私は過去にチェスに嵌っていた。知的遊戯であるが、入門はボビーフィッシャーというアメリカ人初チェスチャンピオンの存在を知ってから彼の棋譜を勉強しながら人工知能と熾烈な勝負を展開していた。実力の向上は日々日進月歩だったがデイケアでメンバーとプレイした時には「結構強い」と指摘される程の腕前となっていた。現在でもユーチューブでチェスの動画を見て勉強していたりする。まあ副産物的な勉強で主体は物理学、数学、精神医学が勉強の内訳としては主だが。ボビーフィッシャーはIQ187だったと言うがそれは現在の指標では148~156程度と判断されているようだ。しかしカスパロフのIQは194だからフィッシャーが187あっても不自然ではない。

 人工知能とはスマホのアプリで対局していた。生身の人間相手だとどこかぎこちなくなるから対局する事は弟を除きいなかった。私はチェスのレベルがマスターレベルだと判断されていた。一番最高の人工知能とは対極が解禁されなかった。のみならずその頃にはもはやチェスにのめり込む事はなかった。チェスに人生を掛ける意味はないと類推したのだ。

 藤井君がその時期は席巻していた。彼は何度も勝利を経てきて、天才の代名詞となっていたが、私は将棋にはそれほど詳しくなかったし、プレイしたいとも思わなかった。しかしある時カウンセリングで将棋をやった時、センスがあると言われた事があるが、それ以後は一回もやっていない。またそのカウンセラーからは頭が良く、感受性が強いと言われていたが、病院まで遠距離であるのと、彼とのカウンセリングで満たされなかった事を理由に私は中途で辞退した。私自身を根こそぎにする程の衝撃はやはり幻聴のみだった。