初めてきた家裁。
弁護士さんと私は待合室でずいぶん待たされた。
「今日は少年が5人きています。弁護士がついているのが2人。
親がきているのはハルオくんだけです。」と弁護士さん。
親がきていなかったら一人で帰るのかな?
まっすぐ帰宅するだろうか?
それとも何度めかでもう親もあきらめているのかな?
仕事が休めなかったのかも?
弁護士が言った。「どこがで飲んだくれていてこないんですよ。」
そうなんだろうか???
弁護士さんだけが呼ばれて、30分くらいして戻ってきて言った。
「在宅監護になりました。今日はハルオくんと帰れます。」
在宅監護???
「親の監護下で生活するということです。」
それって今までとどう違うの?
「お住まいの県の家裁から再度連絡があり、
家庭調査が行われることになります。」
夕方、ハルオと家裁を出ようとしたら携帯が鳴った。
今回の万引きを知って、今後の処分を考え中の高校の担任からだった。
面会は平日だけだ。
週末、他の子を連れて遠出をしようと思った。
拘留中は無断外泊を心配しなくてもいいし、電話にびくびくしなくてもいい、
ハルオが悪さをすることもない、安心して外出できるんだ!
こんなチャンスはないかもしれない。
高原に行った。
青くて広い空。きれいな空気。清流。のどかな牧場。
ハルオにも見せたいなあ。
こんな大自然の中で育ったら、ハルオは非行に走らなかったのでは?
この地域で非行少年になったら、どんなことをするのかな?
コンビニもないし、ゲームセンターもないし、星を見ながら無断外泊???
雑踏の中で心を擦り減らすのではなくて、大自然の中でゆったりと
過ごせたのではないかな?
何もかも忘れて、他の子たちと楽しもうと思ってきたけれど
気づけばハルオのことばかり考えていた。
子どもが言った。
「ずっとここにいたいね。帰りたくないなあ。」
連れてきてよかったなあと思った。
ホント帰りたくないよね~。
帰ったら、現実に向わなければ!
拘留3日め。二度目の面会に行く。
国選の弁護士さんを頼んだとハルオが言う。
国選の弁護士さんについて、本人にしか打診がなく、
親の知らないところで、弁護士さんをお願いすることが
決められるんだと、なんだか変な感じがした。
どのくらいの少年が自分の判断で弁護士さんをお願いするのだろう。
もし、国選はいらないって少年が言ったら、親がお金を払ってお願いするのかな?
そもそも私には今回のことで弁護士さんをお願いする予定はなかったので
ハルオの判断に驚いた。
ハルオが国選弁護士をお願いしたのには理由があった。
手紙を届けてほしかったからだ。拘留中の手紙は弁護士さんにしか
渡せないことになっているらしい。
手紙は二通あった。
私たち親宛てとA子ちゃん宛て。
弁護士さんから親宛ての手紙を渡された。
弁護さんは苦笑いして言った。「反省が足りませんね~。」
もちろんA子ちゃん宛ての手紙は見せてもらえなかったが、
内容は想像できた。
その後の数日間は
ハルオが非行に走ってから一番辛かった気がする。