木春菊1 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「イムジャ・・」

「チェ・ヨン」

暫く見つめ合ったまま歩を
進める事が出来ずにいる

「信じてた・・・生きてるって」

「俺も・・必ず戻って下さると信じておりました」

チェ・ヨンはそう呟きながら、大地を力強く踏みしめ歩を進める

「顔を見せて下さいますか」

ウンスが頷くと
チェ・ヨンは笠の紐をほどく
ウンスの長い髪が風に靡き
一瞬散るように踊り肩に流れた

「よくご無事で・・・」

そう言うとチェヨンは、その大きな手で
ウンスの頬に触れた
見つめ合う瞳には互いに涙が滲む

ごつごつした大きな手を
ウンスの首に手を回し
己の胸に抱き寄せる

「イムジャ・・」

そう切なく呟くとチェ・ヨンは
待ち焦がれた想いを込め抱きしめ
ウンスの肩に顎を乗せ
懐かしい香りを嗅ぐ

「チェ・ヨン・・・」

ウンスもまた切なく呟き
チェヨンの胸に顔を埋め肩を揺らす

「泣かないで」

「嬉し涙なの・・信じていたわ
絶対貴方は生きているって
でも・・貴方の顔を
この眼で確かめるまで
安心出来なかった・・」

ウンスの瞳から流れる幾筋の涙を
チェ・ヨンはその太い指で
何度も拭いてやり、再び抱きしめる

「イムジャ、泣かないで・・
またこうして会えたのですから」

こくんとウンスが頷くと
ウンスの手を取り大木の根元に腰を降ろす
チェヨンは己の左肩をポンポンと叩いた
ウンスは少し照れながらその肩に凭れる

「会いたい人には、会えましたか」

「・・・会えてない、あの時
キ・チョルに引き摺られる様に
天門まで行ったの
どうにかキ・チョルの手を振り手解き
貴方を助けたい一心で、天門を潜ったわ
私が勤めていた病院まで走って
思い付く限りの道具を持って、天門を
潜ったけど・・・貴方は居なかった」

ウンスは言葉を繋ぐ事が出来ずにいる
苦しそうに顔を歪め、唇を真一文字に
結んでいた
チェ・ヨンはそんなウンスの手を
きゅっと握り呟く

「たどり着いた先はどこだったのです」

「この時代より百年前よ
始めは一人で怖かった、辛かった
こうして
貴方の肩に凭れるのが、恋しかった」

そう呟くとウンスは両手で顔を隠し
肩を揺らす

「イムジャ・・」

チェ・ヨンはそんなウンスを見るのも
辛く、落ち着くまで胸に抱きしめ
背中を擦っていた



「ありがとう・・落ち着いたわ
あのね、私が探していた手紙覚えてる?」

「覚えてます、俺の事が書いてあると言っていた文ですね」

「あれを書いたの私なの」

「ん?どう言う事です」

「私たちは昔から知り合っていたの
姿、形は違っていたかも知れないけど
貴方に迫る危機や王妃様の危険を
百年後の私に知らせてくれた
すべてが、繰り返されてるのよ」

「と言う事は、俺は運命に導かれ
天門を潜り、イムジャを拐ったのも
天の定めだったのですか」

「そうよ、天が定めた運命だったの
だから、拐ってきたとか思わないで
戻って来たのは私の意思だから
百年前から一度戻ったの
でも貴方の隣に居たくて再び天門を
潜ったの、迷惑だった?」

ウンスはそう呟くと顔を上げ
チェ・ヨンの顔を覗き込む

「そんな事考えた事もない、俺たちは
唯一無二の存在なんです、もう離れぬ
と約束して下さいますか?」

チェ・ヨンが見つめると
ウンスはこくりと頷く
やっと二人は笑みを交わす事が出来た

「この辺りの小菊も、これもイムジャがですね」

「うん・・気付いてくれたの」

「これは以前に、イムジャが俺にくれた
薬が入っていたものと同じです
他に持っている人は誰も居ないでしょう
ですから、すぐに分かりました」

そう言いいながら、チェ・ヨンは
小瓶をウンスに渡す

「こんなになって・・・」

ウンスは小瓶を
愛しそうに見つめ握りしめるのだった






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皆様こんにちは

いつもお寄り下さり
誠にありがとうございます

新章がスタート致します

マーガレットの和名が木春菊で
花言葉に惹かれ《真実の愛》
お題に決めさせて頂きました

これからもお付き合い下さいますよう
宜しくお願い申し上げます



でんべ




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