サザエさん―シルバ(32)

 

魚のスズキ鈴木さんと言うような人は、多分、サザエさんの外は、いないと思います。

 

朝日文庫版43巻〔106頁〕・昭和47年

『サザエさんの家の近くに、白髪を結いあげ、着物姿に襟巻をした、迷子になったお婆さんがいました。外に出ていたサザエさんが、そのお婆さんがなんだか変だと気付いて近づくと、お婆さんが、メモ用紙を持ち、「ハーテどこにいくんじゃったかなナ」と頭を搔いています。サザエさんは、お婆さんが持っているメモ用紙に気づき、「メモをおもちですね」と尋ねています』

『サザエさんは、お婆さんと一緒に交番に行きました。お巡りさんが、お婆さんが、持っていたメモ用紙を見ています。その用紙には「スズキ」と大きく書いてありました。それを見たお巡りさんは、「スズキという名は多いからなァ」と困ったような顔をしています』

『お婆さんを交番の入口に待たせ、お巡りさんは、分厚い住所録を机の上に広げ、「スズキ スズキここにもある」と鈴木さんの家の住所を調べ始めました。サザエさんは、お巡りさんが広げた住所録を、首を長くして覗き込み、住所録を指さし、「これかしら?」と割り込んでいます』

『暫くすると、お婆さんは思い出したらしく、「アそうだ!!魚屋にスズキを買いに行くんだった」と言うと、頭を叩きながらサッサと交番から立ち去りました。お巡りさんとサザエさんは、呆れた結末に、ポカーンとして、立ち去るお婆さんを見ています』

 

お婆さんのように年老いてくると、物忘れが酷くなるのは間違いありません、それにしても、このお婆さんの物忘れは、酷いようです。大きく「スズキ」と書いたメモ用紙を持っているんですよ。きっと、お婆さんは、息子の嫁に「オバアチャン、魚屋さんに行ってスズキを買ってきて~、忘れたらいけないから、紙にスズキと書いたから、このメモを持って行って」と頼まれたはずです。

お婆さんは、家を出て暫く「スズキ、スズキ」と繰り返しながら歩いていたと思います。それなのに、ポカポカと天気が良かったのか、「スズキ、スズキ」とつぶやくのも忘れてしまい、その内、あー鈴木さん家に行くんだったと間違って思い出し、「鈴木さん家はどこかいな~」、「鈴木さん家はどこかいな~」と繰り返し言いながらブラブラと歩き、のことはすっかり忘れてしまいました。更に、歩く内に、「鈴木さん家」も消えてしまい。「どこえ行くのか分からなくなりました」、お婆さんは、完全に認知症の症状が出てしまったのでしょうか?

このままだと危ない。偶然、サザエさんが、「あのオバチャンなんだか変だ」と気付いた容易です。「どうしたのオバアチャン」と尋ねると、[どこに行くのか、すっかり忘れてしまって]いたお婆さん]は、「ハーテどこへ行くんじゃったかなァ」と答えていたのです。

「オバちゃん!メモ用紙持っているじゃありませんか!どれどれ!スズキと書いてあるわ、鈴木さん家に行くのでしょう」

と言うことになり、親切なサザエさんは

「お巡りさん、このお婆ちゃん、鈴木さん家に行きたいらしいだけど鈴木さんの家が何処だか判らないそうです」

と交番にお婆さんを連れていったのです。

2人が懸命に「住所録」を調べているのを長時間見ている内に、お婆さんは少しずっ思い出しました。

「そうだ、私は、嫁に頼まれて美味しい魚〈スズキ〉を買いに行くこところだったんだわ。だから、メモ用紙には〈スズキ〉と大きく書いていたんだ。それなのに、あのお節介な奥さんが、スズキ鈴木さん「さん付け」で読むから、おかしくなったんだ。お巡りさんも鈴木さんと思ってしまい住所録を調べている」

お婆さんは

「メモ用紙には鈴木さんとは書いてないよ!スズキとハッキリ書いているよ。魚のスズキ鈴木さんと言うような人は、あんた達の他はいないはずよ」

と認知症と疑われたお婆さんは、すっかり正常のお婆さんに戻り、交番でまだ鈴木さん家はどこかなと調べている2人を置いて、立ち去りました。

少し大きな声で、「アそうだ!!魚屋にスズキを買いに行くんだった」と言ったのが聞こえたのか、二人は、唖然として腰を抜かしていました。

「あ!これですっきりした。まだまだ、私は健忘症なんかではないわ!ハッハッハッ!」

と健忘症と疑われた、元気なお婆さんは、嫁の言いつけ通り、颯爽と美味しい魚〈スズキ〉を買いに行きました。

サザエさん―シルバ(31)

 

階段をピョンピョンと降りれないお婆さんですが、カツオ君も驚くことが出来るのです。特にタダで貰えるものなら、シッカリと頂くことができます。

 

朝日文庫版43巻〔65頁〕・昭和47年

『白髪を結いあげ、着物姿に襟巻をしたお婆さんが、陸橋の階段を、手摺を掴みつつ、をついてトボトボと降りています。その横を、カツオ君が、元気よくピョンピョンと飛び降りて行きました』

『お婆さんを追い越して行ったカツオ君は、路面が近くなると一気にピョーンと大きく飛び降りました。それを見たお婆さんは、「お若いかたがうらやましい」とうらやましそうな顔をして言いました』

『和服を着た若い娘さんが2人で、トラックの荷台一杯に乗せた、網袋に入れた数個の林檎や柿を、「産地直送、産地直送」「無料サービス、無料サービス」と大声を出して、周りに群がった人達に配っています。カツオ君も欲しくなり貰おうと、人混みの中に入っていきました。しかし、沢山の人達に遮られ、貰えません』

『カツオ君は、貰うのを諦めて、がっくりして帰っていると、陸橋をトボトボと降りていた、あのお婆さんが、襟巻をひらひらさせて、杖を小脇に挟み、両手に林檎の入った網袋を持って、意気揚々と帰っています。カツオ君は、それを見て、「やるなー」と感心しています』

 

カツオ君だったら、ピョンピョンと飛び降りられる陸橋の階段を、トボトボと降りていたお婆さんが、タダで貰える林檎と柿の奪い合いに参加して、見事、二袋もゲットしています。カツオ君も参加しようと懸命に人混みをかき分けて、前に進もうとしても、出来なかったのに、お婆さんは、どうして人混みの中を前進したのか、カツオ君は不思議だったでしょう。

カツオ君!お婆さんは、きっと、折り曲がった背中を人混みの中に潜り込ませ、前に進んだのかもしれないよ!

しかし、「あのお婆さんが!」と思うと、タダの林檎と柿を、どんな方法で手に入れたか、確かに不思議だよね。

お婆さんの顔は、特に、魔法使いのようには、見えないけれど、不思議な力を持っていたのに、違いないのだろう。

本当に不思議だよね!「やるな」と思わず言ってしまうよね!

しかし、カツオ君、お婆さんくらいの歳になると、階段を下りるのは大変なんだよ、手摺を握りながら、こけないように、一段一段とゆっくり降りないと、危険なんだ。

このお婆さんが、カツオ君のように、ピョンピョン、そしてビョーンと階段を降りて行ったら、ヤルナーと驚嘆すべきお婆さんでしょう。

しかし、お婆さんでも、階段でなければ、カツオ君も驚くことが出来るのです。特にタダで貰えるものなら、シッカリと頂くことができます。不思議な力を持ったお婆さんでした。

サザエさん―シルバ(30)

 

インフレ=オーガナイズド・マス・デモクラシー ????

 

朝日文庫版42巻〔48頁〕・昭和46年

『白髪を結いあげ、エプロン姿のお婆さんが、八百屋の前で、深刻な顔をして台の上に並べられた野菜を見ています。買い物かごを押して八百屋の前にいたサザエさんが、お婆さんに、「おばあちゃん、不況でインフレなのよわかりまス」と教えるように言いました』

『するちとお婆さんは、食ってかかるように、サザエさんに言いました。「オーガナイズド・マス・デモクラシーが原因じゃない?」、それを聞いたサザエさんはビツクリして、口をポカ~ンとあけました』

『そして、念を押すように、「わかりません?組織化された大衆民主主義」と仰いました。サザエさんは、ますます驚いて顔をこわばらせています』

『サザエさんは、驚きのあまり腰を抜かし、道路に尻もちをついてしまいました。それを見ていた、でかい奥さんが、「おばあさん大学の聴講生よ」と教えてくれました。サザエさんは、ショックで大きな息を吐き出し、胸を抑えています』

 

お幾つでしょう、かなりの歳に見えるお婆さんですが、大学の聴講生だそうです。大学で習ったのでしょうか、難しい言葉が出てきました。オーガナイズド・マス・デモクラシー、組織化された大衆民主主義と訳するんでしょう。お婆さんが教えてくれています。

お婆さんは、八百屋の野菜や果物が、最近高くなったな~と思っていたと思います。その値上がりが、サザエさんが言う「不況でインフレなのよわかりまス」は分かります。しかし、お婆さんの言う「オーガナイズド・マス・デモクラシー、組織化された大衆民主主義が原因だ」となると、にわかに判りません。

少し勉強しなければ、お婆さんの解釈を理解できない。しかし、年老いても、大学の聴講生になれば、難しい言葉が出てくるのでしょうか? 頭が痛くなるので、ここでやめます。

サザエさん―軍国主義

 

日本は、サザエさんが、心配するような軍国主義には戻りません。

 

朝日文庫版40巻〔113頁〕・昭和45年

『サザエさんが、「神国」と書かれた大きな漢字の前で、それをジッと見て、「神話復活」と思い巡らしています』

『サザエさんが、その漢字を見ながら思索していると、日本神話に出てくる天照大神のような衣装を着て、八の字の鼻髭を生やし、首には貝殻のネックレス、いや首飾り掛け、絹の白い上着と膨らんだズボンを履き、腰に刀をさした若い神様様が現れ、「神」という漢字の衣偏、すなわち、「ネ」の部分を取り、脚で蹴飛ばしています。「ネ」とり去られた後、「申国」。と書かれた漢字が見えます』

『その後、「ネ」の部分を取り蹴飛ばした若い神様が年老いたような白髪の爺さんの神様が現れ、[申]の字の上下にそれぞれ線を引き、[車]の字とし、更にその上に[ウ冠]を乗せて、「軍」という字にしました』

『作業がすむと爺さんの神様は、駆け足で立ち去りました。その後、「軍国主義]という大きな漢字が残っています。その漢字を見て、タラちゃんを抱っこしたサザエさんは、「なんてことにならんだろうと心配そうに思い巡らしています』

 

サザエさん(作者)は、タラちゃんが、大きくなった頃、日本が軍国主義になるのではないか、と心配していたとうです。

サザエさん、貴方が心配した通り、今、安倍晋三という総理は、軍国主義に向け邁進しています。

少し説明しますと、自民党は、小泉という総理が自民党をぶっ壊して立ち去りました。その後、安倍が1回目の総理になった後、自民党を元に戻すことができずに、病になり止めました。その後、福田、麻生などと引き継いだ人達でも、自民党政権は、上手く行きませんでした。その自民党の隙をついて、民主党が第一党になったのです。政権が代わり、国民は、期待しました。しかし、民主党の最初の総理が、アホでした。ポッポちゃんと蔑まれ、そうなると、民主党は、国民から愛想を尽かされてしまったのです。そんな中、安倍が再び登場し、ラッキーだったのでしょう。自民党を取り戻そうなどと、第一党に返り咲いたのです。

幸い、安倍は、勢いに乗って、たストになって返り咲き、その後は、やりたい放題です、サザエさんが心配していたように、平和な未来があるべき日本を、軍国主義の方向に導こうとしています。

すなわち、サザエさんが目撃したように、安倍が、神国である平和な日本を、軍国主義の戦争もやらせる国にしようと、急いでいるようです。しかし、国民は、それを絶対許しません。若く元気な神様が、再び現れ、爺さんの神様が、書いた「軍国主義」という漢字は、全て捨ててしまいます。

そして、その後に「安倍政権退陣」「戦争法廃棄」のような、安倍反対、戦争反対などのように書かれた沢山の漢字が、群れをなして現れてきます。そんな漢字を読んでください!

サプリメントの不思議

生活習慣病で通院している。長いこと待たされ、疲れてきた。あいにく、本も持っていない。それとなく、待合室のソファーの前の壁を眺めると、張り紙がいくつか貼ってある。その中の一つを拾って読んでみた。それは、病院の関係者の伝える情報のようだ。読んでみるとその趣旨は、「グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントは効果がない」と、米国医学誌が伝える情報を伝えるものであった。ここには、多数の外来患者が通院している。この人たちの中にも、最近のサプリメントブームに乗って、その効果を信じ、高価なサプリメントを愛用しているお年寄りが沢山いるかもしれない。そんな中に、病院の責任者が、「サプリメントは効果がありません」という張り紙をしている異様さが気になった。テレビのCMを視ていると、サプリメントのメーカは、誇大とも思えるPRをしている。テレビでは、「このCMを視て、すぐに電話をいただくと、特別な価格で、しかも送料無料でお届けします」などと言っている。

だから、購入して効果があつたら大変な目にあってしまうだろう。正しい通常価格は、特別な価格5倍も10倍もしている。しかし、幸いなことに、米国医学誌の言う通り、効果が全くなく、高価なサプリメントは、購入しないで済む。この病院で張り紙を出した責任者は、「サプリメントがなぜ効果がないのか」、その理由を医療専門誌に解説していた。それを見せてもらった。それによると「グルコサミンやコンドロイチンは、タンパク質である。これらを飲んでも、体内(胃)で、分解酵素により、それぞれのタンパク質を構成するアミノ酸にまで分解され吸収される。血液に溶解したアミノ酸は、体内を巡り、体内の細胞が必要とするアミノ酸を使って必要なタンパク質を合成する。だから、分解されたアミノ酸が、元のグルコサミンコンドロイチンを合成するアミノ酸として使用されるとは限らない。グルコサミンやコンドロイチンを合成するアミノ酸は、通常の食品を摂っていれば、わざわざ、サプリメントを摂る必要はないと述べている。このようなサプリメントと称されるものに対して、医薬品、いわゆる薬は、直接、血液に溶解して、患部に運ばれ直接効果を発揮するものである」と述べている。先生が言う「サプリメントには効果なし」という解説に一応納得した。グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントと称するものは、体の異常に効果あると言っても、医薬品ではないので、直接効果はないと明言していた。医薬品が、タンパク質ではないということは、例えば、ノーベル賞を授与された大村先生の抗寄生虫薬「イべルメクチン」で良く分かる。先生は、ゴルフ場で発見した新種の放線菌から見出したのは化学物質であり、この化学物質が失明に至るオンコセルカ症や、足が腫れ上がるリンパ系フィラリア症(象皮病)など、アフリカや中南米などの風土病に対する強力な効果があることを見出され、偉大な医薬上の貢献をされたのである。

大村先生が発見されたのは、菌から見出された化学物質であり、医薬として効果のあるもので、グルコサミンやコンドロイチンなどのタンパク質とは異なる、メーカが、サプリメントと称して販売しているグルコサミンやコンドロイチンが、効果があるとするのであれば、それはなぜかを丁寧に説明がなければ、TVのCMは誇大なウソにしか聞こえてこない。

サザエさん―シルバ(29)

 

老いらくの恋なのでしょうか?

 

朝日文庫版41巻〔56頁〕・昭和46年

『セータを着て、ズボン姿の、短髪で、顔には沢山の皺が走っているお年寄りが、菓子折をぶら下げて街角を歩いています』

『お年寄りは、タバコ屋さんの方にやって来ました。「たばこ」という看板が下がっている店のガラス戸の奥には、丹前を着たハゲ頭のお爺さんが本を広げて、読みながら、お店番をしています。そのお爺さんの近くに、菓子折を持ったお年寄りは近づいてきました』

『お年寄りは、タバコ屋さんのカウンターに菓子折を置くと、ハゲ頭のお爺さんに、手をヒラヒラさせて、頭の上に[ハートマーク]を浮かべて、お爺さんを振り返り、振り返りながら帰って行きました』

『お爺さんは、帰っていく、そのお年寄りを見て「へ―、いままでジイさんとばかり思っていた」と驚いています。カツオ君がその様子を見て笑っていました』

 

タバコ屋で店番をしているハゲ頭のお爺さんの所に現れたお年寄りは、髪を刈り上げ、セータとズボンですから、どう見てもお爺さんにしか見えません

そんなお爺さんが、タバコ屋さんのお爺さんの所に持っていた菓子折は、何でしょう?

今日は、バレンタインデーだそうです。バレンタインデーのプレゼントですから、チョコレートでしょう。

「あれ!ジイサンがジイサンにチョコレートをプレゼントしている!なんだか変だぞ」と思っていたら、タバコ屋のハゲ頭のお爺さんも、チョコレートを持ってきたお年寄りが、お婆さんであることに初めて気がついたようです。お年寄りは、タバコ屋のハゲ頭のお爺さんに恋している、男装の麗人ならぬ、男装のバーバーでした。

バーバーは、チョコレートをプレゼントすると満足げに帰って行きました。

タバコ屋のお爺さんは、ちょくちょく見かけるジイサンとばかり思っていたお年寄りが、自分に恋心を持って、やってくるお婆ちゃんであることに初めて気がつき驚きました

タバコ屋のお爺さんは、お婆さんの老いらくの恋にまんざらでもないでしょう。しかし、あのお年寄りは、どう見たってお爺さんだ!

サザエさん―やったー!茶道師範のお婆さん

 

悪さ坊主を叱るには、上品ぶっては駄目だ、叱る方も悪にならなければ効果なし。

 

朝日文庫版41巻〔138頁〕・昭和45年

『屏風が立ててある茶室に仕切られた炉で、茶釜でお湯を沸かし、和服で正装した上品なお婆さんが、手前座でお茶を立てています』

『障子の先の庭では、お手伝いのお婆ちゃんが箒を持って、庭掃除をしていました。そこへ、サッカボールが飛び込んできて、植木の小枝を折ってしまいました。お手伝いのお婆ちゃんは「また近所のコドモが!」と言って怒っています』

『上品なお婆さんが、茶室の障子を開き、茶室からお草履を持ち出し、折れた小枝とサッカボールがある庭の方に出ようと、身を乗り出しています』

『お婆さんは、お草履を履くと、脚を踏ん張り、瓦つき垣根の外に向かって、「おどりゃしまいに血いみるど~」と口を大きく開き、大声で怒鳴っています。垣根の外ではカツオ君達がサッカボールを抱えて「ン読んでる」と言いながら逃げ惑っています』

 

上品な茶道の先生のお婆さんが、怒鳴った時は「やった!」と感動しました。

カツオ君達悪さ坊主が、お屋敷の外で、サッカボールを蹴り、好き放題に遊び、うるさかったり、屋敷内にボールを蹴り込み、植木を痛みつけたりして、お婆さんは、辛抱に辛抱を重ねていたようです。

お手伝いのお婆ちゃんは、おとなしくて悪さ坊主たちを叱ってくれません。

植木の小枝を、ついに折ってしまつた。それでも、おとなしいお婆ちゃんは、子供たちを叱っていません。

お婆さんは、もうこれ以上の我慢が出来なくなり、庭に上品に出ていくと、思いっきり外に向かって「おどりゃしまいに血いみるど~」

と怒鳴ってしまいました。

静かにお茶を入れている時、騒ぎ立てる子供たちの声、ドーンと飛び込んで来るボールの音、ポキッと、木の枝が折れる音、もう我慢が出来ない。この子たちには「おやめなさい」とおとなしく上品に怒ったのでは通じない。

これだけ、酷い怒り方をすれば、子供達にこたえるだろ、私もスッキリしたわと、お婆さんは、清々したことでしょう。

悪さ坊主を叱るには、上品ぶっては駄目だ、叱る方も悪にならなければ効果なし。

 

サザエさん―話題に気をつけよう!

 

お土産は何を持って来ましたか?と尋ねるのは、話題ではありません。

 

朝日文庫版40巻〔104頁〕・昭和45年

『サザエさんの家に田舎のオジサンがやって来ました。サザエさんは、お座敷でオジサンと応対しています。オジサンは、お土産を包んだ風呂敷包みを解いています。オジサンが風呂敷を解くと、中から大きな2個のキャベツが出てきました。それを見たサザエさんは、「地もとじゃキャベツすててるンですッてネ」と話し掛けると、オジサンは、「ドーモそのキャベツがオミヤゲで」と気まり悪そうに言いました』

『別の日、髪をアップに結い上げ、和服を着た奥様がやって来ました。サザエさんは、居間で奥様の応対をしています。居間で、テーブルを挟んで、お喋りをしています。サザエさんは、聞き覚えたばかりの話題を喋っています。サザエさんは、「ソフトクリームのざっ菌、なん千万ってのがあるそうですワ」と嫌そうな顔をして、得意げに喋っています。奥様は、「アラあたくしシンブンみなくて~」と言いながら、申し訳なさそうに大きな紙袋をサザエさんに渡しました』

『サザエさんが、お母さんに「話だいにきをおつけよ」と叱られています。サザエさんは、頬を赤らめて「マイッタ~」と恥ずかしそうです』

『そんなことがあって数日後、お父さんの知人のオジサンがやって来ました。お座敷で、ちゃぶ台に向かい合って座ると、直ぐにサザエさんは、オジサンに「まず失礼ですがなにのオミヤゲをお持ちくださったでしょうか?」と尋ねました。するとオジサンは、恥ずかしそうに、「手ぶらでスついいそいできょうしゅくです・・・」頭をかきかき謝っています』

 

お客様がお見えになると、殆どお土産を持参されます。

その時、話題に注意しましょう。

お土産がキャベツの時、「地もとじゃキャベツすててるンですッてネ」はいけません。

お土産がケーキの時、「ソフトクリームのざっ菌、なん千万ってのがあるそうですワ」もいけません。

だから、お母さんが話題に気をつけなさいと、言ったからと、「まず失礼ですがなにのオミヤゲをお持ちくださったでしょうか?」という話題はないでしょう。

お客様がお土産を持ってくるのが一般的な習慣であっても、その習慣を気にしない人もいるのです。

気にしないと言っても、習慣を気にせず、お土産を持たず来た人は、直ぐに「お土産は何ですか」と言われれば、「急いでいたので手ぶらで参りました」と筋の通った?言い訳を言わなくてはなりません。

会話の糸口になる話題には、気をつけねばなりません。

天気のことが良いですね。

「今日は本当に良い天気ですね!」

しかし、雨が降ったり、風の強い日があったり、寒い日があったりもしますから、天気も、話題にしたくない日もあります。

 

お土産も持たずに訪れ、サザエさんに、真っ先に、「お土産は何を持ってきたか」と聞かれて、「何も持ってきていません」と素直に言うこと出来ず、「急いでいたので手ぶらで参りました」と苦しそうに恐縮するオジサンが可哀そうです。

お土産は何を持ってきましたか?と尋ねるのは、話題ではありません。

お母さん、今更、サザエさんを躾けようとしても駄目ですよ。サザエさんの好きなようにやらした方が良いでしょう!それが、ビートたけしさんの言う「新しい道徳」のような気もします。

しかし、オジサンがお土産に持ってきたキャベツを見て、「地もとじゃキャベツすててるンですッてネ」はないですね!

どうしても道徳違反です!

サザエさん―シルバ(28)

 

褒められるべき親孝行も、意地悪な人は、乳はなれできてない、マザーコンプレックスなどと悪口を言うでしょう。無視しましょう。

 

朝日文庫版40巻〔101頁〕・昭和45年

『刈り上げの短髪のオバアチャンが、着物の袖をたすき掛けにし、洗面所で水道の水を洗面器に受けながら、皺の入った顔を洗っています。そこへ着物姿の太ったオジサンがやって来て、「おかあさんもちましょう」と言いながら着物の袖を、水に濡れないように持っています』

『その後、オバアチャンは、縁側にいて、廊下に立っています。お婆さんの前に庭に下りたオジサンが、オバアチャンに背中を向けて「にわのアジサイがさかりですよ」と言いながらオバアチャンを背負おうとしています。部屋の中には、お掃除をしているオジサンの奥さんがいて、困った顔をして、2人を見ています』

『オジサンは、お婆さんを背負って、庭の満開の紫陽花の所にやってきて、オバアチャンに紫陽花の花を見せています。丁度、その時、口うるさいインテリ風に気取った、近所の2人の奥さんが、見ていて、「心理的に乳はなれできてないのよ」、「マザーコンプレックスなのョ」などと陰口を言っています。たまたま通りかかったカツオ君も2人の奥様の陰口を聞いてしまいました』

『2人が言っている陰口が、オバアチャンを背負っているオジサンに聞こえたらしく、オジサンは「むかしは親孝行といったもんだ」とカンカンに怒っています』

 

困ったものですね!折角、かなりの歳のオジサンが、腰も大きく曲がっているようなお母さんであるお婆さんを背負って親孝行をしているのに、インテリぶった奥さん達が陰口をたたいています。2人の奥さん達は、いかにも意地悪そうに、見えます。

オジサンの折角の親孝行も、こんな人たちには「年老いても、まだ心理的に乳はなれできてないオジサン」であり、「マザーコンプレックスの塊のようなオジサン」に映るのでしょう。

しかし、こんな意地悪な見方をせずに、素直に

「あら、あのオジサン偉いわね、あの歳で、あの年老いたお母さんを背負って、アジサイの花を見せてあげているわよ!大変だわね、偉いわね」

くらい褒めてあげればいいと思います。

そんな褒め言葉が、耳に入ってくれば、年老いたオジサンも、お母さんを、背負った甲斐があったと、よい気分になるでしょう。

褒められるべき親孝行も、意地悪な人は、乳はなれできてない、マザーコンプレックスなどと悪口を言うでしょう。無視しましょう。

 

サザエさん―シルバ(27)

 

サザエさんって、本当に余計なことをする困った人だわ。

 

朝日文庫版39巻〔52頁〕・昭和44年

『ある街角で、サザエさんが、4人の奥様達と立ち話をしています。サザエさんが、得意げに、「あれで73歳ですって、お若いわね!」と言うと、奥様達は「ほんと!」と声を揃えて驚いています』

『サザエさんが、歩いていると、話題の[アレ]と言われたお婆さんに会いました。サザエさんが、お婆さんに「いまおうわさしていたんですのよ」と言うと、お婆さんは、「わたくし72なんざます!」と不満そうです。お婆さんは、シャッにスカートを着ていますが、もう頬がこけて、皺が入っています』

『お婆さんは、サザエさんに、「どなたあとどなたにおっしゃいまして?」と聞いています。サザエさんはお婆さんの前で畏まっています』

『お婆さんは、サザエさんと立ち話をしていた奥様達の中の一人の家の門の前で、奥さんに、2本の指を立てて何かを懸命に説明しています。それを見たサザエさんは、「気もお若い!」と感心しています』

 

このお婆さんが言っていました。

「わたくし、72歳です。まだ元気で、お喋りが大好きです。だから、フグダサザエさんと言う奥さんとよく気が合うんです。街角であったりすると、長時間立ち話をします。サザエさんは、大変良い人だと思います。ただ、あの人は、余計な事をするのです。

この間も、歩いていたら、向こうからサザエさんがやってきました。

「まあこんにちは」

とお喋りが始まりました。

そして、彼女が得意そうに恩着せがましく言うのです。

「いま買い物に行ったら、お知り合いの若い奥様達が、井戸端会議をやっていたので、参加してきたのよ」

そして、彼女が言うんです。

「そこで、お婆さんのことを「もう73歳だけどお元気の方よ、あのお婆さん」と教えてやったのよ」

私、それを聞いて愕然としました。私は、73歳ではありません。72歳です。サザエさんが、余計なことを、言い廻るから、近所の奥さん達が、私のことを「73歳のおばあちゃんだ」と思いこんでしまいます。その誤りは私としては大変困ります。断然許せません。

私は73歳ではなく、72歳です。サザエさんが言った歳より、1歳も若いのよ。サザエさんが教えた奥様達の皆に「73歳ではありません72歳でまだ若いのよ」と、2本の指を立てて、本当のことを教えて回らないといけないのよ、この忙しいのに、サザエさんのせいで、余計なことをしなくてはならなくなってしまいました。

「奥さんこんにちは、フグダサザエさんが、私のこと73歳だと言ったらしいけど、私はまだ72歳よ」

と4軒の奥様立ちに、言ってまわりました。

サザエさんって、本当に余計なことをする困った人だわ。