(175) 2023年 潮のはなし | ID Fishing

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潮の法則。潮を基準に釣りを組み立てます。Match the Current

さて、2023年 1年間の相模湾流についてみてみましょう。

 

まずは、黒潮のふるまいから。

2023年も黒潮大蛇行下の一年でした。ゲートチェンジはなく北側ゲートのみ通過でした。

『黒潮大蛇行のときは北側ゲートを安定的に通過する』、今年も教科書どおりの結果です。

モデルは2024年の早々に南側ゲートへのゲートチェンジを予測しています。どうなるか期待大です。

 

次はワジオとカシマジオの流入日数と率について。

         (積算)

ワジオ              91.6日    25%

カシマジオ          56.4日  15%

その他          201.5日    55%

欠損データ            15.5日      4%

2023年も2022年にひき続き、ワジオの流入日数が100日を下まわりました。

黒潮大蛇行下でも黒潮の接岸位置により、ワジオの流入日数は変化します。

伊豆半島沖に発生する暖水渦が黒潮の接岸位置に影響し、それが相模湾の潮流に影響を及ぼしています。

      ワジオ     カシマジオ    有効データ 

2022年   94.3日(26%) 71.1日(19%)   12か月分  

2021年 123.5日(37%) 34.0日(9%)   11ヵ月分

2018年 140.1日(38%) 49.1日(13%)   12か月分

 

次は黒潮流路と相模湾流の関係について。

北側ゲートのみの一年でした。

南側ゲートで発生する速いワジオは発生しませんでしたが、モデルは2023年2月に南側ゲートへのゲートチェンジを予測しています。

真鶴のモングレハンターの皆さん、千載一遇のチャンスです。いまから準備して記録級をゲットしてください。

 

次は黒潮の接岸位置と相模湾流の関係について。

黒潮大蛇行下の北側ゲートにおける黒潮の接岸位置は、大きく分けて2か所あります。

一つは遠州灘方面の西寄り、もう一つは伊豆諸島の三宅島周辺の東寄りです。

東西のどちらに接岸するかは、伊豆半島沖から遠州灘に発生するの暖水渦の有無によります。

暖水渦があると西寄りに接岸し、暖水渦がないと東寄りに接岸します。

西寄りのときは相模湾、伊豆界隈は下り潮となり、東寄りのときは上り潮が差します。

 

次は潮回りごとにみる各潮の流入日数です。

2023年は小潮まわりの流入日数が少なく、大潮まわりの流入日数が多かったでした。

Summer Currentの釣りで、小潮まわりの釣果が少なかった原因はこれです。

レーダーチャートで示すと下記のようになります。

釣り竿の特徴を示したレーダーチャートではなく、基準値に対してワジオとカシマジオの流入率を示したものです。

基準値とは各潮まわりの分布率です。

ワジオの流入日数が少なかったせいか、基準値と乖離した結果になりました。

ワジオの流入日数が120日を超えてくると、統計学の言葉でいう大数の法則により基準値に沿った流入日数になります。

 

次は、各曜日ごとにみる各潮の流入日数です。

ばらつき具合はワジオが10%でカシマジオは23%でした。

潮まわりの1サイクルは14日(2週間)+1日の15日。

2週間に1日づつ潮まわりがシフトすることが、ばらつき具合に影響します。

今年は土曜日が良かったようです。

 

次は、時刻ごとの流入率をみてみましょう。

ワジオはサインカーブのような曲線を描きます。いわゆる朝まずめが山となり、夕まずめが谷となります。渡船や遊漁船での釣りには適した位相であるが、夕まずめからの夜釣りには適していない位相である。夕方からの夜釣りのときには位相を進めたいが、自然は釣り人の都合に合わせてくれないので、釣り人が工夫するしかなさそうである。

カシマジオは右肩あがりで19時にピークがあり、その後低下していく傾向にあります。

ワジオとカシマジオともに非大蛇行下と同じ傾向です。

 

次は、ワジオとカシマジオが流入した潮まわりと時刻をみてみましょう。

ワジオの最多流入は大潮後の大潮の3日目で流入率は38%でした。最小流入は若潮で流入率は14%。

時間帯によって流入率が変化するので、対象とする時間帯を考慮する必要があります。

AMの時間帯とPMの時間帯の流入比はAM : PM = 63 : 37でAMの時間帯の方が優位となりました。

大蛇行下でもワジオを狙うなら午前がいいということです。

 

カシマジオの最多流入は若潮で流入率は31%でした。最小流入は大潮後の中潮の1日目で流入率は7%。

AMの時間帯とPMの時間帯の流入比はAM : PM = 37 : 63でPMの時間帯の方が優位となりました。

大蛇行下でもカシマジオを狙うなら午後がいいということです。

 

大蛇行下でもAMのワジオ、PMのカシマジオという結果でした。

大蛇行下でもシイラは午後が優位ということだと思います。

 

次は、流速を見てみましょう。観測ポイントは真鶴の三ツ石沖です。

ワジオのピークは0.3ノット~0.6ノットにピークがあり、流速が上がるにしたがい流入率が低下します。カシマジオも今年は0.3~0.6ノットにピークがあり、流速が上がるにしたがい流入率が低下します。

カシマジオは例年0~0.3ノットにピークがきますが、2023年は0.3~0.6ノットにピークがきたので、若干速い年だったようです。

 

次は、ワジオとカシマジオの流速について見てみましょう。

ワジオの0~0.3ノットの潮は5時~8時がピークです。0.3~0.6ノットの潮は4時がピークです。0.6~0.9ノットの潮は2時時がピークです。流れ始めが速く、時間経過とともに遅くなる傾向がみられます。

 

カシマジオの0~0.3ノットの潮は18時がピークです。0.3~0.6ノットの潮は15時がピークです。0.6~0.9ノットの潮は14時がピークです。こちらも流れ始めが速く、時間経過とともに遅くなる傾向がみられます。

 

次は潮流モメンタムについてみてみましょう

ワジオが心理的筋目の10日を超えたのは1月と12月だけでした。

黒潮の接岸位置が、12月になるまで西へ寄っていたことが原因だと思います。

12月になり黒潮の接岸位置が教科書どおりの東側へ寄り、ワジオの流入日数が急回復しました。

 

カシマジオはワジオと逆の傾向が多いですが、2023年は周期的な波のようなものがみられます。

 

最後に円グラフで各潮の流入率についてみてみます。

 

昨年にひき続き、2023年も黒潮の接岸位置が西寄りだったのでワジオの流入日数は少ない一年でした。

12月になり接岸位置が東寄りになり、やっとワジオが差し始め足元でもこの状況は継続しています。

2024年は、このままワジオの一年になってもらいたいですが、さぁ、どうなることやら・・・。

文中でも書きましたが、2月に南側ゲートへのゲートチェンジが予測されています。

2月だと磯はメジナの最盛期です。南側ゲートの速いワジオが差せば自己記録更新の大チャンスです。

私は太めのハリスで一発勝負狙っています。

釣れる潮がわかり、それがいつ流入するのかがわかる今は良い時代だと思います。

デジタル情報を上手に活用し、苦しまずに楽しく釣果を手にしましょう。