で飛び出したのさ」

「それがゴニョゴニョだったと
トクマンを締め上げ、白状させた」

チェ尚宮はマンボ兄妹の隠れ家で
卓に掛けながら話を聞いていた

「ヨンの悋気も分かるけどさ
ウンスは医員なんだよ、医員がだよ
ウンスしか 典医寺いない時に
男の重症患者が飛び込んで来たら
私は女人しか診ないから帰ってくれ
なんて言えるかい?」

「・・・真、マンボの言う通り
ウンスの気質なら、そのような事はせぬ
筈、あやつの悋気であろう、されど
難しい問題であるな、ウンスを思うが
余りの悋気故…ところで話が変わるが
婚儀を早めて貰おうと思うておる
医仙の名は知っていても、顔を知らぬ
者が多い事が改めて分かった故
マンボ、力を貸しては貰えぬか?」

「ああ、構わないさ、婚儀の段取りなら
任せておきな!民総出で祝ってやるさ
同じ屋敷に住んでいても
正式な夫婦(めおと)でないから
ヨンも、不安で仕方がないのかも
知れないね…そうしておやりよ
ちっとは変わるかも知れないよ」

「王様や王妃様も痛く案じておる故
無事に見つかった事、知らせに
王宮に戻るとする…王妃様にお伺いを
たてて見る故、春先が良かろう」

「そうさな、春先が良いかも知れないね
衣は準備はどうなんだい?」

「あと一月有れば仕上がる筈だ
王妃様の計らいで、お針子総出で進めて
おる故・・私がしてやりたかったが
王妃様を無下にもできまいて…」

「あんた、東屋も取り掛かるんだろう
忙しそうだから、婚儀の段取りは
ほんと任せなよ」

マンボ妹は自身の胸をポンと叩き
ニカッと白い歯を見せチェ尚宮をみやる


ポチっとして下されば嬉しいです




にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村