不思議な世界ではあるが、食べ物はけっこー普通であったりする。

畑もあるし、変わった動植物はいるが、衣食には殆ど困ることはなかった。


ボクが変わったキノコや草を拾ってきて、これは食べられるのかをカパーさんに聞いてみたら、


ヤミの鍋屋さんに持って行けば美味しくなるぜ!


と、なんか変なことを言われた。

どういうことなのだろう?
ほんと、この世界は謎なことが多いし、想像し難いことがある。


楽しむことでもできたらいいのだが、不安ばかり出てくる。


カパーさんに言われたところへ行くと、鍋屋と書かれた小さな家があった。

入り口はドアではなく、暖簾(のれん)のようなもので、ふぁさっと隙間を開けて中を覗くと…


なんか、、、


大きなイカ?がいた。



そのイカ?は、大きな鍋に棒を入れてかき混ぜていた。


す、すいません…

と、話しかけたら、
イカは振り返り、ニヤついたような顔がイカの身体?から覗かせていた。
お面のような表情を変えないその顔は、何処か恐怖感を受ける。


何用だい?
と、聞くのも野暮か。どんな材料でも美味しくナベるよ。


女性とも男性ともとれる中性的な声で聞き心地のいいものだ。
が、あの顔のせいか、逆に怖いかもしれない。


用がないのかい?


そう、改めて聞かれて、慌ててキノコを取り出した。

コレって毒なの?

わかんない。
けど、美味しくできるよ!


と、ボクの手からキノコを奪ってナベへ入れた。


え!?


大丈夫!大丈夫!!
美味しくなぁ〜るからぁ〜



あのナベを見て、それを信じるには、なかなかの覚悟と度胸が必要な気がした。