木春菊  [偕老同穴] 75 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「大護軍、医仙様涙を溜めて
おられました、よろしいのですか」

「仕方あるまい・・・」

ヨンは敢えて振り向かずチュホンを
走らせるていた


屋敷へと脚を踏み入れたウンスは
閨へと籠り声を殺し泣いていた
だが、僅かに漏れる泣き声を
チョンスとエギョンは聞いている

「エギョン、今宵は何か奥方様の
お気に入りを作って差し上げては
どうだ」

「そうだね、なにがお好みなんだろうか
そうだ!マンボ姐さんの「「クッパ」」

チョンスとエギョンの声が重なる


今朝は一人輿に揺られ出社する

「輿まで手配して、一人で歩いて
行けるわよ・・・はぁ・・・」

あれから何度ため息をついたのか
ウンスも数えきれない・・

御者はチョンスが努めている
輿の脇には、迂達赤と武閣氏が護衛に
付いていた


『奥方様・・・おいら必ずお守り致し
ます、昨夜旦那様が密かに
お越しになられ、おいらなんかに
頭をお下げになられた・・・』



≫≫≫≫

「チョンス、起きておるか」

「はい、旦那!」

「開けるぞ」

慌てて布団を上げ隙間を作る

「すまぬが、ウンスの事よろしく頼む
俺がおらねば、頼る人もなく
我慢を通すことも考えられる
その意を出来るなら読んであげてくれ
過保護と笑われるやも知れぬが
俺でなければ、ウンスは・・・
この通り頭を下げる」

そう呟くとヨン頭を下げる

「旦那様使用人に頭を下げるなど
お止め下さいまし、私達が全力でお守り
致します」

慌てふためきエギョンとチョンスは
ヨンの身体を起こす

「頼む!」そう言いヨンは
使用人部屋を出て行った・・・


≫≫≫≫≫≫


「夕刻迎えに上がります」

「宜しくお願いね」

輿から降りると、王宮の大門では
チェ尚宮が待っていてくれた

「叔母様!どうしたんです?」

「いや~あやつがおらぬであろう・・
寂しい想いをしているのではないかと
な・・・ゴッホン!」

「叔母様、ありがとうございます
顔が赤いですよ・・・ふふふ」

「年寄りをからかうではないわ!」

ウンスの適格な指摘に叔母は
すぐに怒鳴り返す、だが怒りではなく
照れ隠しの為であった

「あの人もう行きましたか?」

「ああ、王様に拝謁し迂達赤を連れ
出立した、視察故案ずる事はない」

「ええ、分かっています」

「参ろう、侍医には伝えてある故
あやつがおらぬ間に刺繍を
仕上げねばなるまい」

二人は 坤成殿へ向け歩を進める

「王妃様、おはようございます
診脈させて貰いますね」

「義姉様・・・初めてでございましょう
大護軍がおらぬのは?」

「ええ・・・でも大丈夫ですよ
武人に嫁ぐんですから、平気です」

「瞳が腫れて見えるのは
泣かれたためかのぉ?」

「い、いえ目にごみが入り擦って
いましたから、そのためです・・ふふふ
変わりないです、王妃様」

「空元気せずとも良い、素直に寂しい
と、言えばよいものをまったく・・・」

「寂しいと口にしたとしても
何も現実は変わりませんから・・
受け入れます、慣れなきゃ駄目なんです
こうして王妃様や叔母様が居てくれます
それだけで私は幸せ者です・・」

ウンスは微笑みながら、二人を見据えた

「王妃様、それでは暫し私室の方へ
籠ります故、いつでもお声をお掛け
下さいませ」

「妾も義姉様の刺繍を見たいのぉ」

「なりませぬ!王妃様と共に等
ウンスが甘えます故・・」

二人は一礼し、叔母の私室へと向かう


「違う!小菊が歪んでおる!
まったくそなたは・・・手巾が針の穴
だらけになるではないか、どれ
貸してみよ」

「駄目です、どれだけ穴だらけに
なろうと、小菊が歪もうと私がやりたい
んです」

ウンスは叔母を見据えはっきり口にする

「料理も裁縫も苦手なんです
でも天界では、一人でなんとかやって
きました、なんだかあの時が
嘘のようです、片意地を張り生きて
きたけど、今はあの人が居ないと・・」

「そうか・・あやつが良いのか」

「はい・・」

「ウンス、感謝しておる、あやつも
そなたでなければ駄目なようだ・・
王様に拝謁する前、ここに顔を出した
ウンスをくれぐれも頼むと、頭を下げ
ておった・・・」

「まあ、あの人が頭を下げたんですか」

「ああ、鬼神と言われる大護軍が
恥も外聞も捨ててな、あやつは
そなたの事となれば、使用人でも頭を
下げるのではないか?」

叔母の話を聞いていたウンスは
胸に込み上げる物を感じていたが
唇を噛みしめぐっと堪える・・

「今日行ったばかりでもう会いたい
こんなでは、あの人が心配しますね
もっと強くならないと」

「強くなどならずとも良い
ありのままで良いのではないか
そなたが強くなれば返ってあやつは
悲しむやも知れぬ、ウンスを守る事に
全力を向けておるでな、クックッ」

「叔母様、意地悪なんだから・・」

ウンスは笑顔になった

「そうじゃ笑っておれ、ウンスには
笑顔が似合う」

「はい、叔母様ありがとうございます」

漸くウンスは寂しさを振り切り
笑顔になった

一方屋敷では何やら不穏な空気が流れ
始めていた・・・


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