1986年(昭和61年)9月19日(金) キャンディ

 今日あたり観光して回り明日一日をゆっくりしようと思っていたが、夫が今日ゆっくりしたいという。結局一日ごろごろ本を読んでいた。
それでも、午前中は掃除して日記をつけていたら、日本人の同宿者がコロンボへ帰るというのでしばらくおしゃべりした。東京商船大卒というから、話は船のことになる。話しているうち航海士の免許とまではいかなくても、ボートの免許が欲しいなと思う。
 その人とお別れして、昨日一番面白そうなラストを残していた「宇宙からの帰還」を読む。夫は「2001年宇宙の旅」か「邪心世界」みたいだと言ったが、ノンフィクションだからそれ以上に現実味があり説得力のある内容だった。それは実際に宇宙へ行った飛行士たちの言葉だったから。
 立花隆さんはNASAの内情からキリスト教の現状、哲学まで持ち出して理解の助けとしてくれる。そして、はっきりと結論づけてはいないが、飛行士から身を転じて宗教家になった二人を最初と最後にもってきて、精神的に深く興味深い内容のインタビューをひきだしている。
 人間の宇宙への進出は人類の進化史上まれにみる転換点であった、中世の終わりに地動説が正しいと分かった時くらいに大きな転換点だと。つまり、地球を初めて外から眺め客観的にとらえることは神の目で見るということ。その神はブッダやキリストやアラーの神と同じ唯一の絶対神ではないか。それらの教祖たちは宇宙へ行った時と同じような考えを持ったのではないか。そうできる条件の一つにESPなどオカルティズムな能力が備わっていたと思う。
 私はネパールでガンジャを吸ったときどこか第六感が強くなった。その時ひとつの大きな真理を得たような気がした。一瞬にしてこの世のからくりが解けたような感じだった。私は頭もよくないし知識も足りないからうまく言葉で言い表せない。でも宇宙飛行士が宇宙に出て考えたこととちょっと似ているなと思った。この世の中の天才といわれるアリストテレスやユングやアインシュタインなど哲学、心理学、物理学などその道を得られた結論はこの真理だと勝手に(?)思った。 
 生物学者ラブロックの「ガイア」という本も面白そうだ。本を読み終わり暗い部屋の中で興奮して夫と二人宇宙と宗教、有限と無限、存在と無などについて話した。私は感動してだれかと話さずにはおられなかったからだ。しかし、永遠や無限について考えていると、私の単純な脳細胞がバラバラになりそう。小さいころ死や宇宙のことを考えると眠れなくなったのを思い出す。これから私は仏教をもとに人間、地球、宇宙を考え、オカルト的だが超能力のほうも研究し伸ばしていきたいと思った。
 夕食後はまた、一気に視点を変え「ベトナム報道1300日」を読む。アポロの宇宙船とベトナム戦争が同じころだったと、とても思えない。〈Hill Way Tourist Inn 〉