外に出ると幻聴が聴こえる。外に出なくても聴こえる。これは非常に辛酸の統合失調症の症状だ。僕はそういう時には遠慮せずに頓服を飲むつもりだ。今は幸い、精神的に落ち着いている。しかし精神科に通い始めて10年以上か、非常に長い間かかった。激甚のはやさではなく、非常に濃密な経験だった。しかし僕は低学歴になった。友達もほとんど僕の前から姿を消した。統合失調症の面倒くささに人々はたちまち愛想を尽かしたのだろう。ほとほと嫌になって離れた、普通の事だ。嫌な奴と友好的になる義理はない。しきりに僕は心の内を文章にして表現してきた。これは非常に立派な事だ。運動不足ではあるがこうして椅子に座って何かをするのは運動不足解消の一助になると何の根拠もなく僕は信じている。恐ろしい、恐ろしい幻聴。聴こえない生活が如何に幸せな事か、健常者は理解した方が良い。幻聴の9割は悪口である。残りは褒め言葉の場合もあるが幻想である事に変わりはないのだから幻聴に翻弄されざるを得ないのが僕の現状である。もう長い間、もっぱらこの幻聴というものに僕は苦悩してきた。現実の音だけを聴いていたいとさめざめと涙を流した事もある。その時には女性の看護師に抱きしめられた。まあそれは精神病棟での話なのだが。