サザエさんー道徳-26

カツオ君!人の隠しごとは暴露してはいけない!

朝日文庫版35巻〔14頁〕・昭和42年
『パジャマ姿のマスオさんが、ヘアブラシを持って、洗面所の流しの下の戸棚の扉を開け、何かを探しています』
『寝間着を着たお父さんが、洗面所に現れました。マスオさんは、整髪料と美顔クリームが見つからず、お父さんに「おとうさんしりません?」と尋ねています』
『すると、父さんは、マスオさんの顔を見て、「きみ男性化粧品をつけているの!」と呆れたと言わんばかりの顔をして言いました。マスオさんは恥ずかしのか、顔を赤らめて何処かへ消えました』
『カツオ君が、自分の勉強机の横に置いてある戸棚から、2個の男性化粧品を取り出して、「たいしてキキメないね」と言ってのけました。傍にいたお父さんとマスオさん、呆れた顔をしています』

カツオ君、マスオ兄さんの化粧品を使っていたのか?
カツオ君は、幾つになった?中学生に見えるけれど、まだまだ、ニキビはできていないだろう。そして、頭は、丸坊主だから、男性化粧品は必要ないと思うけど!
まさかマスオさんの物を持ち出し、頭に整髪料を振りかけ、顔にクリームを塗り、鏡を見ていたのか?時々試して、一向に顔にも頭にも変化がないな~と思っていたのか、それは当然だよ。長い髪の毛のない頭、ニキビのない顔面では、効果は表れるはずはないよ。
マスオ兄さんには、使えば、効果があるのかもしれないね!
しかし、恥ずかしがり屋のマスオさんは、男性化粧品を使って、頭も顔も綺麗になっていると思われたくなかったんだろうな。しかし、綺麗だと思われたいので、コッソリと男性化粧品を使っていたんだ、きっと!
そもそも、化粧品を使わなといけないと決心したのは、毎日、見せつけられるお父さんの頭の天辺に毛が一本のハゲ頭に原因があるのだよ。
マスオさんは、「あんな頭になりたくない」と化粧品を使っているのだ。
そんな隠し事は、暴露していけない!
男性化粧品を使わなかつたお父さんは、見事に髪の毛は抜けてハゲ頭になり、顔にも何時も皺がある。「男だもの、化粧品など使わない」との信念で年老いてきたお父さんにすれば、化粧品を使っているマスオさんは呆れた存在なのだろう。
マスオさんは優しいから、「私が男性化粧品を使っているのは、お父さんのようにハゲ頭にならないためです」とは決して言いません。
カツオ君!マスオさんが、お父さんに知られたくなかった隠し事を暴露してはいけない。整髪料を使わずにハゲ頭になったら可哀そうだよ!
サザエさんー道徳-25

カツオ君!お年寄りのご婦人にお世辞を言って、お小遣いをもらってはいけない。

朝日文庫版34巻〔122頁〕・昭和42年
『カツオ君が、湯気が立ち昇って湯呑を乗せて、慎重に運んでいます』
『お座敷の座卓の前に、スーツを着たお母さんのお友達らしいお年寄りのご婦人が、済ました顔をして座っています。カツオ君は、そのご婦人の前に湯呑を置きました。その後、「え!それで母とおんなじおとし?」と吃驚したように言いました』
『カツオ君は、お年寄りのご婦人に「じつにおわかいなァ!!!」とお世辞を言いました。ご婦人は、ハンカチを顔の前で揺らしながら、口を大きく開いて、嬉しそうに笑っています』
『カツオ君が、サザエさんに叱られています。熨斗袋を持っているカツオ君は、サザエさんとワカメちゃんに熨斗袋を睨まれ、渋い顔をして、「おとしよりをよろこばすのがなんでわるいんだい?」と抗議しています』

あれれ!変な褒め方だね。お母さんと同じお年だからお若いとはどういうことだろう?
「え?それで母と同じ年、実にお若いな~」
判った!お母さんの友達は、お母さんと同じ年なのに、まだまだ顔の肌もつやつやし、まるで“イッコウ”さんの顔の様だったのかな?そうだったら、カツオ君にすれば、「近頃、顔に皺も目だつ様になっているお母さん」に比べて若く、見えたのだ!
ご婦人って不思議だね!カツオ君。お世辞でも、同じ年の二人を比べて、『あなたの方が若い』と言えば、お小遣いを呉れるんだね。
しかし、カツオ君、今回は実に上手にお世辞を言ったが、お世辞の言い方には注意しよう。もしも、「近頃、顔に皺も目だつ様になっている」お母さんと、同じ年のお年寄りのご婦人に、お世辞にもお母さんと同じで若いと言わない方がいいぞ!
「アラそうでもないわよ、私の顔は、まだツヤツヤよ!貴方のお母さん見たいに、皺なんかないわよ」
と言われてお小遣いは貰えないぞ!
サザエさんー道徳-24

人を疑えば、恥をかくこともある、注意しよう。

朝日文庫版33巻〔142頁〕・昭和41年
『サザエさんのお父さんが、クリスマスイブに、出店で黒と白の縞模様の包装紙に包まれた大きな箱を買っています』
『お父さんは、その大きな箱を持って電車に乗り込みました。電車の席は空いていません。同じような黒と白の縞模様の包装紙に包まれた、お父さんの箱より明らかに小さい箱を持った太ったオジサンが椅子に座っていました。そのオジサンは、席に座れず大きな箱を持っているお父さんが、気の毒になったのか、お父さんの方に手を差し伸べて、「おもちしましょう」と親切に言いました。お父さんは、振り返り、持っている黒と白の縞模様の包装紙に包まれた、大きな箱をオジサンに渡しました』
『お父さんは、同じ黒と白の縞模様の包装紙に包まれた、二つの箱を重ねて持つたオジサンの方が気になってしようがありません。お父さんは、チラチラとオジサンの方を見ています』
『オジサンは、お父さんがチラチラと振り返って見ているのに気付き、「大丈夫です、大きいほうがあなたのでしたねハハハ」と高笑いしています。お父さんは、ギョッとして顔を赤らめています』

お父さんは、座れない電車の中で持っていた箱を、「持ってあげましょう」と親切に言われて預けたものの、その人も、同じデザインの包装紙で包んだ箱を持っている。お父さんは、箱を渡した瞬間に、彼我の箱の大きさを比べ、俺の箱が大きい方だ、返される時、取り替えられたら大変だと疑い始めたら、気になって、気になって、仕方なくなってしまったようだよ。
以心伝心、声に出さなくても、お父さんの疑いは、オジサンに伝わったらしく、オジサンは、大きな声で「大丈夫です、大きいほうがあなたのでしたねハハハ」と周りに聞こえるくらいの大きな声で言った。
お父さんの後ろめたい疑いは、周りの人たちにも露わになり、恥ずかしい思いに、顔を赤らめてしまったようだ。
カツオ君!こんなことあるかもしれないね!クリスマスイブだから奮発して大きな箱のケーキを買って、電車に乗ったら“持ってあげましょう”と親切に声をかけてくれる人がいるかもしれませんね!
預けるとき、言ってくれた人も、膝の上にも、同じデザインの包装紙で包んだ箱た持っている。そんなとき、預ける自分の箱が大きいと、返される時、取り換えられるのじゃないかという、余計な疑いを持ってしまうこともあるだろうね!こんな余計な疑いは相手に伝わるものだし、疑われたら、わしはそんなことはしない潔白な人間だ、「大丈夫です、大きいほうがあなたのでしたねハハハ」言いたくなるだろうね。
もう少しはっきり言えば
「貴方は、わしが、箱を取り換えると思っているようだけど、そんなことは決してしない男だよ、心配しないで、あんたの箱は大きい方だよ」
と高笑いするでしょう。
カツオ君!人を疑ったら、恥をかいてしまうこともあので、用心しよう。
サザエさんー道徳-23

カツオ君!この裸なら人の前でも許されるのだ!

朝日文庫版33巻〔105頁〕・昭和41年
『サザエさんが、八百屋で買った沢山のミカンを買い物籠に入れて、川に沿った道を帰っています。犬に驚いた途端、買い物籠から一個のミカンを落としました。ミカンはコロコロと転がり、川に落ちてしまいました』
『すると上半身がプロレスラに頑丈そうで大きい若者が現れ、スーツを脱ぎはじめました。サザエさんは、「いいんですおみかんいっこですから」と若者がスーツを脱ぐのを抑えています』
『サザエさんが、抑えるのを聞かず、忽ちのうちにスーツを脱いだ若者は“ジャポン”と川に飛び込みました。サザエさんは川岸に立って驚いています、野次馬も馳せ参じています』
『一個のリンゴを掴んで、川岸に上がって来た若者はパンツ一つの上半身裸です。その若者の上半身は、プロレスラのように筋骨モリモリで、その神々しく逞しく見えた上半身は、古代ローマの筋骨隆々の彫刻のようにも見えます。若者は、タオルで濡れた上半身を拭っています。サザエさんは。拾って貰ったミカンを両手で恭しく持ち、頭を下げてお礼を言っています。集まった野次馬の誰かが、逞しい若者の上半身を見て、「あれじゃはだかもみせたかろう」と野次っていま』

カツオ君、こんな筋骨隆々の若者の上半身なら、ご婦人たちに見せてもいいんだよ。昨日の“年老いたカツオ君のお父さんの裸の上半身は、トイレから出てきた束の間であっても、ご婦人たち見せるのは止めた方がいい”。お父さんの上半身は見せては駄目なものだ!
見せて良いのは、逞しい若者の筋骨隆々の上半身で、野次馬でも、誰でも納得できる裸の上半身だ。
話は変わるが、お腹がポッコリと大きいお相撲さんの上半身は、別の魅力があるね!大きなお腹は硬いのかな!柔らかくてフワフワそうに見えるね!
今、琴奨菊と言う大関がいるけど、彼の上体は大きいぞ、関取の“琴バウア“という上体を反らすパフォ―マンスは面白い、相撲を取る時は、何時も下を向いている太鼓腹を、上を向いて反らせるのだ。土俵の上には相撲の神様が居るのだねきっと!!
関取は、“神様!私の大きなお腹を見て下さい。このお中で勝ちます、見ていてください”と言っているようだ。

カツオ君!老いた男性は、ご婦人達の前で、例え上半身でも、裸を曝すことは控えるべきことなんだぞ!

朝日文庫版33巻〔22頁〕・昭和41年
『カツオ君が、庭の紫陽花の葉っぱが見える廊下の奥にある、便所のドアを拳でトントンと叩いています』
『カツオ君は、便所のドアの向こうのお父さんに、「おとうさんお客さんですからね」とソーッと声をかけています』
『カツオ君が、「おしらせしときます」と言うと、お父さんが「うむ」と便所のドアの向こうから答えるのを聞いて、カツオ君は引き返して行きました』
『パンツだけで上半身裸のお父さんが便所のドアを開いて現れました。お座敷の簾の奥では、お母さんが、お友達の4人のご婦人達と何やら語り合っています。お父さんは、上半身裸で、透けて見える簾の前を通ることもできず、便所の戸口で情けなそうな顔をして、「バカしらせただけでどうなるんだ!」とぼやいています』

暑い夏の日、浴衣がけのお母さんの4人の友達が、尋ねて来て、お座敷に上がると、途端に、お喋りを始めたんだね。こんな時、カツオ君、君は、お父さんが、便所に入っているのに気がついたのか?
お母さん達が集まっている部屋は、廊下の奥に便所がある。
カツオ君は、気を利かして、お父さんに教えたんだね。
「おとうさんお客さんですからね」
お父さんは、
「うん」
と答えて、出てみたら、何時もは、障子を閉めて見えないのだが、夏の暑い日は、障子を開けて、簾が下がっているだけで、座敷の中からは廊下が丸見えだ。
いくらなんでも、上半身裸で廊下を通り、老いた体をご婦人たちに披露することはできないよ。
お父さんは、怒っているよ。
「カツオの馬鹿野郎!こんな時は、教えただけでは駄目だ!何とかしてくれなくては、廊下を通れないじゃないか!気を利かして、浴衣を持ってくるか、部屋の障子を閉めるかしろ!上半身とはいえ、男性の裸を、ご婦人たちに見せるわけにはいけないんだ!昨日、お前を物置小屋に閉じ込めた仕返しか?」
と便所から出るには出られず泣きっ面をしている。
カツオ君が
「お父さんも、こんな時のために、賢い仕掛けをしておけよ!それとも、胸を張って、“やあどうも”と言いながら堂々と出てればいいじゃないか!」
と言っています。


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サザエさんー道徳-21

ずる賢いことは、してはいけない!

朝日文庫版33巻〔116頁〕・昭和41年
『カツオ君のお父さんが、ハゲ頭から湯気を出してカンカンに怒っています。カツオ君の上着の襟を持ちあげ、中が真っ暗で、光も差し込まない物置小屋に引きずって行きました』
『お父さんは、カツオ君を物置小屋に閉じ込めると、中からは開ける事が出来ないように、引き戸につっかい棒をしました。まだ怒りが収まらないお父さんは、眉を逆立て、肩を怒らして立ち去りました』
『物置小屋の引き戸の横の地面に接する場所に箱が置いてあり、その箱は上に筵が被せてあります。その箱に、ワカメちゃんが、「おんなじとこにばっかりいれるんだもん」と言いながら、下駄を持って近づいていきました』
『カツオ君が、筵を押し上げて、「ぬけ穴ぐらいほってあるよネ」と言いながら箱の中からあらわれました。ワカメちゃんは、箱の傍にお兄ちゃんの下駄を揃えて、「べんきょうがたりないお父さん」とカツオ君を助け出しています』

カツオ君は、ワカメちゃんに協力してもらって、エライ悪いことをやっているね。お父さんは、真剣になって怒っているんだから、シッカリと受け止め、お父さんが「もうよかろう!カツオも反省しただろうから、小屋から出してやるか!」と戸を開けてくれるまで、その暗い物置小屋に入っていなさい。
カツオ君は、狡賢い=狡事を賢く行うことが巧みなのだろう。後の世の安倍総理のように狡猾な人間になってしまうぞ!安倍のミクスなど言って、ずるいことをやっていると、アホのように見え、安倍の阿保のミクスのようだと言われてしまうぞ!
可愛いワカメちゃんを巻き込んで、「べんきょうがたりないよねおとうさん」
と言っても、お父さんは騙されない。閉じ込めたカツオが小屋から、何時の間にか居なくなったら、お父さんは、更に、もっともっと怒る筈だ!筵を被せた箱なんか、直ぐばれてしまう。
お父さんは、「カツオ!共犯者がいたか!ワカメ!お主の罪も重い」と2人一緒に物置小屋に閉じ込められ、お母さん達が「もう許してあげて」と嘆願しても、「あい判った」とは簡単に許してくれないと思う。君達の罪は重いと
判断している。兎に角、お父さんが、カツオ君を物置小屋に閉じ込めようと、襟首を持って来た時の顔面は、ただごとではなかった。夜叉のように、眉を釣り上げ、頭の天辺に一本しか残っていない髪の毛もピーンと真直ぐに立て、その上、今はない蒸気機関車から噴き上がる湯気のように、勢いよく湯気を立てていた。そんなに怒っていても、父親だから、その内、許してくれる。もう許してやるかと来てみれば、小屋の中はもぬけの殻、小屋の横を見れば、抜け穴が作ってある。もう、それは怒るでしょう。
又捕まって、顔を赤くして、ポッポポッポと湯気を吹きあげて怒るお父さんに、物置小屋に閉じ込められるだろう、その時は、お父さんは、スコップ持って抜穴はシッカリと埋めてしまうでしょう。それでも足らぬと思った時は、セメントを持ってきて、穴を完全に固めてしまうだろう。
カツオ君、狡ことはやらない方がいいぞ!お父さんが怒った時は恐いぞ!
サザエさんー道徳-20

器物を破損の罪は免れないだろう!

朝日文庫版32巻〔45頁〕・昭和41年
『カツオ君が誰もいない自宅の庭で、野球のバットを地面に置いて、その傍に立ち、ウッロな表情をして、右手で頭の上を抑え、「ぼくはとっぜんいっさいのきおくをうしなった」と言っています』
『地面に置いていたバット左手で持ちあげると、それを右手の人差指で指して、「これはいったいなんだろう?」と言っています』
『さらに、グローブを持って、手を挿し込む方を下にして、頭の上に被ると、「あたまにかぶるものかしら?」と言っています』
『サザエさんが、家の窓ガラスが破れているのを指さし、「とにかくせきにんはとってもらおうじゃないの!」と、怖い顔をして、カツオ君を怒鳴りつけています。カツオ君はグローブを頭に被ったまま、しょげかえっています』

カツオ君、又、お姉さんに叱られるようなことをやってしまったね!
お姉さんに叱られるような「窓ガラスを破る行為」は、傍に、カツオ君の野球のバットとグローブがあれば、犯人はカツオ君であることが、バレバレじゃないか!
それなのに、「ぼくはとっぜんいっさいの記憶を失った」、バットを「これはいったいなんだろう?」、クローブを「あたまにかぶるものかしら?」などととぼけたことを言っている。
カツオ君、今、カツオ君のように、記憶を失ったと主張している、地方議員が居るんだ。彼は、約913万円もの政務活動費を、日帰り出張費と偽ってだまし取ったんだ。詐欺罪という罪に問われて、裁判に掛けられている。裁判で金をどのように不正に使ったのですか?と聞かれて、『記憶にございません』と忘れて記憶にありませんと答えているんだよ。まるで、カツオ君がやったことと同じようなことをやろうとしている。そして「記憶を確認するそうだ」、思い出して見ると言っているんだよ!どうもできないと言うに決まっている。思い出しているのに、誤魔化そうとしているんだ。だから、彼は絶対に「思い出しました」とは言わないよ!
しかし、カツオ君は、バットとグローブが野球の道具であることを早く思い出して、
「あそうだ!野球をしに行く前に、庭でバットの素振をりして、すっぽ抜けて、窓まで飛んで窓ガラスを割ったんだ」
と思い出して、お姉さんに正直に言って、謝れば、お姉さんも
「正直でよろしい、責任を免除してやる」
と言うかもしれない。しかし、そんなに甘くないか。器物を破損したのだから、貯めていたお小遣いを、一部没収されるかもしれないよ。
サザエさんー道徳-19

カツオ君、正直者は馬鹿を見ることがあります。

朝日文庫版32巻〔41頁〕・昭和41年
『教室で、カツオ君が首をうな垂れて、「センセイしゅくだいをわすれました」と先生に正直に謝りました。すると、先生は、頭をかきながら、「え!しゅくだいだしてた?」と済まなさそうな顔をして、言いました』
『すると、カツオ君は、先生に、「わすれてた?先生どうしてそれをさきに言ってくれなかったんです!」と激しく抗議しました。先生はカツオ君の激しい剣幕に、ハッと驚いています』
『と、途端に、先生は、拳を振り上げ、カツオ君の頭の上に「ふまじめな立っていろ!」と叱りながらポカリと落しました。カツオ君は、余りの痛さ顔を歪めてしまいました』
『カツオ君は、教室の外に、「あ~かさねがさねくちはわざわいのもとだ」と泣き言を言いながら、泣きっ面をして立っています』

カツオ君、正直に謝るのが速すぎた。宿題を忘れたくらいで謝ることはなかったのじゃないかな?
先生が〈宿題はやってきたか?忘れたものは手をあげろ〉と言わない限り、黙っていれば良かったのだ。君が宿題をするのを忘れるのと同様、先生が宿題を出していたことを忘れることもあるのだ。
だから、カツオ君が、速まって、先生に「センセイしゅくだいをわすれました」と言い出さなかったら、先生が、先に「昨日、先生は宿題を出すのを忘れちゃったよ」と言ったかもしれなかったのだ。あるいは昨日出した宿題のことを、「宿題やって来たか?」と聞く事を忘れてしまったかもしれない。いや、そんな恥ずかしいこと等、しないかな!
先生が出してもいない宿題はやりようがないよね。それなのに、「センセイしゅくだいをわすれました」なんて言うのは、先生には、侮辱されたように聞こえたのだろう。先生は、多分、昨日、宿題を出して君たちを正しく指導しようと計画していたのに、宿題を出すのを忘れ、〈ああしまった〉と残念に思っていたのだ。それなのに、「わすれてた?先生どうしてそれをさきに言ってくれなかったんです!」と、人の顔を逆なでするような、目上の人を侮辱するようなこと言ってしまった。
物忘れが酷く、短気な先生だったようで、カツオ君が抗議すると、途端に、一発喰らわしてきたじゃないか!
しかし、この先生は、良くないないね!落ち度は自分にあるくせに、君を殴った上に、廊下に立たせる暴力を振るってきた。
先生のくせに、生徒に暴力とイジメをやっている。一般に、先生のこのような行為は、絶対に許せない行為だ。
しかし、この先生の行為は、カツオ君が少し、早まったことをし過ぎたからだ。正直者は馬鹿を見ることがあるので、物事は、落ち着いて、正しく行うようにしよう。
サザエさんー道徳-18
カツオ君、良いことをすれば、きっと、良いことがあるよ!

朝日文庫版32巻〔38頁〕・昭和41年
『磯野さん家の郵便ポストに、郵便屋さんがはがきを入れて行きました。カツオ君は、直ぐに、はがきをポストから取り出し、表を見て、「あ、よそのがまちがってはいった」と言いました』
『近くにいたサザエさんが、すぐに、聞きつけ、立ち去る郵便配達のオジサンの方にカツオ君を押しやるようにして、「はやくゆうびんやさんにかえしてらっしゃい」と命じました。しかし、カツオ君は、「い~よボクもっていくって!」と言って、サザエさんの言うことを聞きませんでした』
『カツオ君は、ハガキを持って、宛先の家に行き、その家のおばさんにハガキを渡しました』
『その家のリビングでテーブルの上に、2本のバナナが乗った皿、リンゴが乗った皿、コーヒが乗った皿などの美味しそうな物が並び、カツオ君は、目の前の皿に乗った半分に切ったメロンをスプーンで突いて嬉しそうに食べています。テーブルの上に置かれているハガキは合格を知らせるハガキでした。カツオ君の周りでは、眼鏡を掛けた少年とお父さんが、嬉しそうに、笑い、抱き合って、跳ねています。後ろでは、お婆ちゃんが両手をあげて、振り動かしながら踊っています。カツオ君の横では、お母さんがカツオ君の頭を愛おしそうに撫でています』

カツオ君は、ハガキの表だけを見て、直ぐに、この家だったらすぐ近くだ、ハガキを配達して行ってしまったオジサンに、「オジサン、間違っているよ」と叫びながら追っかけなくても、僕が届けてあげるよと、咄嗟に
「お姉さんは、郵便屋さんにもっていけと言うけれど、僕が、この宛先の家に度どける位の親切は、僕にだってできるよ」
思ったんだよね。
届けた家では、家族の皆さんが、恐らく首を長くして、そのハガキを待っていたんだ!
カツオ君が、その家のお母さんにハガキを渡した途端、お母さんは、ハガキの裏面を見て、「皆、○○君が合格したわよ」と嬉しい知らせを披露したんだ。途端にみんな大喜び、「この子!カツオ君が、嬉しい知らせを運んでくれたのよ!」と大騒ぎになり、「家にある美味しいもの全部、カツオ君にあげて!」と皿に盛りカツオ君に御馳走したのでしょう。
カツオ君、小さな親切は、それを受けた人たちに喜びを与え、その喜びは、小さな親切を与えた君にも、大きな喜びとして帰ってくるんだよ。カツオ君は、二つに切られたメロンを美味しそうに食べていたけど、その時の君の顔は、本当に幸せそうだったよ。テーブルの上に並べられた、美味しそうな物は、皆食べられたかな?
カツオ君、何時も、誰にも、親切にしよう!その親切は、きっと、君に幸せを与える筈だ。
サザエさんー道徳-17

男が気にしている容姿を、それが本当であっても冷やかしてはいけない!

朝日文庫版33巻〔40頁〕・昭和41年
『かなた遠くの山に立ち昇る朝日が差し込む森のキャンプ場に、3角屋根のドーム型キャンピングハウスが点在しています。一つのキャンピングハウスの戸がパッと開き、横縞のティシャツを着た太った男が現れました。その男は、小さな目がクリクリとした、鼻が大きく、鼻穴が正面に向けて開いている太った男です』
『その男は、キャンピングハウスの戸を一杯に開いて、外に出て、両腕を開き、胸を突き出して、スーと深呼吸をすると、「アー空は澄み」と言いました。そのキャンプ場の男の近くのキャンピングハウスに、カツオ君も来ていたようです。外に出ていたカツオ君は、偶然に深呼吸している男を見ていました。カツオ君は、男が“アー空は澄み”と言うのに合わせて、「目はにごり」と澄まして言っています』
『男は、続けて手足の屈伸運動を始めました。腕を腰に当てて足を折りながら、「山は高く」と言いました。カツオ君は、すぐに続けて、「鼻はひくし」と言いました』
『カツオ君のキャンピングハウスの前に、立っているマスオさんとサザエさんとカツオ君の前を、鼻の大きい男が、バッグを持ってプンプンンと怒った顔をして、キャンピングハウスを出て行きました。サザエさんが、不審な顔をして、「へんな人あいさつしてもへんじもしないの」とマスオさんに告げ口をしています』

カツオ君は、大人をカラカッテはいけないよ。男の人は、一人でキャンプ場に来て、清々しい一時を過ごしていたんだ。
男の人が、キャンプ場の朝は、本当に清々しく、思わず、
「アー空は澄み」
「山は高く」
と感激していたのに、
君は、男の人が、目は小さく、鼻は、大きくて低く、その上、鼻の穴は大きく開いているの見て、
「鼻はひくし」
「目はにごり」
などと冷やかしてしまった。
気にしている男の人は、相当に衝撃だったに違いないよ。
怒ってしまつて。お姉さんが挨拶しても、プンプンと怒って、無視して返事もしなかったらしいぞ!
男が気にしている容姿を冷やかしてはいけない!