1986年(昭和61年)8月28日(木) マドラス

 

 ちょっといい夢をみて、思い出していたら目が覚めた。今日はカーンチプラムのツアーだ。急いで準備しオートリキシャをひろってITDCに着いたのが6時半過ぎ。ゆっくりコーヒーを飲んで待っていると7時過ぎにバスが来た。
 座席の半分ぐらいしか埋まっていない。ガイドさんは中年の女性でちょっと癖のある英語だったが、3分の1くらいはわかった。1時間半ほど最初の目的地、カーンチプラムに着いた。まずはシバァ神を祀るエーカンバレシュワラ寺院へ。南インド式のゴプラム(塔)が目をひく。びっしりと彫刻が施されているところがインド的だ。


 ツアーのグループはインド人が多く、一緒につられて中に入る。ご本尊のシバァ神の前でヒンドゥーのお坊さんから灰のようなものを額に付け赤い粉をもらってドネーションさせられた。異教徒なのに…次のサンチー・カマチーというお寺は異教徒入場禁止だった。門の前にゾウがいてお金をやると、頭の上に鼻の先を置いてくれた。
 10時過ぎて停まったレストランで同じバスの前の席にいた日本人と話す。彼女はコロンボから来たそうだ。この人の情報は間違いないだろう。スリランカの西海岸は今モンスーン期だという。ビーチでは泳げないかも。
 その後もう一つビシュヌ神を祀った寺院に行くがここも異教徒は入場できない。夫はすっかり見る気をなくしている。入れないから門の前で待つが、乞食が多いと思った。体の不自由な人から子ども、それにサドゥまでバクシーシを要求する。私はしっかり小銭を集めておいたので、こまめにバクシーシして回った。条件は子ども以外で働けそうにない人。体の不自由な人にはついついあげたくなる。しかし、稼ぎがいいからと健康な手足を切られると困るが。
 一緒になった日本人は、乞食に慣れていないらしく迷惑してあった。マハーバリプラムに行く途中のティリカリクンドラムという寺院では、あんまり子どもがしつこいから根負けしてあったよう。私は400段以上ある階段を登りながら、バクシーシする人を物色、どっちかというと控えめな人がいい。
 マハーバリプラムは海岸寺院で有名。まずはビーチにあるAshok系列のリゾートホテルTemple Bayでランチタイム。私たちが食べ終えたころ日本人と唯一の毛唐が来た。時間がかかって予定より遅れた。その分「アルジェナの苦行」や5つのラタは見れたけど、海岸寺院はバスがちょっと停車しただけだった。
 最後にクロコダイルパークへ。おぞましいワニがいっぱいいたが、池の水面から顔を出しているところはちょっとかわいい。アグラのツアーに比べたら、お土産屋へ寄る回数が少なくてよかった。帰りに夫が中華を食べたいというのでマウントロードを捜して入った。久しぶりでおいしかった。〈Dayal De Lodge〉