木春菊  [里程] 8 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「領主、訳を聞かてもらおう、何故
屋敷に怪しい抜け道が有るのだ」

「万が一の折り、我が身を守る為に
確保していただけでございます
戦で敵兵士に押し入られても
皆を逃がす事が出来ますればと
それだけでございます」

領主は頭を下げたまま、ヨンの顔も
チュンソクの顔も見ようとしない

「顔を上げよ、どうもげせぬ、怪しい
気配はないが、皆でくま無く探れ
よいな!」

はっと短い返事を返すと本堂から
散って行く

「テマン!屋敷からこの寺までを道を探れ」



「大護軍、こんな物を見つけました」

迂達赤の一人が女人用のチョゴリの
切れ端を見つけた

「ちょっと、これってちぎれている
それもこんなちぎれかたおかしいわ
わざと切り裂いたんだわ」

ウンスは切れ端が刃物による
きれいに裂けていない事に
違和感を覚えた

「ヨン!ちょっと来て」

「イムジャなにをなさる」

ウンスは本堂の片隅に
ヨンを連れて行き、自身の衣の裾を
引き裂いて見せた

「自分で引き裂いたり
何かに引っ掛けて
裂けたらならこうなるのよ」

ウンスが手にする切れ端は
繊維がほつれ、見つけた切れ端と
似たようなものだった

「次からは俺の衣を使ってくれ」

「ありがとう、でも大丈夫よ
外からは見えないでしょう」

「がしかし・・・」

「わざと引き裂いて隠していたんだわ
みんなに知らせたくて、ヨン、あの領主
とんだ狸親父よ」

「狸親父とな・・・意味が分からぬ」

「あ!ごめん、ずる賢いって事
う~ん、悪い方に頭が回るって
言えば伝わるかしら」

ウンスは身振り手振りヨンに説明する

「大護軍、トクマンらがこちらに
向かっております、屋敷からここまで
然程離れておりませんでした」

テマンが戻り報告をする

「屋敷から運び出せぬ何かを運ぶゆえ、抜け道が必要だったと言う事のようだな
イムジャ、とんだ狸親父のようです」

ヨンは口の端をあげ
ウンスに微笑むと領主に向き直り
眼光鋭く睨み付けながら詰め寄る

「領主、そちの話には違和感ばかりを
覚えていた、げせぬ話を繰り返し
俺が騙されるとでも思ったか!」

ヨンの気迫に圧され後退るが
掴まえてるチュンソクに引き戻される


「お、お待ち下さい、私は頼まれ断れなかっただけでございます」

「誰にだ、誰に頼まれた!」

チュンソクが怒号を浴びせる

「以前より懇意にさせて貰っております王宮の高官・・・パク・ミンウ様です、名は申しませんでしたが
何方かがお戻りなった折りに
正室として輿入れさせ意のままに操るためと仰せでした」

「パク・ミンウとな?あやつは人買いに
手を染めているのか」

ヨンは眉間に深い皺を刻みながら
深いため息を吐いた

「ヨン、何方かって貴方の事なんじゃ
ないの?」

そう呟くと
ウンスは不安気にヨンを見上げる

「イムジャ、俺には貴女だけだ
他の女人を 娶るなどあり得ぬ事
信じてくれぬか?」

ウンスの腕を両手で押さえ
目線を合わせ腰を屈め
瞳を覗き込み呟いた

「チュンソク、詮議は王宮で行うゆえ
牢車が到着したら放り込め」

「早く王宮に戻らないと
拐われた人がひどい目に合う前に」

嘘のように雨が途切れ
雲の切れ間から陽が
顔を覗かせる昼下がりであった



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