木春菊  [偕老同穴] 76 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ウンスを迎えに夕刻チョンスが
屋敷を出た後、エギョンがマンボに
手配した夕餉のクッパを温め直していた

「すみませぬ、何方かおらぬか」

門扉で声が聞える

「はい、何方様ですか?」

火鉢から鍋を下ろし、エギョンは
門扉へと出向く

「大護軍殿はおらぬのは、存じておるが
医仙殿はまだ戻らぬか」

「もう戻られる刻限でございますが
どちら様ですか?」

「キム家、主のキム・サンジュ
これは娘のテン、此度王様に婚儀の
許しを願ったのだが、術もなく却下
されてしまったのだが、娘が諦め
切れず、許嫁である医仙殿に許しを
貰いに参ったしだい、王様とて
医仙殿が認めたならと・・・」

「はあ・・主がおりませんので
お引き取りを・・」

「娘が寒がり故なかで待たせては
貰えぬか?」

「それは致しかねます、旦那様が留守の
間、顔見知り以外屋敷に通してはならぬ
と、きつく言われておりますので」

エギョンは例え誰であろうと
通すものかと、丁寧に断る

「決して怪しい者ではない
王様に使える重臣の末端に控えし身分」

「そのような事、私には分かりません
ので、兎に角お引き取りを・・」

どちらも頑として譲らない
そのやり取りを、どこかの使用人らしき
人が通りすがりに見ていた


「お疲れ様でございました
お寒うございましょう、温かいクッパを
ご用意致しております」

チョンスはいつになく滑舌の様子
笑顔を作りウンスを出迎えた

「わざわざありがとう、寒いのに
ごめんなさいね・・」

ウンスはそう言うと外套を然りと着込む
迂達赤と武閣氏が輿の脇を固め
屋敷へと急ぐ

「もう着いたかしら、今日行ったから
まだよね・・どこで寝るのかな?
まさか冬にキャンプなんてしないわよね
宿に泊まる?いやいや
あの人は泊まらないな・・・」

『寂しいなんて言えない
この歳だから、でも・・会いたい』

ウンスはそう胸の内で呟き
首から下げていた指環を外し
手のひらに置き、ぎゅっと握り締める

握り締めた拳の上に
生温かい雫がぽたりと落ちる

「あれ・・・?泣いている・・」

ウンスは唇を噛みしめ泣くまいと
ぐっと堪えてはみたものの
後から後から頬を伝う涙・・・
両手で口を押さえたが
嗚咽を武閣氏ヘジンとカンには
聞き逃さなかった・・

「お寂しいのですね・・我が儘も
おっしゃる事なく、気丈に振る舞われて
健気でなりませぬ」

ヘジンが小声で話すとカンが頷き呟く

「天界のお方ゆえ、親御も友もおらぬ
筈です・・なんとか私らが力になれぬ
であろうか?」

「大護軍の奥方になられるお方・・
我々武閣氏の身分では、如何すれば
よいかもわかりませぬ・・・」

ヘジンとカンは肩を落としため息を溢す


市井の中はだいぶましではあるが
でこぼこ道を進み後少しで屋敷に
帰りつく

「ん?何の騒ぎだ!屋敷の前が騒々しい
見て参ります、輿は動かさずお待ちくだ
され」

迂達赤の一人がチョンスに声を掛け
駆け出す


「どうしたの?」

「はい、奥方様何やら門扉のところで
人が騒いでおるやも知れませぬ
ひとまず、迂達赤の方が戻るまで
こちらでお待ち下さい」


迂達赤が時期に戻りウンスに報告する

「医仙様、客人のようです」

「え?あの人が留守の時に、どなた
なの?」

「それが・・・」

輿の布を開きウンスは尋ねるが
迂達赤が言い淀む

「重臣のキム・サンジュ殿と娘御で
ございました」

「え?あの人も居ないのに?」

「・・・此度大護軍に縁組みを
願い出られ、王様に却下された故
医仙様に、直に願いに参ったと仰せに
ございました」

迂達赤は眉を潜め言葉にする

「はぁ・・・チョンス行きましょう
輿を出してちょうだい」


輿が屋敷の前へと着く

「奥方様、お帰りなさいませ」

エギョンが出迎え頭を垂れる

「ただいま、エギョンどなた様なの?」

「・・・それが・・」

「なんと!私よりずっと年増なのね
王様の腹心とまで言われる、大護軍様
が選んだ許嫁と聞いていた由
凄い方だろうと覚悟して参ったが
ふ~ん、父上テンの方がずっと若いです
から、お子もたくさん出来ましょう
諦めたくございません!なんとか
縁組みを進めて下さいませ」

「これ、テン失礼であろう
医仙殿、キム・サンジュと申す
重臣の末端ではあるが、怪しい者では
ござらぬ故、屋敷の中へあないして
貰えぬか?」

「・・エギョン、ありがとう
旦那様の言い付けを守ってくれたのね」

頷くエギョン
ウンスはキム・サンジュに向き直り
言葉を口にする

「申し訳有りませんが、旦那様が留守
でして、今日のところはお引き取りを
願いませんでしょうか・・」

ウンスは丁寧に頭を下げる

「医仙殿、娘を認めて下さらぬか?
医仙殿が、娘を第二婦人にでも認めて
下されば王様も無下には出来ない筈
何とぞ、宜しなにお取り計らい下され」

「父上!第二婦人など、テンは嫌で
ございます、父上」

「ごめんなさい、認める事はしかねます
旦那様もそれを望まぬと信じて
おりますから・・・」

ウンスは一瞬唇を噛み締めたが
それでもキム親子を見据えヨンを
信じ、言葉に表していた

「そんな事何故言い切れるのです?
大護軍様も、私を御覧になれば
お考えが変わるやも知れませぬ」

「それはないと思います、私は旦那様を
信じておりますから」


そんな押し問答が四半刻続いている
と・・・


「邪魔をするぞ!」


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