僕は貪婪な人間だった。全ての富貴を得たいと思った。心に壮大な夢を抱いた。それは自尊心が高かったからなのだろうか。しかしその末路として僕は統合失調症になり、少しの間狼狽した。高校生活は順調だった、最初の内は。僕の容貌は秀麗であったらしく女子生徒からの人気も高かった。しかし僕はそれに喜悦を感じられずにいた。高専での虐待や暴行に近い思い出を葬り去る事が出来ずにいた。僕は走れメロスの暴君ディオニスのように人が信じられなかった。僕の心の傷を慰撫する役割を果たすものはなかった。本には走ったが統合失調症の錯乱し、淪落した脳では理解する事すら叶わなかった。そもそも僕は国語の成績は生来良いものではない。高い読解力などとは無縁だったのだ。それでも等身大の生活を送る事に嫌気が生じて無理矢理読書を続けた。僕の心の躍動は空虚に思えた。僕がどう絶望しようが、ブルーなままである。僕の友達は離れていった。向精神薬の副作用で豚のようにブクブクと太り、容姿によるメリットは感じられなくなった。僕の人生での努力の悲報。空虚な悲報。僕自身が独善的だったから、もっと誰かに相談出来ていればこうはならなかったのかも知れない。高専での出来事はPTSDのように僕の胸中に跋扈した。