木春菊  [偕老同穴] 74 | シンイ二次小説でんべのブログ

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明日はいよいよヨンの出立の日
ウンスはトギを掴まえ
あれやこれやとヨンに持たせる
煎じ薬を聞いている

「頭が痛い時は?歯が痛い時は?
お腹を壊した時は?」

そんなウンスの形相にイム侍医が
見かねて声を掛ける

「医仙殿、大護軍は内功使いゆえ
その様な薬はいらぬ筈、運気調息を
すれば、自身で治せますぞ」

「え?そうなの」

ウンスはそう言うと、どすんと地べたに
座り込む

「まだ、何にも知らない事ばかり
もっとあの人の事、知らないと・・」

「徐々に知るのも、おつなもの
長い年月を掛け、一つ一つ紐解けば
楽しみが増えますぞ」

「あ、ありがとうトギ
そうね、ありがとうございます
イム侍医、力が抜けてしまって・・」

トギが手を貸し、ウンスを起こして
やり、ウンスは立ち上がる

「カンさんの具合はどうでしたか?
いつもイム侍医にばかり往診を
頼みすみません」

「とんでもないです、医仙殿が風邪でも
引き、寝込まれでもすれば私が
大護軍に叱られます故、それに私も
一応内功使いの端くれ、自分で
治せる故、ご心配には及びませぬ」

「そうだったわね、イム侍医も内功使い
なんだか羨ましいわ・・ふふふ」

「カン殿は、屋敷で庭を散歩されて
おりました、医術の後を
拝見いたしましたが、膿みを持った
後もなくきれいなものでした
カン殿も、痛くもなくなったと申して
おりましたゆえ、ただ腕をあげると
医術の後が、少し引きつると申して
ましたが」

「それは仕方がないかな、糸が私の里
とは違うのよ、絹糸で閉じたから
だと思うわ、我慢して貰わないと」



一方兵舎では・・・

「チュンソク、王様の事はしかと頼むぞ
事が起きる前に、頭の中に叩き込まなけ
れば、間に合わぬ!敵の数が多ければ
迷わず王様を、お守りしながら逃げろ
無駄に戦う必要はない!よいな!」

「はっ!」

椅子に座り、ヨンは王宮の逃げ道を
頭に浮かべながらチュンソクと
向き合い、策を練っていた

「十日程いや八日程で戻るつもりで
おる、テマンとトクマンを連れて行く」

「雪道故ご無理はなさらず・・・
医仙様の警護はお任せ下され
命に代えてもこのチュンソク・・」

「バシッ!」と卓を叩きヨンの眼が
吊り上がる

「馬鹿者!命を容易く掛けるでない
チュンソク忘れるな、命は一つしかない
もっと大切にせねばならぬと、なんども
申しておろうが!」

「申し訳ございませぬ・・忘れては
おりませぬが、某も医仙様に友菓子と
やらを頂きたく・・・」

「だっかもん!!そちがその様な
有り様で如何致す!迂達赤の手本に
ならねばならぬものをまったく!」

ヨンの怒りを、チュンソクは
背を丸め、項垂れ聞いていた

「仕方あるまい・・チュンソクお前には
特別だ、だが一度だけだ!あの方に
頼んでみる、いつも苦労を掛けておる故
な」

「ま、真でございますか?」

チュンソクの顔が幾分朱色に染まる

「されど、俺に一太刀でも打てる事が
出来たならな!参るぞ」

「そんな無体な・・・」

肩をがっくり落としヨンの後を追う
練兵所へと降り立つチュンソク始め
迂達赤の面々・・・

「皆で掛かって来い!」

「は、はい!」

木刀構え、じりじりと間合いを詰める 迂達赤
ヨンは一歩も軸を崩す事なく
十名の迂達赤を叩きのめす
その中にはチュンソクもいた・・・

腹を押さえ踞る者、腕や脚を押さえ
苦痛に顔を歪める者・・雪の上に
大の字に寝転ぶ 迂達赤

「チュンソク、死なぬ程度に鍛え直せ!
この有り様はなんだ!近衛隊であろう
俺の袖口を誰一人、かすりもせぬぞ」

「て、大護軍、申し訳有りませぬ
某が鍛え直します」

「トクマン!日が登ると同時に出立する
よいな!チュンソク後は頼んだ」



「ウンス」

典医寺に脚を向けたヨン

「侍医、すまぬがこの方に兵舎まで
来て欲しいのだが、構わぬか」

「構いませぬが、怪我人でも出ましたか
?私も参りますか」

「いや、構わぬ、この方だけでよい」



私室に向かい友菓子を一つウンスに
持たせると・・・

「チュンソクに渡してくれぬか?
あいつはまだ貰っておらぬ故」

「え?良いの?」

「ああ、仕方あるまい・・ウンスを信じ
ておる故、あいつには俺の我が儘を
許して貰っておる、この先も迷惑を
掛けることもあるやも知れぬ
だが、俺の前で渡してくれぬか?
来る年も必ず俺の前で・・」

「うん!分かったわ・・ふふふ」


兵舎へと二人は戻ってきた

「チュンソク!おらぬか」


「はっ!チュンソクここに・・」

木刀を背に隠し、額に僅かにこぶを
作りチュンソクが姿を現せた

ヨンは目でウンスに合図を送る

「チュンソクさん、これ・・皆には
差し上げたんだけど、友菓子なの」

「ん?おお~~ま、真によろしいので」

チュンソクは興奮を隠せない

「まったく・・チュンソク落ち着かぬか
お前がそれでは示しがつかぬ」

「あ、すみませぬ、つい・・・」

チュンソクはいまだ、そのような
相手に恵まれず、寂しい想いを
していた・・で、つい一人の男に
戻り嬉しさを隠せないでいたのだ




暫く後、屋敷に戻り明日の出立に
向けて早めに床に付く二人


「気を付けて・・・屋敷の事は任せて」

「ああ、案ずる事はない、ウンス?
行って参る」

翌朝、日の出と共にヨンの見送りを
するウンス・・・
決して泣くまいと顔には
笑顔を作っていたが、口は真一文字に
結び、顔を天に向けている

「ウンス?・・・」

「ん?大丈夫よ、怪我なんてしたら
許さないんだから・・・」

「分かっておる・・行って参る」

行ってらっしゃいとウンスは
精一杯手を振りヨンとチュホン
テマンの姿が見えなくなるまで見送る

「行っちゃった・・・」

「奥方様・・・」

「エギョン、ありがとう大丈夫よ
まだ早いわね・・・」

ウンスは屋敷の中へ脚を踏み入れる
その後ろ姿は肩が小刻みに揺れて
いるように、エギョンには見えていた


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