1986年(昭和61年)10月22日(水) イドラ島

 

 いつものように9時前に目が覚めたが、熱っぽくだるいから10時ごろまで寝ていた。夫はパンを買ってきてくれたが、ここのホテルはディスカウントをしてくれなかったそうだ。1階にあるキッチン付きの部屋の値段は2500ドラクマと高いし、バス・トイレ別の部屋は1300ドラクマとあまり変わらない。どうせ明日はピレウスに戻りクレタ島まで行くから、今日までここにする。

※当時のレート 1ドラクマ=1.26円
 しかしパンと一緒に買ってきてくれたヨーグルトの値段を夫に聞いたら、スーパーで1個48ドラクマという。おや、昨日124ドラクマ払ったのに。そこで、昨日買った店に行き値段を聞いたら1個62ドラクマという。向こうは2個だと思ったらしい。それは悪かったと62ドラクマ返してくれた。
けっこう細かいことだが、家計簿をつけている身には重大だ。でも値段の件でいろいろ気をとられ、せっかくの美しいエーゲ海の風景があまり目に入ってこなかった。〈Pension Agelika〉

 

10月23日(木) ピレウス→クレタ島(ハニヤ)

 昨夜はまた熱が出て早く眠った。一度うなされていたらしく、夫に起こしてもらった。もし、私がうなされているなら起こしてと頼んでいたのだ。でも、すぐ眠ったから続きを見てしまった。
 そのわりに今朝は心地よい目覚めだった。窓を開けるとすがすがしい空気が入ってきた。夫が目覚める前に、パン屋へ行く。ゴマ振りの長パン、ドーナツ、プラムヨーグルト、そしてスクランブルエッグと豪勢な朝食だった。前に買っていたオレンジを平らげコーヒーも飲んでしまう。荷物をまとめ、11時にはチェックアウト。フロントに荷物を預かってもらって、岬へ行った。

 

 ’Disco Heaven‘のある小高い丘を目指す。壊れた風車のところから、岩場の海岸が見降ろせた。透き通っていていかにもエーゲ海の色。そこで泳いでいる毛唐は映画のように決まっている。私も泳ぎたくなった。でも、時間がない。クレタ島で泳ぐか…でも寒いだろうなぁ。丘の上の方は人が住んでいない空き家が多かった。別荘地だろうか。
 

 ピレウスまでの船は定期船で3時間半もかかったが、デッキに出ていると気持ちいい。船尾でカモメをまじまじと見た。船と一緒に飛ぶからすごく近くで見れて、おもちゃのようだ。毛唐たちは陽が照っているとすぐ脱ぐ。風が冷たいのに…私たちは土地の人たちがいる船室へ。ギリシア人と毛唐のツーリストの区別がついてきた。「エーゲ海クルーズ」を充分に楽しめた。
 

 さて、ピレウスからすぐまたクレタ島行きのフェリーに乗った。間に合わないかと思ったが、セーフ。キャビンの2人部屋はとれず、4人部屋は男女別なのでシートに寝ることにした。シーズンオフで人が少ないから、ゆっくりと席が取れるのだ。デッキはもっとガラガラ。明るし騒がしいから眠れるかどうか…。〈フェリー船内泊〉