木春菊  [偕老同穴] 2 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「無様な姿に成られて、お痛わしき事よ
叔父上」

と王様は顔を歪めながら片頬を上げる

「王様、王族の某をこの様な姿にした
この男を死罪に処してくだされ」

「王族とて今は罪人
余は決してそなたを許さぬ
王妃の腹の子の命を奪い、あのように
辛い目にあわせた罪消えるものでは
あるまい、いずれ沙汰を言い渡すゆえ
震えながら待っておればよい」


『何ゆえこのように強く成られたのだ』

牢屋より私室に戻る道すがら
ヨンはそう思っていた

「大護軍ばかりあてにも出来ぬであろう
それに戻っても来ぬゆえな」

王様は嫌みにも取れる言葉をヨンに
投げ掛け口の端をあげ笑って見せた

「護軍と領主も捕らえておりますれば」

「チェ尚宮から聞いておる
護軍は叔父上とは繋がって居たのだな?
領主とパク・ミンウの繋がりは
スリバンに調べさせる若い女人の行方も
気になるゆえ、もう戻ってよいぞ
明日は出仕せずともよい
ゆっくり致せ、それと
医仙が再び典医寺と思うておるなら
待っておると伝えてくれぬか」

ヨンは一礼すると 宣仁殿を後にする


一方坤成殿では

「医仙殿よくご無事で戻られました
必ず戻ると、大護軍の元に戻られると
信じておりました」

「王妃様・・・有り難きお言葉
痛み入ります」

そう呟きながらチェ尚宮の顔をちらりと
覗くと頷いている様に胸を撫で下ろす

「王妃様抱き締めても宜しいですか
戻って来たんだと、実感したいんです」

「これ、容易く口にするでない」

「よい、戻って来たばかり
その様に口煩い姑とやらになるでない」

王妃様はチェ尚宮の言葉をせいし
ウンスに向かい笑顔で頷いて見せた

ウンスは立ち上がり
王妃様の元へ、二、三歩進むと
ふわりと優しく抱き締めた
ウンスの頬には一筋の涙が流れる

「如何したのじゃ医仙殿?」

ウンスは手の平で涙橋を拭くと
「嬉しくて」と照れくさそうに
はにかんだ笑顔を見せていた


「叔母上迎えに参った」

「医仙殿、明後日
またお会いしましましょう」

王妃様は笑みを浮かべチェ尚宮に
目配せするとウンスは一礼し退室する

「屋敷にこのまま行くのか?」

「一度兵舎に寄る」

「そうか、ゆっくり致せ」

そう呟くとチェ尚宮はヨンの腕を
ぽんぽんと二度軽く叩き
今まで誰にも見せた事のない笑顔を
二人に向ける


「叔母上が笑っておられた
あのような笑顔、初めてやも知れぬ」

ヨンはそう呟くとぼ~と佇んでいた

「そうなの?ヨン、ヨンってば!」

ウンスはそう呟くとヨンの顔を覗き込む

「あ、すまぬ、兵舎に寄り戻ろう
これから二人住まう屋敷へ」

兵舎に戻り、帰還組みは休むように
王命を伝え、ふたりは愛馬に揺られ
屋敷へと向かう
辺りはすっかり暗闇に包まれ
しんと静まり返っていた


「お帰りなさいませ、旦那様、奥方様」

「ご苦労、主のチェ・ヨンだ
この方は許嫁のユ・ウンス
これから宜しく頼む」

「初めてお目にかかります、旦那様
奥方様、チェ尚宮様のお言い付けで
屋敷を預かっておりました
使用人のチョンスとエギョンでございます
これでチェ家も安泰でございます」

そう言って使用人夫婦は深々と
頭を下げた

「チェ尚宮様より使いの者が参りまして
軽い 夕餉を用意してございます
どうされますか?」

「ウンス、どうする?」

「お腹空きました・・・」

その言葉にヨンは笑みを溢すと
「夕餉頼む」とエギョンに伝えウンスの
手を取り、十数年ぶりに屋敷の中へと
脚を踏み入れた


ヨンは懐かしい香りがする気がした
幼き頃の思い出が走馬灯の様に甦る
『父上、母上、戻って参りました
長らく留守をしすみませぬ、ですが
一生共にするウンスとこれからは
迷いませぬ、父上の教えを守り
母上の慈しみの心を忘れずに
生きて参ります』
ヨンは胸の内でそう思っていた

ウンスを居間に通すと椅子に座らせた

「暗いゆえ、明日明るくなれば
屋敷を案内する」

「うん!そうして」

微笑みを交わす二人、すぐに 夕餉が
運ばれると長卓いっぱいの家庭料理が
並んだ

「さあ、腹を壊さぬ程度で食うて下され」

「ありがとう、そうする・・ふふふ」

ウンスは汁物を口に含むと・・・

「美味しい、懐かしい味だわ!ありがとう
エギョンさん」

「奥方様、わたくし共使用人には
ご遠慮なさらず、名をお呼び下さい
敬称不要でございます」

エギョンは深く頭を下げた

「そうなの?でも慣れないから
今は我慢して、徐々に慣れると思うから」

ウンスは箸を置きそう呟くと
エギョンに優しい眼差しを向けた

「聞いておると思うが、ウンスは高麗
の風習には疎い、慣れるまで頼む」

ヨンはそう呟くと脇に控える
チョンスとエギョンに軽く頭を下げる

「旦那様お止め下さい、そのような事は」
と、チョンスとエギョンは
顔を見合せ苦笑いを浮かべる


「湯浴の仕度も整っております
奥方様、ご案内致します」

「そうね、そうさせて貰うわ」

ウンスは顔を赤らめると
エギョンと共に居間を出て行く


丹念に身体を清め湯槽に浸かりながら
顔を赤らめ何度も頭を振る
『どうしよう・・・』



『今宵は・・』
ヨンはそう思うと落ち着きをなくし
椅子から立ち上がると
何をするでもなく居間を歩き回る


「旦那様、奥方様を閨へご案内致しました
どうぞ旦那様も湯浴へいらして下さいませ
片付けは明日にさせて貰い
これにて失礼致します」

頭を下げエギョンは居間を出て行った

ヨンは流行る気持ちを何とか抑え
湯浴を済ませ、ウンスの待つ閨の扉を
開けた

「ウンス・・?」

ヨンはそう呼び掛けると「はい」と
微かに返事が返って来た・・

既に寝台に潜り布団を頭から被っている
ヨンはウンスの様子を垣間見
口の端をあげると
布団の端をそっと持ち上げ
同じ布団に潜り込んだ

「ウンス・・」ヨンはそう呼びと
ウンスを組み敷く
互いの瞳の中に己を見つけ赤く
染まる二人・・・

「寒くはないか・・・?」

こくんと頷くウンス

「天界では恋し慕う気持ちをなんと申す?」

「愛してるって言うのよ」

ヨンは何度も声に出さず呟いていた




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皆様こんにちは

20時に別館へご案内いたします

上手く描けてるか不安いっぱいですが
宜しければお立ち寄り下さいませ
明日からはいつも通り一話です

でんべ


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