木春菊  [偕老同穴] 92 | シンイ二次小説でんべのブログ

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重なる唇・・・角度をかえ幾度も

重臣らはあんぐり口を開き雛鳥のように
口をパクパクさせていた

王様は一瞬眼を見開いたがすぐに片頬を
上げる


「うぅ・・」

ウンスは息苦しくなりヨンの胸を小さく
叩き合図を送る
そして漸く解放された

「はぁ~死ぬかと思った・・」

ウンスは顔を朱色に染めヨンを見上げる
ヨンは何事かウンスの耳元で呟き
ウンスは頷く
そんなウンスをヨンは横抱きにし
重臣らに、こう告げる

「我が許嫁である医仙の具合が
思わしくござらぬ!万が一このまま意識
が戻らねば、そなたらの首貰い受ける
覚悟致せ!」

「た、たった今元気であったではないか
何を戯けた事を申しておる!」

重臣の一人リ・ヤンが眼を見開きヨンに
捲し立てるとあちら此方からと
そうだ!そうだ!と声が聞こえる
されどヨンは冷静に言葉を繋ぐ

「女人とは胸に溜め込み過ぎると
このように突然倒れることもあると聞
く」

『ん?ヨン誰からそんな事聞いたの?』

ウンスは瞳を閉じたまま、じっと我慢を
している『ウンス、このまま倒れた
ふりをしてくれぬか、子細は後で話す故』
そう呟かれていたからだ

「王妃様は、医仙を義姉と呼ばれて
おるのを貴方がたはご存知か!
その大切な義妹君である王妃様が
心を痛めているのを、我が事に感じ
医仙は心を閉じてしまわれたのやも
知れぬ!」

『え~大袈裟過ぎない?確かに
王妃様は大事よ、でも・・ヨンが
犯人じゃないのよ・・・!』

「王様、非礼をお詫び致します」

ヨンはウンスを抱えたまま頭を垂れる

「構わぬ、医仙殿を早よう典医寺へ
運んで差し上げなさい、手厚い看護が
必要なら大護軍、そなたがそばに居て
差し上げるとよい」

王様は微かに口の端をおあげになり
ヨンもまたそれに答えるべく
口の端を上げる

『ん?王様、ヨンに付き添いさせたら
私、本当に・・動けなくなるじゃ
ない・・・』

「はっ!ありがたきお言葉痛みいります
では、医仙を典医寺へ連れ参ります故
下がらせて頂きます」

王様に一礼すると宣仁殿を後にする


「さて、リ・ヤンその方如何致す?
大護軍は本気ぞ、あやつは戯れなど
決して言わぬ男、医仙殿の無事を
念じておることだな」

「されど王様、あのような非礼を
お許しになられると、王様の御前にて
女人と口づけを交わすなど言語道断
ではありませぬか?」

「余が許しておる!ヤン、そなたが
とやかく言うのはおかしかろう
さて話を元に戻す、何ゆえ
王妃の懐妊を知っておる?」

王様はぴしゃりと話を知り退け
重臣らを詰問し始める




「ウンス!もう目を開けてもよいぞ」

ウンスの瞳がゆっくり開く
見上げると、目元を緩めたヨンの瞳が
飛び込んでくる

「もう~ヨンの意地悪・・恥ずかしくて
王様のお顔まともに見れなく
なるじゃない、下ろしてよ!」

ウンスは顔を赤く染めながら
足をバタバタと動かす

「騒ぐと、本当に落ちるやも知れぬ
まだ典医寺ではない、ちと大人しく
出来ぬか、ん?」

「だってあんなこと王様の前で
急にするんだもの驚くじゃない!」

ウンスは頬をぷっと膨らませ
口を尖らせながら、ヨンを下から
睨み付ける

「仕方なかろう、あの場はあ~でも
せぬ限り抜け出せぬ、後は王様が
算段を付けておられる筈」

「ヨンに咎めはないの?」

「何ゆえ俺が咎めを受ける、ん?」

「だって、大護軍が王様の面前で
例え許嫁だとしても口づけを
交わしたのよ、あの狸おやじ達が
黙ってる訳ないじゃない
あ~言えば、こ~返す・・人たちよ
まったく!」

「ふっ、重臣らは己の欲でしか
物を考えぬ故、王様は民が潤う事を
望んでおられるお方、考えが交わる事は
ないであろうな」

あれやこれやと会話をしながら
ヨンはウンスを抱えたまま
颯爽と王宮を闊歩する

すれ違う女官たちは頬を染め俯く

ただこの男は違っていた

「イムジャ目を瞑って・・・」




「なんだ、アンジェ」

「ほう、流石だ!声を掛ける前から
俺と分かるとは・・チェ・ヨンお前
王様の御前にて医仙殿と口づけを
交わしたそうだな」

「如何にも」

そう言ってヨンは振り向く

「クックッ、開き直りか?
一時は重臣らがお前に咎をと騒いで
いたらしいが、今は王様が反対に詰問
しているらしい、案ずるな」

「何ゆえ王様が詰問を?」

「王妃様の御懐妊を、重臣らが知って
おるのが解(げ)せぬと仰せのようだ」

「坤成殿に間者でも忍ばせておるのか」

「刺客紛いの間者ではなく、手の者を
忍び込ませ、話が全て漏れているのやも
知れぬな」

「ん?何故、お前は知っておる!
御懐妊の話は、極僅かしか知らぬ筈
アンジェどう言う事だ!」

「見くびるな、俺はこれでも禁軍の護軍
ぞ、武閣氏の背後から坤成殿をお守り
しておる、此度王命にて二重三重に
お守りしておる、それくらい俺にも
分かるわ」

「・・・・」

ウンスは瞳がゆっくり開く

「ヨン、行ってあげて、元々私は大丈夫
なんだし、王様がお困りの筈よ
貴方を待っているわ、おろして」

「されど、イムジャが・・・」

「医仙殿、お久しぶりです」

アンジェが、ひやかすように片頬を上げ
ウンスに向かい頭を下げる
ヨンはゆっくりウンスをおろす

「アンジェさん、ご無沙汰して
おります、同じ王宮に居てもなかなか
お目に掛かる機会がないもので
こちらこそすみません」

と、ウンスは満面の笑みを浮かべ
アンジェに頭を下げる

「ウンス!アンジェに微笑みなどいら
ぬ」

「だけど・・良いじゃない貴方の
幼馴染みなんだし・・・ね、ヨン
早く行ってあげて、王様はきっと待って
いらっしゃるわ、私はヘジンとカンに
送って貰うから」

ウンスはそう呟きヨンの背を押す

「私室で大人しく待ってるから」

「ああ、ウンスには敵わぬな・・」

そう言うとヨンは後頭部を掻きながら
踵を返し、「行ってらっしゃい」と
手を振るウンスに片手を上げ答えていた


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